CSI - Season 13, Episode 9
CSIの面々は、パトロール警官とチームを組んで夜の街をパトロール。刑事への昇進が決まっているクロフォードはニックとともに、他人のデビットカードを所持していた売春婦「チャスティティ」を逮捕し、その後麻薬売買の現場を押さえ、客と売人を連行。
若い男性が路上で生首を振り回すという騒ぎが起きる。マルコというその若者はアジア系の観光客と争い、駆け付けた警察に逮捕されるが、生首は作り物。彼は動画サイトにアップするために、仲間の女性に動画を撮らせていたのだ。だが騒ぎの途中、車の中で身元不明の若者が射殺されているのが発見される。また、タクシー運転手を殴ったということで、ドラァグクイーンのジョスリンことジョシュも逮捕される。
逮捕された売人のディナンはすでに前科二犯で、今回有罪になると三振法で終身刑。客の若者はボビー・リードといい、父親は市の法律顧問だという。素直な態度で取調べに応じ、今回はお咎めなしということになった。
ジョスリンは自分は妊娠しているという妄想に取りつかれているらしく、「破水した、産まれる」大声を出して暴れ、ハサミを腹部に突き立てて死亡する。
モーガンはチャスティティの持ち物を調べ、指輪の内側にブラスの名を見つけて驚く。それはブラスが元妻に贈った婚約指輪だったのだ。離婚する時に娘のエリーに譲ったはずだった。チャスティティは「ジャージーという源氏名の売春婦仲間から200ドルで買った」と主張。ブラスは、エリーがベガスで街娼をしていることを知る。
チャスティティが持っていたデビットカードの名義人は「キース・ドブソン」。調べてみると、車の中で射殺されていた若者がその「キース・ドブソン」だった。チャスティティは「キースとその友達を客にしただけ」と主張。弾丸に旋条痕がないことから、銃に細工をした可能性が考えられた。
マルコと争ったアジア系の観光客、パクは発疹を起こして病院に運ばれる。フィンは動物の血が付着していることに気づく。マルコが振り回していた生首には、豚の血が付着していたのだ。血液を介した感染症が疑われたため、グレッグはマルコに対し「どこを歩いて誰と接触したかを詳細に思い出せ」と命じる。
その後、豚の血液に感染の危険性はないとわかるが、マルコの移動経路を見たサラは、2人がキースの射殺現場の近くを通っていることに気づく。撮影していたリディアが重要な場面を知らずに録画していた可能性が考えられた。マルコはリディアに電話をして動画を渡すよう頼む。サラも「関わり合いになりたくないなら、カメラをどこかに置いてくれるだけでいい。カジノ裏の新聞回収容器に捨ててくれないか」と頼む。
一方モルグではジョスリンの検死が行われ、胃の中からは袋に麻薬を詰めた「バルーン」がいくつも発見される。妊娠しているという妄想は、ドラッグが漏れ出たためという可能性があった。調べてみると、成分はオキシコドンなどの処方薬を混ぜ合わせたもの。バルーンで運ぶには珍しいものだが、クロフォードが逮捕した売人のディナンが持っていたものと成分が一致。
ディナンを尋問すると「あれは売買ではなく味見だった」と言う。客だと思って帰したボビー・リードが売っていた麻薬だというのだ。あの地域での麻薬商売は「マッドテン」という組織が牛耳っている。ボビーは「マッドテン」のボスであるザールへの仲介を頼んでいたのだった。
サラは新聞回収容器から無事にリディアのビデオカメラを発見。しかし、付近に血痕があることに気づいて調べると、近くでリディアが射殺されていた。どうやら犯人も、リディアをマークしていたらしい。
リディアの撮った映像を調べたところ、やはりキースの車が映っていた。車から降りる2人連れの顔を確認すると、それはボビー・リードとチャスティティだった。チャスティティは「ザールの命令でボビーを客にした」と認める。彼女はボビーに同行し、どこにいるか場所を逐一知らせるよう命じられていたのだ。ボビーは「友達を見かけたので、ちょっと声をかけてくる」と言って車を降り、危険を感じたチャスティティもそこで車を降りたが、その時キースはまだ生きていたという。キースはボビーと間違えられて殺されたものと思われた。
