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CSI - Season 4, Episode 7

#76 Invisible Evidence


If you're watching the clock, you're not watching the case.

事件概要

レイチェル・ライフォード殺害事件

法廷のシーンから始まる。レイチェル・ライフォードという女性の暴行殺人事件で、ウォリックは被疑者ファイフの車で発見された凶器のナイフについて証言していた。その後、弁護人からの反対尋問で、ナイフの押収時に令状が取られていなかったことが判明。ナイフは違法な捜査によって得られた物として、証拠から排除された。これは予備審問なので、他の証拠はまだ処理していなかった。このままでは、起訴する根拠が不十分ということでファイフは釈放されてしまう。検事は24時間の猶予をもらい、その間に他の証拠を探し出すことになる。

ウォリックが証言したのは、マリファナ所持の容疑で車を捜索した際にナイフを発見したからで、もともとその事件はキャサリンの担当だった。被害者は血まみれでベッドに倒れて死亡しており、遺体の状況からレイプされたことがわかったが、部屋から指紋や精液は検出されなかった。

キャサリンは再び現場へ戻り捜査。トイレの水洗レバーに付着した精液を発見。ニックとサラは車を調べる。ファイフの車は手違いでぺちゃんこに潰されていたが、何とか形を復元。中にはアパートの駐車カードと、血痕のような色がついた白い繊維片があった。タオルとナイフは違法証拠だが、この繊維片は公正な証拠となる。

ウォリックはロビンスから検死報告を聞き、被害者の手首に乾いた皮膜のような物質(後でワックスと判明)があったことを知る。またブラス警部からは、被害者が父親の認識票を持っていたはずだということを聞く。認識票はなかったが、被害者の首には、ちょうど鎖をつけていたような形跡があり、犯人が「記念品」を持ち帰ったのだろうと思われた。現場のシーツには、被害者の手首と同じような物質が付着していた。

グリッソムは部屋のゴミ箱にあったビールびんから指紋を採取。その指紋はファイフと一致したが、ファイフはレイチェルの部屋に入ったこともないと主張する。事件のあった前の晩にパーティがあり、ファイフはビールの空き瓶をどこかのゴミ箱に捨てた。それがレイチェルのゴミ箱だったのだろうと言う。

キャサリンが採取した精液のDNAは、ファイフのものではなかった。そこで捜査は大きく方向転換を迫られる。加害者はファイフではない人物(精液の持ち主)という前提で証拠を再検討。ナイフは証拠から排除されたが、それは憲法で保証された人権が侵害された当人に限ることであり、別の容疑者に対して使うことは可能だった。ニックがナイフを再度調べ、握りの部分からワックスを検出。

そのワックスは、洗車の際に使われる業務用のカーワックスだった。ファイフは電気技師で、仕事で使う機会はないだろう。ブラス警部とウォリックはファイフを尋問し、パーティの後逮捕される前に洗車に行ったことを知る。洗車サービス店へ行って排水溝を調べると、ファイフの車のテールランプの破片が見つかった。ここで誰かがファイフの車にナイフを入れて、テールランプを壊したのだ。ランプが破損したままで走行するのは違反なので、すぐに警察に見つかり、その時にナイフも発見されて即逮捕と期待したのであろう。

その店の従業員を集めてDNAを採取すると、クインという若い男のDNAが一致した。彼はレイチェルに雇われて車にワックスをかけ、その後誘われて寝ただけだと主張する。だがクインがレイチェルから奪った認識票が、彼が入った後のトイレのタンクから見つかった。見つかることを恐れてクインが隠したのだ。

冒頭から24時間後、再び予備審問が開かれる。しかし法廷には別の被疑者が座っていた――。

Invisible Evidence タイムライン


感想

今回もちょっと変わった構成。通常は冒頭が犯罪現場で、これから捜査が始まるのだが、今回は冒頭が法廷シーンで、捜査はもう始まっている。予備審問(起訴するための十分な証拠があるかどうか、また被疑者を拘束し続けるかどうかを審理する)なので、捜査の途中というところだろう。

前回「ツイン・ピークス」を思わせるエピだと思ったら今回は「24」か!24時間縛りの構成とか画面端っこのクロック表示とか。 新保安官としてザンダー・バークレー(「24」のジョージ・メイソン)が初登場する回だし、こういうお遊びもたまには悪くないけど、何も連続してやらなくても。

でも、共通する要素を取り入れたといっても、そこは視点をまったく異にする別々のドラマ。このエピソードは、それとは関係なく独特の構成でストーリーも面白かった。時間制限があるせいかテンポが速く感じる。ウォリックが中心ではあるけど、他のメンバーにもそれぞれ持ち味があって良い。被害者の遺族に対する接し方や、自分の事件を遅らせて他の事件を捜査しなきゃいけないって時の反応を対比させたり。主任にふられてザマーミロなホッジスとか(主任ってばホッジスのこと名前で呼んでないの!「what's-his-name が今分析中だ」とか言ってるの)。主任とサラのドキドキなシーンまであって盛り沢山。

ニックは「上司に命じられたら、事件の捜査を止めて車を洗ったっていい」なんて言ってるけど、それって口だけじゃないのかな~。グリッソムがそんなバカなことを命じるはずがないと信頼しているから、そんなことが言えるのではないか……と、もう少し先のエピソードを見て思った。理不尽な命令だと思ったら、やはりそう言うと思う。

事件そのものも、けっこう考えさせられる内容。車の捜索令状を取っていなかったため、そこで押収した証拠が違法証拠として排除されてしまう。それは良いんだけど(検事にとっては良くないんだけど)、その後、車を調べて採取したタオルの繊維片は “fair game” なんだそうだ。うーん……押収した車をここで捜査するのは違法捜査じゃないよね。だからその証拠にも毒は入っていないというわけか。でも何かすっきりしないな。

さらにその後、別の容疑者が浮上するわけだが、そうなるといったん排除された「見えない証拠」が再び見えるようになる。というのは、車の捜索はファイフの権利を侵害したけれど、クインの権利は侵害していないから。クインを裁くための証拠としては有効なのだそうだ。うーん……そうなのか。

そもそもワトソン巡査がきちんと手続きをふんで令状を取っていたら、ファイフはそのまま起訴されて、おそらく有罪になったんじゃないか……と思うと、これまたすっきりしない。違法な証拠を排除するというのは、「手続きが正しければ、それに導かれる判断も正しいとみなす」という前提があってこそだと思うのだが、正しい手続きのもとで冤罪が成立したであろうところを、違法捜査がきっかけで真犯人がわかってしまうなんて。

しかしIMDbでこのエピソードのページを見てみると、「Goofs」として、実際には車を押収した時点で中の物はすべて証拠として採用できるという指摘がなされていた。やはりファイフ危うし。詳細は下記のリンクを参照(2番目のリンクは車内の捜索についての参考資料)。

被害者の部屋にあった本は Starhawk著の “The Fifth Sacred Thing” というもので、Amazonの解説によるとスピリチュアル系の近未来小説っぽい感じ(読んでない)。これは撮影した当時、監督のダニー・キャノンがたまたま読んでいた本ということで、ストーリーとは別に関係ないらしい。


単語帳

Yoko (yoko221b) 2006-03-17