CSI - Season 13, Episode 21
「ゴーストハンター」を自称するダグ、オーウェン、キャリーという3人の若者が心霊スポットとして有名な食肉処理場に侵入し、幽霊の姿をとらえようとするが、その途中でダグが何者かに殺害される。
そこは20年前にウォルター・シムズという連続殺人犯が7人の少年を惨殺した場所。シムズ自身も逮捕後、公判中に移送される途中で脱走し、この処理場で警官に射殺されていた。ダグは、かつてシムズが被害者たちにしたように、フックで天井から吊るされ腹部を切り裂かれていた。検死の結果、ダグの切り傷はシムズの手口とそっくり同じであるとわかる。この情報は報道されておらず、シムズ本人か捜査関係者以外は知らないはずだった。
3人は記録のためにビデオ録画を行っており、声の反響や環境音などを分析することで、事件当時の位置関係を割り出すことが可能と思われた。ホッジスとヘンリーは再び現場へ向かい、音声の分析結果を実際の現場と突き合わせる。その結果、オーウェンは離れた場所におり犯行は不可能とわかる。
2人は食肉処理場に入った時から「ただならぬ気配」を感じていたが、それは通気口の換気扇が発する低周波音が原因だったようだ。低周波音は人間の耳には聞こえないが、悪寒や不安などを引き起こすことがある。ヘンリーがスイッチを切ると不快感が消え、これで大丈夫と思った矢先に、女性の悲鳴が響き渡った。
処理場内には殺害された被害者のための祭壇のような場所があり、おもちゃなどが供えられていた。そこでキャリーが撲殺されていたのだ。キャリーが持っていたレコーダーの音声を分析したところ、キャリーの悲鳴の後に子どもが笑うような声が録音されていた。
ラッセルは、シムズ事件を調べていた作家のタニクリフに事情を聞く。タニクリフは共犯者の存在をずっと疑っていた。シムズはいかにも悪人風の強面で、子どもたちが喜んでついて行くタイプではない。誰か別人が少年を誘い込む役目を引き受けていたのではないかというのだ。
シムズのグルーピーだったモニカ・ダウンズの存在が浮上するが、凶器のバットから検出されたDNAは身元不明の男性。そのDNAは20年前の事件で検出された身元不明DNAとも一致した。タニクリフの仮説どおり共犯者がいて、その共犯者がシムズの手口を真似た可能性が強まる。
モニカの言葉から「共犯者」は誘拐された8人目の少年という可能性が浮上したため、ニックは20年前の失踪者リストと身元不明のままだった指紋を調べ直す。その結果、食肉処理場の管理人トーマス・ポープの指紋がシムズの車から検出された身元不明指紋と一致。ポープの正体は行方不明者のひとり、ジョナサン・ハリスだった。
その頃グレッグは自分の霊感に導かれ、ポープの案内で処理場内に入っていた。そこでグレッグは子どもの笑い声を聞いて驚くが、それはポープの携帯電話の着信音だった。ポープもグレッグを殺そうと凶器を用意していたが、一瞬早く銃を抜いたグレッグに逮捕される。
グレッグは霊能力のようなものを自覚していたが、CSIになる時に「自分は科学を信じる」と決めていた。今回その決断が揺らぎかけたが、「犯人が後ろにいるのに、幽霊たちは誰も教えてくれなかった」と思い直す。
20年前の連続事件も現代の事件も残酷な犯罪なのだが、全体として軽い雰囲気のコメディエピソードみたいに仕上がっているのは、中盤にあるホッジスとヘンリーの場面が面白かったせいだろうか。冒頭のデイヴィッド&フィン、ラストのグレッグ&モーガンのやり取りも、コミカルな感じで面白かった。
この手の「怪談もの」はハロウィンの時期に多いが、今回はフィナーレ前の「箸休め」的なポジションに来た。今まではCSIたちが一歩後ろに引いてラボの分析官たちが中心になってワイワイやるエピソードが多かったのだが、気が付けばラボメンバーもホッジスとヘンリーしかいない。ウェンディはサヨナラ場面があったけれど、ボビーもアーチーもマンディもどこへ行ったんだろう……新メンバーも増えてないし。
事件とは直接関係ないが、最後にサラがラッセルに休暇を願い出る場面があった。以前サンフランシスコで担当した凶悪事件で、収監されていた犯人の仮釈放が審議されるので、それを阻止するための証言をしに行くらしい。これは今後、サラの個人ドラマに発展していくのだろうか? 昔の事件の証言とか言われると、何となくモンタナ1)の風を感じなくもないのだけど……証言中に昔の記憶がフラッシュバックしたところでグリッソムが現れる、なんていう展開にはならないよね。まさかね。