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CSI - Season 12, Episode 1

#252 73 Seconds


事件概要

トム・フィナティ、ロバート・マンドラー他負傷者3名

ホテルの間を結ぶトラムの車両内で銃撃事件が発生。主任として新しくD・B・ラッセルを迎えたベガス市警CSIチームがブラス警部とともに捜査に当たる。ハワイの研修から戻ったニックは、現場で被害者のポーズを取るラッセルの姿を見て驚く。床には吐瀉物のようなネバネバした液体が流れていた。ラッセルは「トラムを動かせないと困る」というホテル側の苦情にこたえて、現場になった車両をまるごとラボへ運ばせる。

事件は、乗客がトラムに乗り込んでから次に停車するまでの73秒の間に起きていた。死者のうち1名はNY在住のトム・フィナティ。末期の肺がん患者で、余命は長くなかったと思われた。フィナティの死因は銃ではなく刺殺。もう1名はアリゾナ在住のロバート・マンドラーで、彼は車内で発砲したために警備員に射殺されていた。負傷した女性は病院に搬送されて手術を受けるが、その前に救急隊員に対して「足が動かない」と訴えていた。脚には虫に刺されたような痕が残っていた。その女性の息子で6歳のエメットは「エイリアンがいた」と口にする。

粘着性の物質の正体はタコの粘液と判明。線路の下からタコの死骸が発見され、これが女性の脚を刺した「エイリアン」と思われた。ホッジスがタコの「用途」を思いつき、タコを持っていたのは防犯カメラに映っているアジア系の女性であろうと推測する。

その女性、シズ・ヨシはトラム内にいたことを認め、「自分をナンパしてきた男が別の男を刺した。私は事件とは無関係」と主張する。そのナンパ男は彼女に無理やりカードキーを渡しており、そのホテルに行ってみると、若い男性が浴室で自殺をはかろうとしていたが未遂で助かる。

男は刺されて死亡したトムの弟のジミー・フィナティ。部屋には血染めのナイフがあったが、ジミーは「自分は兄を殺していない」と言う。シズをナンパしている間にトムが刺され、驚いて思わずナイフを引き抜いたら、それを見てマンドラーが発砲し、銃撃戦になってしまったのだという。

ラッセルはニックとともに改めてトラムの車内を検証し、事件を再構成する。そこでニックは、扉の戸袋に隠れていた部分に別の血痕を発見。その血痕だけ凝固の様子が異なっており、違う時点で付着した物とわかる。トムはトラムに乗る前にすでに刺されていたのだ。

改めてエメットに話を聞くと、エメットは現場で100ドル札を拾って持っていることを認める。その紙幣には血の付いた指紋が付着しており、持っていたのは隣の車両に乗っていたアラン・クリックとわかる。クリックはジミーとともに窃盗をはたらいた前歴があり、彼だけが実刑になっていた。おそらくジミーが金を独り占めしていたのだろう。クリックの電話の通話記録からも、彼がジミーを追うように移動していたことがわかる。そして紙幣はトムが銀行のATMから引き出したもの。トムは弟を守るためにクリックに自分の金を渡し、怒ったクリックに刺されたのだ。ジミーの協力でクリックは無事に逮捕される。

デル・ハートリー

サラ、グレッグ担当。ブライム郡で男性の変死体が発見される。外見はまだ若い男性だが、胸や腹部は老人のようにシワだらけだった。皮膚は一度強く引き伸ばされたような状態になっており、結合組織や皮下脂肪は分離している。

衣服の痕跡から被害者はハンターらしいとわかり、グレッグは男性の死因は「エアコンプレッサー」ではないかと思いつく。グレッグの従弟が北欧でハンターをしており、皮膚をはがすためにその装置を使っているのだ。実際、被害者の身体からは業務用エアコンプレッサーに使用する潤滑油が検出されていた。

そこで該当するエアコンプレッサーを探した所、トラックの休憩所を経営するギブスが被害者を知っていることがわかる。ギブスと被害者のハートリーは狩り仲間で、一緒に鹿を仕留めたものの、獲物が途中で息を吹き返してハートリーを角で刺した。感染症を恐れたハートリーは、傷口を洗浄するためにエアコンプレッサーを使ったが、それが傷口から抜けなくなり、身体にどんどん空気が注入されてしまいに死亡。ギブスは、死亡事故で商売に支障が出ることや、狩りがまだ解禁されていなかったことなどを気にして、遺体を置き去りにしたのだった。


感想

ラングストンの処遇はどうなるのか? という謎を残して終わった前シーズン。結局ラングストンはハスケル殺害の罪を問われることはなかったようだが、ベガス市警のラボは辞めてグロリアとともにボルティモアへ帰ったようだ。ブラス警部もロビンス医師も立場に影響はなさそうなので、拘束バンドの件は結局表沙汰にならなかったのだろう。

しかしキャサリンだけは無傷というわけにいかず、主任から降格され、シアトルからやって来たD・B・ラッセルが新しく主任となる。この人選にはおそらく、ラングストンの時代に「主演男優≠ボス」という図式で上手く話を作れなかった経験を踏まえてのものだろうと思うが、キャサリン降格という処分自体は無理のない人事異動だろう。

新主任のラッセル(D・Bは何の略かまだわからない)は、初登場場面でいきなり死体のポーズを取ってみたりする変人キャラ。何を考えているのかわからない飄々とした感じだが、事件の真相に確実に迫っているところは古典的「名探偵」像を踏襲しているようにも思われる。

そして、この手のドラマの主人公には珍しく、奥さんがいて夫婦円満のご様子。まぁラッセルの恋愛話とかされても困るので、これはこれで良いだろう。できれば奥さんはずっと電話の向こうにいていただきたい。

職場恋愛とかそういう方面に行きそうなのは、むしろもうひとりの新キャラの方だな。

今回は登場場面がほとんどなかったが、前シーズンのLA編で活躍したモーガン・ブロディ(エクリーの娘)がどうやらCSIの新メンバーとして加わりそうだ。いや、オープニングの映像に入っているのだから当然そうなるのだろう。子どもの頃に両親が離婚して、母親と暮らして父親とは疎遠だったようだ。で、さっそくグレッグが興味を示している様子……う~~ん。

同時期に2人新人を入れる、というのはドラマ制作的にはけっこう難しい状況のようで……という話はシーズン10の1話「ラスベガスリターン」にも書いたのだが、今シーズンも新キャラ2人で、片方は主演男優。モーガンは厳密には初登場じゃないけど、まぁ新キャラと言って良いだろう。CSIは女性の新人がいつかない傾向があって、ライリーは1シーズンで終わりだし、ソフィアとウェンディもオープニング入りしたと思ったらその翌年には降板。だから余計に心配ではあるのだが、LA編でのモーガンの活躍ぶりは良かったので、このまま良いキャラに育っていってほしいと思う。


使用楽曲

Yoko (yoko221b) 2014-12-28