小説版CSI:マイアミ第3弾。今回から著者がドン・コルテスに交替。自然食レストランのトイレで、従業員が死亡した。落雷が原因の事故死と思われたが、現場を調べるうちに、人為的に落雷を発生させ感電死させた疑いが生じる。また、そのレストランのオーナー Sinhurma 医師のクリニックは、実はカルト組織であるという疑いがもたれていた。
ライアン・ウルフとイェリーナがいるので、時期的にはシーズン3かな。
MAC版もそうだったが、小説ではホレイショがCSIらしいのが良いなと思う。まぁ小説はあくまで二次的な作品で、本来の姿はTV版なのだとすると、これはホレイショらしくないのかもしれないけれど。しかしホレイショのあの様式美は映像でないと「様式」たりえないと思うので、小説には小説なりのホレイショ像が必要ではないだろうか。
この話のホレイショは、爆発物に関するエキスパートという専門性を遺憾なく発揮している所が良い。専門家に話を聞きに行く時や、終盤でカルトに洗脳されそうになっている相手に即席の「デプログラミング」を試みる所など、man of science として考え、行動している感じ。それでいて、SWAT 部隊を率いてエバグレーズのアジトへ向かう所では「行動派ホレイショ」としてのカッコ良さもきっちり押さえている。いや、とにかくカッコいいよホレイショ!Sinhurma がホレイショに「ミスター・ケイン」と呼びかけた所ではゾクゾクした。(実際、ホレイショの「ケイン」という名は創世記のケインと関係があるらしい)
ホレイショだけでなく部下たちも活躍。特にカリー。銃と弾丸は関連付けることができるが、第2の被害者は弓矢で射殺されている。弓と矢を関連付けることはできるのか?「可能だとすれば、それができるのはカリーだ」とホレイショに言わしめたカリーは、Bullet girl に続き Arrow girl の称号も獲得するのだろうか。カリーが弓矢の分析を一手に引き受けている間、デルコとウルフは最初の事件で使用されたロケット弾や電気器具を分析。この2人の間に潜在するライバル意識みたいなのも仄見えてはいるのだが、ちゃんとした良きライバルという感じで良かった。
実を言うと、ロケット弾を使った人為的な落雷の説明とか、ロケット燃料のこととか、矢に使う羽根の分析とか、ディテールの説明は何か難しかったのでほとんど読み飛ばしてしまったのだが、彼らが「科学捜査している」という雰囲気は伝わってきた。
そうそう、後半ではデルコが日本語の「サヨナラ」という文字を知っていることに驚いた。なんでも東京から来た交換留学生と付き合っていたことがあるとか……うらやましいぞその女子学生!
— Yoko (yoko221b) 2006-09-02