CSI - Season 6, Episode 22
You know, the biggest fantasy in Vegas is that everything here happens by chance. Nothing here happens by chance. The odds are set before you get off the plane.
パレルモ・ホテルの外で、ジェフ・パウェルという若い男性の遺体が発見される。死因は首を殴打されて骨が砕けたための窒息。ジェフの部屋にはコカイン、ベッドにはブロンドの女性がいた痕跡があった。持っていた上等な皮のジャケットは、他の衣服とは釣り合わず、着ていた服には下着にだけ赤ワインのしみがあった。ジェフが乗っていたレンタカーの赤いフェラーリには、黒のコルベットと接触した形跡があった。
アーチーは監視カメラの映像からブロンドの女性を発見。その女性はハイディ・ウォルフといい、ビリヤード場でジェフと意気投合して楽しんだことは認めたが「自分は遊びのつもりだったのに彼が本気になったので逃げた」と主張する。
ジェフが持っていたクレジットカードは、雇い主である映画プロデューサーのミック・シェリダンの会社が発行していた。ジェフはミックのアシスタントで、ミックの離婚に関して大きく貢献したので、その報酬としてリッチなベガス旅行を満喫していたという。
ジェフの車と接触したコルベットもレンタカーで、乗っていたのはランディ・ボーレンという男だった。ランディはビリヤード場でジェフと勝負して負け、腹いせにジェフの車を追跡してぶつけたことを認めたが、殺害は否定する。さらに監視ビデオの映像を調べると、ハイディがジェフの服にわざと赤ワインをこぼし、代わりに高価な衣服をプレゼントしていたことがわかる。フェラーリを借りたのもハイディだが、料金を払ったのは「カプリス」という会社で、なぜかランディのコルベットも同じ会社が料金を払っていた。
「カプリス」の経営者アンソニー・カプリスは、同社の業務は顧客に「ファンタジー」を提供することであり、ジェフの「ファンタジー」も前もって台本が作られていたと説明する。ハイディとランディはそのために雇われていた。だがカプリスは、ジェフの殺害はその一部ではないと言う。カプリスは実際に料金を払った顧客の名を明かさなかったが、雇い主のミックであることは明らかであると思われた。その理由として、離婚に関することではなく、ミックのドラッグ使用を隠蔽していたという疑惑も浮かぶ。
ジェフのための「台本」を調べると、ハイディは「金持ちだが横暴なボーイフレンドに泣かされている気の毒な女性」を演じてジェフの同情を引くことになっていた。その「相手」にされたのはバカラのテーブルにいた韓国人のデニス・キム。ジェフは「ロマンスと興奮」のファンタジーを満喫した後、すっかりスーパーマンの気分になり「ハイディから手を引け」とキムに言ったため、ボディガードに首を蹴られて死亡したのだった。
最近は、キーボードを叩けば否定的な言葉ばかり出てしまって、本当に(いやもう、本当に)書きにくいのだが、今回も……うーん、どうしたもんだろうなぁ。「ファンタジー」を提供するサービス、夢と現実の裂け目に落ちた若者の悲劇――と、こういう話ならもっと劇的になっても良いはずなのに。
多分「謎が解けた快感」が足りないのだろう、と思う。「これは何?」「なぜこれがこうなっているんだ?」という一見不思議な状況があって、証拠から事件を再構成して「ああ、そういうことだったのか!」とぽんと膝を打つ、この快感が足りないと思う。証拠の収集・分析はそのリアリティを支える装置であって、必要ではあっても、それ「だけ」じゃダメなんだと思う。
事件よりも、後半の方で見え始めたグリッソムとサラの微妙な関係の描写にばかり力が入っている感じがして。この2人がくっつくのは良いんだけど、事件描写より力が入っちゃダメでしょう、と思うわけなのだ。それも、レギュラーなエピソードがびしっびしっと決まっていて、途中に息抜きのようにこういうエピソードが入るならともかく、今シーズンは全体に事件がぱっとしない感があるので「恋愛より先にやることあるだろ!」とか思ってしまうのよね。“Since I met you.” の頃は良かったなぁ。
並行して見ていたマイアミでも恋愛描写にイライラさせられたので、相乗効果ってのもあるかもしれないんだけど。その点、フィナーレとフィナーレが重ならない日本の放送スケジュール(WOWOWもTXも)なら、そうでもないのかなぁ。
まぁ、マイアミのままごとのような恋愛描写に辟易とした後で見ると、グリッソムもサラもしっかりした「大人」の質感があるキャラなので、その点は安心して見ていられるのだけど。
— Yoko (yoko221b) 2007-05-23