CSI - Season 9, Episode 16
ニックの誕生日にケーキで祝う仲間たち。だが「パークパインズ・モーテル」で遺体発見の報を聞き、ニックは祝いもそこそこに現場へ向かう。この1年でニックがその現場へ向かうのはこれで4度目だった――。
ニック、グレッグ、ヴァルタン刑事担当。「パークパインズ・モーテル」で、宿泊客のハリー・ステッドウェルが死亡する。死因は家具の角で後頭部を強打したことと思われた。死亡して間もなく腐敗もしていないのに腐敗臭がひどいため、ニックは臭いの素を探そうとするが、管理人は1週間前から行方不明。新しい管理人のマーク・ジョーンズは妻と娘を連れて来たばかりなので、ニックに鍵を渡し「勝手に調べてくれ」と言う。
腐敗臭の原因は、屋根裏の腐乱死体。姿を消した前管理人であった。ポケットには札束があり、調べてみるとハリーと管理人の指紋が付着していた。
管理人は、宿泊客が後ろ暗い金を屋根裏に隠すことを知り、電磁石で蓋を固定できるよう細工していたのだ。ハリーはモーテルにチェックインして金を隠し、管理人は蓋を固定して開かないようにする。その後ハリーが警察に逮捕されたので、管理人はその隙に金を取ろうとしたが、蓋を開閉するリモコンの電池が切れていたので隣の部屋から屋根裏に入ったものの、汗に濡れた手でむき出しのワイヤーに触れて感電死したのだった。
釈放されたハリーは天井裏から金を出そうとするが、蓋は管理人が固定したまま。そこで銃を使って開けようとしたところ、銃が磁石にくっつき、はずみで発砲。その反動で後に倒れて頭を撃って死亡したのだった。
キャサリン、ニック担当。「パークパインズ・モーテル」で、女子高生のブリー・リンデールがレイプ被害を訴える。ブリーは管理人の娘ヘイリー・ジョーンズの親友で、このモーテルには出入り自由だった。
その日はブリーの16歳の誕生日だったため、焚き火を囲んでパーティをしていた。途中で意識を失い、気がついたらモーテルの部屋にいて、ヘイリーの父マーク・ジョーンズがいたという。ブリーは「ヘイリーとは親友だったけど、髪型を真似られてムカついたので絶交した。ヘイリーの母親は自分をジロジロ見て気持ち悪い」と言う。
ブリーの血液からはデートレイプドラッグが検出されるが、性的暴行の形跡は見られなかった。また、ジョーンズ家の車にはパーティのあった場所の泥が付着していたが、それは母親のニコールがこっそり行って写真を撮ったせいだった。ニコールは当初「ああいうパーティが危険なことをヘイリーにわからせたくて」と主張したが、実はブリーの写真をこっそり撮っていたのだ。ニコールには以前、メリッサという娘がおり、赤ん坊の時に死亡していた。ブリーはメリッサによく似ていたので「メリッサが生きていたらあんな風だったろう」と思っていたのだった。
ブリーに薬をのませたのはボーイフレンドのうちのひとりだったとわかるが、結局何もしないうちに薬が切れてブリーが目を覚ましたので未遂だったという。ブリーはその後、自分で歩いてモーテルへ行き、ヘイリーに「もう友達じゃない」とわからせるために狂言を仕組んだのだった。
ニック、ライリー担当。「パークパインズ・モーテル」で再び、宿泊客が死亡。今回は刑務所を出たばかりの薬物依存症の女性、ターニャ・キャロウ32歳。当日、女性が来て言い争っていたことがわかるが、結局相手は不明で、メタンフェタミンの過剰摂取による死亡ということしかわからなかった。
ターニャの父親は「娘とはここ数年、ろくに口もきいていなかった」と後悔し、モーテルの前に16歳当時のターニャの写真を置き、ロウソクと花束を供えて去って行った。
ニック、ラングストン、ブラス警部担当。現場に到着したニックは、胸を一突きされて死んでいるヘイリー・ジョーンズの遺体を見る。ヘイリーは、モーテルで死んだターニャの父親が置いていった写真を持ち、その写真の彼女と同じ髪型にしていた。
