CSI - Season 6, Episode 4
I'm sure if there is something out there looking down on us from somewhere else in the universe, they're wise enough to stay away from us.
郊外の住宅で家宅侵入事件が発生。その家の主人コープランド氏が、夜中物音に気づいて階下へ降りていくと、浮浪者のような汚い身なりをした男女10数名が庭にいた。コープランドが銃を向けて全員逃げ去ったが、その後に男性の遺体が残されていた。
遺体は死後約12時間が経過しており、またその近くには多数の足跡とともに何かを引きずった跡もあったため、死体遺棄と思われた。グリッソムとキャサリンは足跡をたどり、黒焦げになった車を発見。その近くには使われなくなった軍事施設らしい掩蔽壕があった。地下へ降りてみると、そこには寝台に横たわった11人の若い男女の遺体があった。そして12番目の寝台には誰もいなかった。別の部屋には壁一面に宇宙人のイラストや記事の切り抜きが貼られ、星座の投影機が置かれていた。11人の死亡推定時刻が、ちょうどオリオン座流星群がピークに達する頃だったことからも、宇宙人を信じるカルト教団の集団自殺ではないかと思われた。
コープランド家の庭に残された足跡は、コープランド夫妻の物を除いて12人分。うち11人は掩蔽壕で死亡した男女のもので、残る1つは不明だった。遺体のそばに落ちていたボトルの指紋は被害者の物だが、そのそばにあった漏斗の指紋は身元不明。現場から立ち去った、12番目の寝台の主がいるはずだった。
庭に遺棄された遺体の身元は、旅行代理店に勤務するタイ・ベントリーと判明。掩蔽壕のエレベーターシャフトからはタイの血液が検出されており、全身に打撲傷があったことから、タイはそこで転落死した可能性があった。職場で話を聞くと、タイは最後に出社した日に元彼女のエマのことで顧客の1人と争ったという。その客はジョセフ・ダイアモンドという名で、オーストラリア行きの片道切符を申し込んでいた。
死亡した11人の若者は大学生で、エマという若い女性が同じ大学の学生を数名カルトに勧誘していたことがわかる。彼らは皆、獣医で使用されるタイプのケタミン(全身麻酔薬)とアルコールを摂取していた。ソフィアとニックは、動物病院でケタミンが盗まれた事件があると知り、現場へ赴く。
一方、グリッソムとキャサリンは、現場近くでコンドルが空を舞っていることに気づいていた。その真下にはBMWが隠されており、トランクには撲殺されたジョセフ・ダイアモンドの遺体が入っていた。ジョセフ・ダイアモンドは今までに、カルト教団を設立し、若者を巧みに勧誘して入信させ、金を出すだけ出させて持ち逃げするという事件を2回起こしていた。ただし、過去の事件は睡眠薬で眠らせるだけで、信者が死亡したのは今回が初めてだった。また、ダイアモンドは若者たちより前に死亡していたこともわかる。凶器と思しきタイヤレバーからは、漏斗と同じ身元不明の指紋が検出された。
死亡した男女の中には、タイの元恋人だったエマもいた。エマの両親はモルグを訪れ、他の遺族たちを見回してアビゲイル・スペンサーの母親がいないと言う。アビゲイルはエマと同じ大学の学生で、同時期に失踪していた。死者の中にアビゲイルはいなかった。さらに、アビゲイルは窃盗事件のあった動物病院で働いていたこともあった。
ブラス警部は捜索令状を持ってスペンサー家に向かう。アビゲイルは逃げ出し、納屋でケタミンを飲むが警部らが到着し、胃を洗浄して一命をとりとめた。アビゲイルはダイアモンドが自分たちを裏切ろうとしていることを知って殺害。そして仲間たちとともに「昇天」するためにケタミンを盗んだ。そしてエマを連れ戻しに来たタイを突き落としたのだ。エマが動転したためタイの遺体を遺棄し、仲間たちにケタミンを飲ませた。だが彼らが死ぬのを見て怖くなり、家に戻ったのだった。
今回は面白かった。ストーリーはシンプルだったものの、舞台設定や道具立てに興味がわいて、最後まで飽きさせなかったと思う。ただ、欲を言えばアビゲイルの言葉だけでなく、証拠からタイムラインを再構成してほしかったかなと思うけど。でも、それはそれとしてストーリーは楽しめたので良いことにする。
カルト集団が登場したのは、ドラマでは今回が初めてかな。シーズン5「ラスベガス狂気の夜」のUFO教会は、商売で「ショー」を見せているだけだったし(しかもプレスリー牧師兼業)。ただし小説では、Don Cortezの『カルトの狂気』があった。小説に登場したグループはサイエントロジーを思わせたが、今回はUFO/宇宙人系。主任の台詞にも「Heaven's Gateと同じような」とあった。単語帳にも書いたが、Heaven's Gateは97年にサンディエゴで集団自殺事件を起こしている。ヘールボップ彗星が来るのに合わせて自殺したこと、睡眠薬とウォッカを混ぜたものを飲んで死亡したこと、遺体がベッドに整然と並んでいたことなど、今回の事件との共通点がいくつか見られる。
終盤で自殺しようとしたアビゲイルが「光を見る」場面。これはもう「X-ファイル」とか「TAKEN」とか、その手のドラマでは定番みたいなシーンだ。「え、CSIでまさかこんな……幻覚?」と思ったらヘリの光でしたか。良かった。
他に面白かった場面としては、主任とキャサリンの「砂漠でお散歩」が微笑ましかった。今シーズンに入ってからこの2人のツーショットが増えたような気がするが、前シーズンでチーム解散していた反動かな。
あと本筋とは関係ないけれど、今回はウォリックの奥さんティナが初登場。お医者さんで、同じ病院に前夫(元彼?)が勤務しているので、ウォリックもいささかそれが気になる様子。でもこのシーンのウォリックの顔、眼差しが死ぬほどセクシーなんですけど!
地下に降りて行くニックがためらいを見せるシーンも良かったと思う。普段は忘れているのに、ふとしたことで記憶と恐怖が蘇ってきてしまう……というのが、生々しく感じられて。それでも、下に降りてからは、ちゃんとプロとして正確に仕事をこなしている。タイの血痕に気づく余裕があることからも、トラウマを確実に克服しつつあるんだなと感じさせられた。ソフィアとのコンビも、けっこう良い感じね。
それにしても、カルトのメンバー11名、教祖1名、部外者1名、計13人というのは死者数としては最大ではないかな。事故か他の事件でモルグが「野戦病院」のようになっていたエピはあったような気がするが(どのシリーズか忘れた)、メインで扱う事件として、これまではシーズン2「暴走バス24人の運命」の9名が最大だったと思う。違ってたらごめん。
— Yoko (yoko221b) 2006-12-24