CSI - Season 4, Episode 9
I learned at a very early age that the bugs always win.
グリッソム、ニック、キャサリン、ブラス警部担当。ホテル「オルフェウス」でディナーを楽しんだアトウォーター保安官が外へ出て来ると、到着したばかりの宿泊客の車が大爆発。現場へ駆けつけたグリッソムとキャサリンに保安官が状況を説明していると、今度は銃声が連続して鳴り響き、周囲は大混乱に陥る。だがそれは銃撃ではなく、車のトランクに入っていた弾丸が熱せられて爆発しただけだった。
爆弾はガソリンタンクの下に取り付けられており、起爆スイッチはデジタル時計。ニックは現場で回収した破片を組み立てて、パイプ爆弾を復元する。銃弾の方は、命中しても貫通しないようになっている特殊な加工が施されていた。これは飛行機に搭乗するエアマーシャル(航空警察官)が使用する物で、ハイジャックを撃っても飛行機の機体が傷つかないようにするためのものだった。
爆発した車はレンタカーで、借りたのはエアマーシャルのアダム・ワトソンだった。だが従業員の話では、ワトソンが車を借りたのは前の借主が車を戻した9分後。時間的に途中で停車したとも考えられない。数分で爆弾を取り付けるのは不可能であるから、前の借主が車を戻した時、爆弾はすでに取り付けられていたことになる。
ニックは現場の薬品残渣から、爆薬の種類を調べる。爆弾に使われたのはロケット燃料に使われる過塩素酸アンモニウムで、それがガソリンとの組み合わせで大惨事を引き起こしたのだ。過塩素酸アンモニウムは市販されており、誰でも簡単に入手できる。また、時計に接続されていたワイヤーはショートしており、時限装置は機能していなかったと思われた。
前の借主はロジャー・ダンバー。住んでいたアパートは家具がほとんどない、生活感のない部屋だった。ダンバーは爆弾のことを何も知らないと驚くが、シャツには過塩素酸アンモニウムが付着していた。問いただすと、息子の理科の課題で火山を作るのを手伝った時に、薬品がこぼれたのだろうと言う。ダンバーの妻子はメスキートに住んでおり、彼は平日は仕事のためと言ってアパートに寝泊りし、週末だけ家に帰るような生活をしていたらしい。
ダンバーの「自宅」へ行くと、そこには確かに妻と息子がおり、火山の模型と過塩素酸アンモニウムがあった。妻は学校の教師で、自分が火山を作り、ロジャーは見ていただけだと言う。その火山に入っていたパイプと復元したパイプを比べたが、工具の跡は一致しない。
ダンバーのアパートにあった書類を調べると、メスキートの自宅とアパートの他に、もう1箇所ヘンダーソンにも「自宅」があることが判明。ヘンダーソンの家を訪ねると、そこには別の妻と娘、それにもうひとつの火山があった。二つの火山は、同じ工具で作られていた。ロジャーはベス(メスキート)が火山を作るのを見てやり方を覚え、工具を借りてデビー(ヘンダーソン)の家に帰り、娘の火山を作ったのだ。それは数週間前のことで、ロジャーはその工具を返していなかった。キャサリンはベス・ダンバーの家へ行き、別の工具を調べる。工具の跡は爆弾のパイプと一致した。爆弾を作ったのはベスだった。
ロジャーは時折、ベスに「デビー」と呼びかけることがあった。ベスはロジャーが浮気をしていると思っていたが、車の中で火山を作る道具を見つけ、別の女性どころか「別の家族」がいたことに衝撃を受けた。そしてロジャーを尾行して彼の秘密を突き止めのだった。
ウォリック、サラ、ヴァルタン刑事担当。有名歌手マイルズ・ルーベンの妻アメリアが、ホテルの風呂で死亡していた。浴槽の中にはワイングラス。死因は溺死ではなく、フッ化水素酸を摂取したこと。これはサビ取りやガラスみがきに使われる薬品で、毒性が強い。
フッ化水素酸は、ワインのびんの中から検出された。ホテルのボーイの話では、ワインを届けに行くと、ちょうどそこへショーの合間を抜けてマイルズが来たので、マイルズが栓をあけたという。二人は愛し合っていたが、マイルズが多忙なせいで、アメリアはいつも寂しがっていた。
居間を調べると、そこにはゴム手袋とフッ化水素酸のガラスクリーナー。マイルズは、窓に楽譜を書いて作曲するので、ガラスクリーナーをいつも常備していた。マイルズとアメリアは愛し合っていたが、マイルズは人気歌手。ステージでは女性ファンの恋人を演じなければならない。アメリアは夫を独占できないことに傷ついていた。
薬品の容器の指紋はアメリア本人のものだった。ゴム手袋には、酸で焼けた跡。アメリアの手を調べると同じ位置に火傷の跡があった。アメリア・ルーベンは自殺したのだ。
ホテルから出てきた保安官の目の前で大爆発、さらに連続して鳴り響く銃声、という「CSI」では珍しい派手な画面で始まる。現場にたまたまジョージ・メイソン、じゃなかったアトウォーター保安官が居合わせ、さらに被害者がエアマーシャルだったため、すわテロか? とも思われたのだが、実は男の重婚が原因の個人的な動機による犯罪だった。銃声が響いた時の保安官、グリッソムとキャサリンを車の陰に隠れさせて、自分は拳銃を片手に周囲を警戒――ここが意外にと言っては失礼だが意外に保安官らしくてかっこ良かった。
爆弾事件で、関係者の男は妻二人、家庭が二つという二重生活を送っていた――というこのプロット、どこかで見たぞ? と思ったらあれだ、Miamiシーズン1の(他シリーズのネタバレにつき自粛)じゃん!脚本家は別の人なのだけど。あっちの事件では(自粛)だったけれど、こちらの事件では奥さんが犯人だった。
女性の爆弾犯は(自爆テロ等を除いて)珍しい、というのはどこかで読んだ記憶がある。でも、家にある材料で簡単に作れて、直接自分の手を汚さず、素手ではまず勝てない相手を倒せるのだから、女性の爆弾犯って結構合理的なんじゃないかと思わないでもないのだ。2つの事件、家庭にあるものでお手軽に殺人(自殺)という点が共通していた。