ニックはその写真がターニャであることを知らないまま写真を分析し、1993年にアリゾナの少年拘置所で撮られた写真であることを知る。当時出産した白人女性は3名、そのうちの1人がターニャ・キャロウで、出産したのはヘイリーの誕生日と同じ日だった。つまりヘイリーはジョーンズ夫妻の養女で、実母はターニャだったのだ。
マーク・ジョーンズはようやく事実を認める。ターニャは単なる宿泊客ではなく、むかし雇っていたベビーシッターだったのだ。だが彼女は薬物依存で、赤ん坊のメリッサをバスタブに放置して死なせてしまった。ターニャは拘置所に入ってから妊娠に気づき「命を償いたい」と言って自分の生んだ娘をジョーンズ夫妻の養女にしたのだ。
ニックはモーテル付近を調べるうち、宿泊客の男性に話しかけられる。1年前には薬物依存だった男だが、徐々に立ち直り、今では大学に入る準備をしていた。ターニャが死んだ時、彼はジョーンズ夫人がターニャの部屋から出て来て、遠くまでゴミを捨てに行ったのを見て不審に思い、ゴミ箱を開けてみたところ、カップとメタンフェタミンが捨てられていたという。その当時は「自分のような人間の言うことなど信じてもらえない」と思っていたが、薬を止めて立ち直ったので、ようやく話す気になったのだ。そして管理人の部屋を調べていたラングストンは、マットレスの下から血染めのシャツを発見。ニコールのものだった。
ニコールは「娘を殺した女の子どもなんか欲しくなかったのに、夫が勝手にあの子を連れて来た」と認める。そして髪を染めてターニャそっくりにしたことで怒り、「染め直さないなら切ってやる」とハサミを持ち出して脅そうとしたが、争っているうちにはずみで刺してしまったのだという。
「ターニャ事件の真相に早く気づいていればニコールは逮捕され、ヘイリーは死なずに済んだ」と自分を責めるニックに対し、ラングストンは「自分を罰したい時の自虐スタイル」を披露して慰める。
人気歌手のテイラー・スイフトがゲスト出演ということで話題になったエピソード。そのへん(カントリーミュージックなの?)に興味のない私にはごく普通に「ゲスト出演の女優さん」にしか見えなかったので、ゲストを意識せずエピソードに集中して楽しめた。時間軸を遡っていく構成とニックが良かった(特にニックが!)。
4つの事件に分割したので、ひとつひとつはごく単純な事件(最後のヘイリー殺害も含めて)だし、前回の「目撃者ガレス」とアイデア的にかぶっているのが少々残念な気もしたけれど、前回より今回の方が面白かったと思う。ヘイリーの七変化も良かったし、事件のたびに少しずつ明らかにされた過去の事情が最後のヘイリー事件でひとつに収束していくという過程が面白い。また、過去の事件と併せて「その頃の事情」がちらちら語られるというスパイスの利かせ方が、ファンにとっては嬉しい。
いかにも子どもっぽい初登場の姿から親友のブリーそっくりの金髪、そして黒髪ゴシック、生みの母そっくりのメッシュ入り、と派手に姿を変えていくヘイリーの陰で、地味にまともに変わっていく元ジャンキーの姿もとても効果的に使われていたと思う。
エピソードは現在から始まって、まず1年前に遡り、そこで思いがけず主任(当時)のボイスメッセージが! これは予期していなかったので嬉しい驚きだった。今のチームも良いけれど、やっぱり昔のチームが懐かしい~。その後の場面ではウォリックのことが言及され、ライリーが加わって。あぁあの時はこうだったんだな、と今シーズンを振り返ってしみじみしてしまった。
そうやってしみじみしていた所へ、教授とニックのロッカールームの場面!
ベガスチームで感情の中心は、やはりニックなのだと改めて思う。そしてラングストン先生はそれをちゃんと受け止めている。こういうやり取りを少しずつ積み重ねて、グリッソム時代とちょっと違う「今のチーム」を作っていこうとしているんだろうな。うん、昔のチームも懐かしいけど、今のチームも良いよ!
ニック&教授のMMコンビにはレディ・ヘザーの所でお仕置きしてもらうことをお勧めしたいが、レディ・ヘザーはカウンセラーに転職して館はもう畳んでしまったんだっけ。残念。
— Yoko (yoko221b) 2011-06-19