CSI - Season 14, Episode 9
スカイビュー・モーテルに宿泊していた夫婦客が体中を何十か所も刺されて殺害される。現場に来たニックとフィンは「以前にもこの部屋に来たことがある」と、それぞれに別の事件を思い出す。実は同じモーテルの同じ部屋で殺人が起きるのはこれで3回目だった。
1件目は11週間前に発生し、フィンとグレッグが担当。マーク・ベルという男性で、両足をナイフでめった刺しにされて失血死していた。ナイフは現場にあったが血まみれで指紋などは検出できていなかった。
2件目は4週間前に発生し、ニックとモーガンが担当。メキシコから来たガーネズ夫妻が襲われて妻のティーナは死亡、夫のアレックスは重傷を負い、命はとりとめたもののまだ入院中。意識はあるが精神的にかなり不安定な状態のようだ。
そして今回の事件では、アリゾナからアンティークドールの展示会を見に来ていたスミス夫妻が殺害された。浴室の痕跡から、頭ジラミの駆除剤と皮膚炎の治療薬を使用していた第三者が室内にいたことがわかる。
その人物は床の足跡から裸足で逃亡したものと思われるが、室内に靴は残されていない。最初から裸足だった――つまりホームレスだった可能性が考えられた。夫のリチャードの職業はホームレス支援なので、ここでもホームレスを世話しようと考えたのではないか。
付近のシェルターを調べたところ、ルディという男性の特徴が該当することがわかる。ニックはシェルターからルディを連行し、ルディは犯行を自供。モーテルの近くでチンピラに襲われたところを夫妻に助けられ、部屋へ招かれ親切にしてもらったが、「大勢の人形が話しかけて」きたために錯乱状態になり、ハサミで夫妻を殺害したという。
スミス夫妻の件はルディの犯行でカタがつき、残りの2件も同一犯かと思われたがその矢先、同じ114号室で4件目の事件が発生する。
高校の女教師アリソン・ストーンが錯乱状態で割れた瓶を振り回して暴れ、スタンガンで制圧される。室内では教え子のマシューが殺害されていた。
2人は不倫関係ではなく、ストーンは熱心で模範的な教師。マシューから悩みを打ち明けるメールを受け取り、心配してモーテルへ行き、部屋にあった酒類はすべて洗面台から流したという。事実、ストーンはまったく飲酒していなかった。モーガンはすべての事件に共通する「部屋」に原因があるのではないかと思いつく。
ヘンリーがホッジスとともにモーテルの部屋を調べに向かうが、その途中でホッジスの態度が急変し、ヘンリーに襲い掛かる。ヘンリーの通報でホッジスは病院へ運ばれ、LSDを摂取していたことがわかる。どうやら浴室で何かを吸い込んでしまったらしい。通常の毒物検査ではLSDを調べないため、今まで気づかれなかったのだ。
改めて浴室を調べると、自動消臭スプレーの管が隣の115号室につながっていることがわかる。115号室にいるのは長期滞在のオスカー。115号室に踏み込むと、クローゼット内のTVに114号室の様子が映し出されていた。だがそこは単なる中継所で、映像はオーナーであるトレントの居室に転送されていた。
トレントはこのモーテルを両親から受け継ぎ、生まれてからずっとこのモーテルで暮らしてきていた。子供の頃は家族連れの客が多く、旅行の経験がない彼は客たちの生活を覗き見ることに取りつかれてしまった。次第に見るだけでは満足できなくなり、LSDを部屋に仕込むことを思いついた。
マーク・ベルの足を刺したのはベル自身、そしてティナを殺害したのは夫のアレックスで、殺害後に自分の頭を打ち付けたのだった。
このエピソードからニックが復帰。どこかに研修でも行っていたのか、あるいは休暇だったのか。何の説明もなしに復帰していたのでちょっと拍子抜け。
事件は、時々あるオムニバス構成……かと思ったら、そうでもなかった。同じモーテルの同じ部屋で似たような猟奇事件が繰り返し発生する。2回目の時点で気づかなかったのだろうか。モーテルでの殺人って、実はそれほど珍しくもなかったりする?
フィンが最初に担当した事件、両脚を切断したのは結局被害者本人だった――という結論に至るのだが、「血液の語り部」たるフィンが担当していて、現場に他に誰もいなかったことがわからなかったのだろうか? 加害者がその場にいれば、その人の身体で返り血が遮られる空間が生じるし、逃走時の足跡などの痕跡も残るはず。その点も少々疑問に思った。
ついでに言うと、部屋を検証するヘンリーとホッジスも無防備すぎる。この後どちらかが毒物を摂取してしまうんだな、とう展開が少々あからさまに感じられた。
とまぁ、いろいろ言ったけど、最後の2人のやり取りが良かったので良いことにする。
— Yoko (yoko221b) 2020-12-31