ホッジスの分析により、銃は3Dプリンタで製作されたものと判明。ザールが経営する店に、それを製作可能な機種が納入されていた。さらにフィンは、材料の成分を見て、パクがアレルギー反応を起こした物質であることに気づく。キース殺害の実行犯はパクで、リディアのカメラを狙って争っていたのだった。
市の法律顧問、デニス・リードは被害者の写真を見て、キースは息子ボビーの友人、ジョスリンは従兄弟のジョシュであると供述。離婚してからボビーは母親とともに東部へ行き、ずっと疎遠だったが、最近ベガスへ来て「サービス業を学びたい」という名目でクラブ通いをしていたという。
父親の説得でボビーが出頭し「町の帝王にのし上がってやろうとした」という野心を語る。チャスティティも取引に応じ、ボビーとともに囮になってパクをおびき出すことになる。
チャスティティの携帯からパクにメッセージを送り、ほどなく監視カメラにパクの姿が確認される。パクは途中でカメラの死角に入って姿を消すが、チャスティティと入れ替わった女性警官ワイスにより無事逮捕される。
パクはザールに関してはいっさい供述せず、ザールの店からも3Dプリンタは見つからなかった。チャスティティは何者かが保釈金を払ったらしく、ブラスに「お嬢さんを探してあげて」と伝言を残して去って行った。
最初はバラバラに見えた事件が実は相互につながっており、警察署内での大騒ぎが死亡事件に発展――という展開がどうもデジャヴ。と思ったら、シーズン8の「パラレルワールドの絆」と似てるのかな。しかしエピソードの詳細を見ていくと「似ている」というほどでもないような気もしてきた。
もうひとつ、3Dプリンターが出てきたところでNYのシーズン9「コマンド+P」を思い出した。2012年11月の終わりにこのエピソードが放送され、翌2013年1月に「コマンド+P」なので、その間1ヶ月強。脚本が書かれたのは同時期だろう。ちょうど「3Dプリンタで銃製造」がニュースになった時期かなと思っていたが、今回あらためて検索してみると、完全に3Dプリンタで製造可能な銃「リベレーター」のデータが公開されたのは、それよりも後で2013年5月だった。
ということは、2012年に「データと材料をそろえれば銃の製造も可能だ」と懸念する声が上がり、それを早速エピソードに取り入れたのがこの2つということだろうか。黒幕と思われるザールは3Dプリンタごと姿を消してしまったので、何だかそのままNYへ逃亡して向こうの事件でも実は背後にいたんじゃないかという気になってしまった(むしろそのネタでクロスオーバーの方が良かった!)。
疑問に思った点としては、パクはリディアに映像を撮られたことを知り、彼女を狙って尾行していたはずなのに、カメラを回収していない点。捨てたところを見逃したか、タッチの差で警察が来たので断念したのか……。
事件と並行するように、今回のエピソードでは3組の「父と子」の関係が対比的に描かれた。息子の素行に手を焼く法律顧問のデニス・リード。娘のエリーがこの街で街娼をしていることに驚くブラス警部。そして関係を少しずつ修復しようとするエクリーとモーガン。どうやら保安官のリストンが辞任することになり、その後任がエクリーになるらしい。なんとエクリー保安官ですよ!初期シーズンの姿からは想像もできないくらいの出世ぶりだ。
今回リストンの指名、ということは前シーズンのフィナーレで「再選を目指し」ていたリストンが無事に再選されたということだと思うのだが、ということは再選してから1年も経たずに辞任? エクリーが後任になるとして、次は選挙に出るのだろうか。あ、でも任期は4年だからその前にCSIが終わってしまうのか……。