CSI - Season 4, Episode 10
I dress up real nice – couple barrettes, little lace collar, two dead parents. \\I'll be the saddest little girl in the world.
グリッソム、サラ、ウォリック、ブラス警部担当。建設現場で、作業員が遺体を発見した。被害者はまだ少年で、ズボンを半分下ろした状態で頭を殴られて死亡していた。壁には血が飛び散り、手には赤い繊維片を握っていた。遺体の下には誰かの足跡。建設現場は、不良少年たちの溜まり場になっていたらしい。サラは作業員全員のハンマーを押収する。
被害者が持っていた繊維片から、警察犬はショッピングモールのゴミ箱へ行き着いた。中には、その繊維片と同じ布の洋服とレシートが一緒に入っていた。新しい服を買って古い服を捨てていったらしい。監視カメラには十代の少女が映っていた。
一方ウォリックは作業員のハンマーを調べる。作業員グレゴリー・カートウェルのハンマーから血液反応が出た。アリバイを聞くと、金曜から日曜まで一人で釣りに行っていたという。カメラに映っていた少女は、妹のアシュリーだった。
アシュリーに話を聞くと、モールに行く途中、建設現場で同じ学校のブライアン・ハディックに呼び止められ、飼い猫が逃げたので一緒に探してほしいと言われたが、探している途中で襲され、誰かがブライアンを殴り、自分は殴った人物の顔も見ずに逃げた――ということだった。ブラスとウォリックは、アシュリーが兄をかばっているのではないかと疑う。彼女は4年前に両親を事故で亡くし、兄が唯一の保護者だったのだ。
現場にあった血しぶきは壁の三方に飛び散っていた。加害者は通常、被害者を追いかけるように移動する。加害者が1人だけなら、血が三方に飛び散るのは不自然だ。加害者はおそらく3人いたと思われた。
アシュリーとブライアンが通っていた高校へ行くと、現場にあった足跡と同じタイプで血の付いた靴をはいているベニーという少年がいた。父親は職がなく、家で酒びたり。ベニーの部屋には、叩き割られたいくつものスイカとハンマーがあった。
ブラス警部はベニーを尋問するが、ベニーは父親と暮らすより少年院の方がマシだと言い、収監されることを楽しみにすらしていた。ブライアンの手の防御創にあったDNAがベニーと一致しないことから、他にも共犯者がいたと考えられた。ベニーの部屋にあったCDのレシートとスイカに貼ってあったシールから、同じ高校に通うアーロン・ギルバートと弟のジャレッドの存在が判明。
ベニー、アーロン、ジャレッドの3人は125ドルを手にしたはずだった。ブライアンは親戚のレストランでバイトをしており、その日は給料日で500ドル持っていたはずだった。3人で375ドルなので、4人目の共犯者があとの金を持っているはずだった。グレゴリーは建設作業員として十分な給料を得ているはず。目的がアシュリーを守ることではなく泥棒なら、グレゴリーには何の動機もない。残るは、洋服とアクセサリーを買ったアシュリーだった。
ブライアンは以前は不良仲間だったが、最近は親戚のレストランでバイトを始め、素行も良くなっていた。アシュリーはブライアンを誘惑しておびき出し、仲間たちとともに、スイカで練習したとおりにブライアンの頭蓋を叩き割り、金を奪って山分けしたのだった。
本当の性犯罪被害者が、信じてもらえないことを恐れて泣き寝入りしていることを話し、サラはアシュリーの非を責めるが、アシュリーは何の痛痒も感じていない様子で「両親を亡くしたかわいそうな女の子を演じてみせる」と言い切るのだった。
キャサリン、ニック、ベガ刑事担当。新婚で引っ越してきたばかりの主婦、マリーン・ミッチェルが胸を銃で撃たれて死亡。現夫と引越し作業をしているところへ元夫が訪ねて来た。元夫には接近禁止命令が出ており、男二人がけんかになったところへマリーンが割って入り、急に倒れたという。
心臓に銃弾を受けたため即死したと思われた。弾はまだ心臓に入っていた。弾は9ミリ、射入口の角度はほぼ垂直で、深さは4インチ。拳銃にしては浅すぎる。現夫にも元夫にもGSR反応はなかった。また、銃弾が何か障害物に当たった痕跡もない。
ニックは火薬の配合を変えた銃弾をいくつか作成し、キャサリンは人体と同じ固さのゼラチンを作成。それを順番に撃って実験したところ、マリーンの傷と同じ深さになったものは、火薬40%の銃弾で、速度は550フィート/秒だった。9ミリ弾の速度は、通常は1100フィート/秒。550フィート/秒まで速度が落ちるには、それまで1800フィート（フットボール場6個ぶん）を飛んでいる計算になる。だがまっすぐに撃った場合、重力のため600フィートで下に落ちてしまう。1800フィート飛ばせるには、銃口を上に向けて放物線を描くように撃つ必要がある。
ニックとベガ刑事は周囲で聞き込みを行い、庭で射撃をしていたジョニーという人物を発見。ジョニーは庭で新しい銃の試し撃ちをしたが、隣人に注意されてやめたという。その時、一発だけ空へ向けて撃った弾が、そのまま空を飛び続けて落下し、地面に倒れたマリーンの心臓を直撃したのだった。
メインのは、何だかすごく後味の悪い事件だな……。
十代の少年少女が、たいした罪の意識もなく友達を殴り殺してしまう。あげく、家にいるより少年院の方が「ケーブル（テレビ？）を見られて食べ物があって親父が入って来ない」から良いと言うし、女の子は「両親を亡くした世界一かわいそうな女の子」を演じる気まんまん。
女性に対する犯罪を憎み、特に性犯罪の被害者にいつも深く同情するサラは、最初はアシュリーに優しく接していたぶん、ラストでの怒りも強かっただろう。このような「被害者のふりをした犯罪者」がいるせいで、本当の被害者がより深く傷ついてしまう。「喪失 傷だらけの屍」事件を思い出して、どうしようもなく暗い気持ちになってしまった。
「喪失 傷だらけの屍」といえば、今回もその回と同様、重苦しくて後味の悪い事件と、息抜きみたいな軽い事件のBプロットという組み合わせ。すごい確率の事故……まぁ、ニューヨークのシーズン1でもっと凄い物が降ってきたことに比べたら、まだまし……と言っていいものなのか。
ニックが地図で「半径1800フィート」をマークしてうんざり顔になるが、実際の捜索範囲はもっと狭くて良いはずだよね……。1800フィート（約550メートル）は実際の飛距離（放物線の長さ）なので、発射位置からの直線距離は……計算方法がわからないけどそれより短いはず。でも、550メートル/秒の速度には落下加速度が加わっているはずなので、実際の飛距離はどうなるんだろう？ 弾丸がほぼ垂直に落下しているということは、角度も高かったはずで……うーん、よくわからないけど結果的に距離は6ブロックでした。
キャサリンは、ニックのために「お料理」したくらいで、ほとんど出番がなかった。ボビーが “Firing one at 100%!” “Firing one at 70%!” と大声で叫んで試射するところはカッコ良かった～。ラボに銃声が響くわけだから、やはり「撃つよー！」って知らせないといけないのかな。
ブラス警部とウォリックがベニーの家に行った時、「人間の血かどうか」の検査結果を見せて「DNAが被害者と一致した」と言っているのだが、あれはベニー親子をひっかけるための嘘……だよね。捜査の手法としてOKなのかな？
— Yoko (yoko221b) 2006-03-28