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CSI - Season 8, Episode 16

#181 Two and a Half Deaths


事件概要

アナベル・ファント、ナターシャ・スティール

人気女優のアナベル・ファントが、撮影のため宿泊していたホテルで死亡する。死因は頭部の打撲傷で、何者かと争って倒れた時に、テーブルの角で頭を強打したものと思われた。口の中にはゴム製のニワトリが詰め込まれていた。アナベルはコメディドラマの主演女優だが、撮影中はプロデューサーを罵倒し、共演者をないがしろにし、脚本家は次々にクビにし、その一方でお気に入りの運転手兼恋人をプロデューサーに取り立てるといった暴君ぶりで、彼女を恨んでいる容疑者には事欠かない。恋人のバドは2日前にアナベルと結婚しており、彼女の死で遺産を手に入れることになる。

現場のクローゼットには尿の入ったペットボトルがあり、薬物検査をごまかすために他人の尿を調達したのではと疑われる。カーペットの足跡から女性がいたことがわかり、代役女優のナターシャが疑われる。ナターシャはアナベルの単なるボディダブルではなく、整形で顔までそっくりにされ、あらゆる場面で代役を務められるようにされていた。だが、ナターシャはハリウッドのスタジオで車の事故により死亡する。

ブラスとグリッソムはハリウッドへ向かい、車のチップが細工されていることに気づく。その車はアナベルが借りたもので、本来はアナベル自身がベガスで乗るはずのものだった。その近くでは、アナベルの共演者だったメーガンが、愛犬の死に号泣していた。

一方ベガスでは「アナベルの結婚式」の様子を撮影した動画が発見され、新婦が実はアナベルではなくナターシャだったことがわかる。バドが遺産狙いでナターシャと手を組んで結婚式をでっち上げて彼女を殺した――という疑いが生じるが、バドはどちらも殺害していないと主張する。バドには車の細工もできそうにない。

ゴムのニワトリに付着したDNAは、クローゼットの中の尿と一致。尿のボトルは薬物検査対策ではなく、実はクローゼットの中に隠れていた犯人が生理的な必要からペットボトルを使用しただけだった。指紋からその人物は、大道芸人のリチャード・ラングフォードと判明する。

リチャードは以前にアナベルの番組に出演したが、彼女に言い寄られて断ったために失業。何とかもう一度使ってほしいと頼むため、新人脚本家のふりをしてアナベルの部屋を訪ね、クローゼットに隠れて彼女が1人になるのを待った。だが、ふとしたはずみで彼女を突き飛ばして死なせてしまい逃亡。ニワトリを口に詰めたのは、他の脚本家たちに疑いを向けさせるためだという。

だがロビンスは、アナベルの血液が凝固していないことを不審に思って血液検査を行い、抗凝血薬のヘマディンを摂取していたことを知る。アナベルのウォッカにはヘマディンが混ぜられており、LAの検死官に問い合わせたところ、ナターシャにも同じ兆候が見られた。共演者だったメーガンは愛犬の治療用にヘマディンを持っており、獣医に「犬が吐いてしまうから」と言って余分に処方してもらっていた。それをこっそりアナベルに飲ませて車に細工すれば、たいした怪我でなくても血が止まらずに死亡するはずだった。だが犯行を立証できるだけの証拠はなかった。

その頃、洗面所でヒゲを剃っていたバドは、カミソリで首を切るがそこで血が止まらなくなり……。


感想

CBSのシットコム「チャーリー・シーンのハーパー★ボーイズ(Two and a Half Men)」との脚本家クロスオーバー。……って何よ? と思ったら、1話だけ脚本家を入れ替えて、お互いに相手側の脚本を書いたエピソード。ストーリーにつながりがあるとか、向こうからキャラが出張してきているとかいうわけではないらしい(カメオ出演があるだけ)。

うーん、でも同じCBSネットワークの人気番組という以外はこれといって共通点もあまりなさそうだし、「ハーパー★ボーイズ」を見てみようとは思わないなぁ。パロディネタがあっても、元ネタ知らないんじゃどうしようもない。どっちかというと書き手や俳優の側が、普段と違うことやれて楽しい、みたいなエピソードなんじゃないかと思った。

面白かったのは、ウェンディとホッジスのやり取りと、カーペットの血の跡を見せて「何に見える?」のあたりかな。ゴム製のニワトリって、モンティ・パイソンでもよく見たけど、コメディには付き物の要素だったのか。

“Jump the shark” をめぐる警部と主任のやり取りは笑えなかった。“Jump the shark” というのは、コメディドラマ “Happy Days” の中で実際にサメにジャンプした場面から来ているが、人気ドラマが絶頂期を過ぎて面白くなくなる瞬間、またそれに対して(無駄な)テコ入れをやりだす時期のことを言う。なぜ笑えないかというと、CSI自身がとっくの昔にjump the sharkしてしまっていると思うから。グリッソムがこの言葉の意味を知らなかったというのは、何というか自分がjump the sharkしたのが見えていない、みたいな痛烈なブラックジョークのように思えてしょうがなかった。

次回のフィナーレで重苦しい展開が予想されるので、その前の箸休めとしてこういうお遊びは悪くないと思うが、でも前回もお笑いっぽかったし、ちょっとやりすぎではないだろうか。何だか今シーズン、重苦しいエピとお笑いの両極端が多い気がして。場面設定なども「本当になったホラー映画」とかぶってるし、脚本家をクロスオーバーさせた意味があまり感じられなかった。リアルタイムで両方の放送を見ていればまた違う印象があったのかな……。

Yoko (yoko221b) 2009-12-04