小説版CSI:マイアミ第2弾。著者は今回もマックス・アラン・コリンズ。マイアミの麻薬組織の幹部が、白昼レストランで銃撃される。ホレイショはDEAの麻薬捜査官に協力を求めるが、直後にその捜査官が銃撃され負傷、妻が巻き添えで死亡する。事件は組織間の激しい抗争に発展、新聞には “GANG WAR!” の見出しが躍り、知事は州兵の出動を検討し始める。一方で、最初の現場で回収された銃弾からは、意外な「凶器」が捜査線上に浮かんでいた。
マックス・アラン・コリンズのCSI:Miami小説第2弾。良くも悪くも期待を裏切らない小説だと思った。各キャラの所作やストーリーの運び方が、ドラマのイメージどおりだったのは良かったけど、わりと早い段階から結末が予想できてしまったので……。
同じMACの小説でも、マイアミ版はちゃんとマイアミフォーマットになっているのがすごいなぁ。全員で一つの事件を追うところや、FBIやDEAなど連邦の捜査官(feds)が出張ってくるところ、アクションが多めで、バックアップを待てないホレイショが拳銃を手に突入しちゃうところなんか、いかにもマイアミ流。
ストーリーの運び方も、捜査と並行して事件が進んでいく(これもマイアミ流かな)という、スピード感のある展開で面白かった。麻薬組織が多すぎて、名前が次々に出て来て混乱したけど、まぁ大筋がシンプルなので、混乱したままでも大丈夫だと思う。ジェレミー・バーネットが撃たれてジョアンナだけ死んだあたりで、何となく結末が見えてくるし。
マイアミなのでホレイショがずっと出ずっぱりなのだが、その次くらいに活躍していたのがカリー。ベガス版で露骨にキャサリンを贔屓しているMACのことだから、マイアミでのお気に入りがカリーなのは、まぁ当然かも。ダイビング用のプールを使って小銃の射撃実験をするところなど、Bullet Girl の面目躍如といった感じで面白かった。
他の見どころとしては、まずホレイショが意外に働き者なところ。部下たちがそれぞれ作業を抱えて忙しいので、ホレイショ御大が自らフィールドキットを持って(自分用のキット持ってたのか!)現場へ向かい、証拠収集。いつもはスピードルが押し付けられているトイレの捜査までやってしまう。
イェリーナの印象も強い。今回、GANG WAR 事件の担当刑事はフランク・トリップで、イェリーナは別の事件でほんの数ページ登場するだけなのだが、何となくTVよりも刑事らしいというか凛々しい感じで好感が持てた。で、イェリーナはレイモンドと結婚する前にホレイショとつき合っていたとか書いてある(ふられたのか?)。うーん、でもシーズン2の「南米の極悪人」で、ホレイショはイェリーナに「君がレイモンドより前に、おれと出会っていたら……」とか言ってるから、これは違うんじゃないかな。
そんなこんなで全体としては楽しみつつ読んだのだが、欲を言えばホレイショの内面、特にレイモンドのことをもうちょっと語ってほしかったかなと思う。この犯人はホレイショの友人で、レイモンドが dirty cop の汚名を着て殉職した後も変わらず友情を保っていた仲間だったはず。その彼自身が、実は誰よりも dirty だったわけで、ホレイショもそれについて色々思うところがあったのではないだろうか。ドラマだと、腰に手を当てて遠くを見るだけで終わってしまうので(ファンはその映像から数多の言葉を読み取るわけだが)、せっかく小説なのだから、もっとバーバルな表現が読みたかった。
そうだ、指紋を取る場面で、スーパーグルーで指紋を取る方法を発見した日本人 “Fuseo Matsumur” の名前が出てきた。検索してみると、佐賀県警の人で(CSI:佐賀か!)、殺人事件の捜査中にこの方法を発見したらしい。知らなかった~。漢字ではどう書くのだろう。Matsumur は松村?
— Yoko (yoko221b) 2006-07-16