CSI: Miami - Season 1, Episode 6
Then we can still save 85 children.
遊園地で遊んでいた女の子ルーシーが、母親が目を離した一瞬の隙に姿を消し、トイレで死亡しているのが発見された。髪を切られ、男の子の服を着せる途中で放置されていた。遺体のそばには衣服のラメ。
そこにいた客は全員指紋を取られるが、数人の客が指紋採取を拒否。うち一人はラメ入りのシャツを着ていた。ラメ男には性犯罪の前科があり、子どもに近づかないことを条件に仮釈放されていた。だがラメ男は警報が鳴るまで監視カメラに映っており、犯行に及ぶひまはなかった。現場にあったラメは、従業員の制服のラメと一致。
犯人は遺留品を残さず、被害者の下着を持ち帰っていた。また監視カメラに映らないルートを選んで歩いていることや、サイズの合わない靴を履いたような歩き方から、綿密に計画された犯行と思われた。メーガンはルーシーの頭部から指紋を発見するが、前歴者のデータからは見つからず、指紋自体も奇妙な形をしていた。自分の指を切り刻み、破片を別々の場所に移植して指紋を変えたのだ。メーガンとデルコは指紋を拡大して傷口で切り、ジグソーパズルの要領で元の指紋を復元。
足跡からは珍しいアゲハチョウの卵が発見される。その蝶の生息地と、復元した指紋から割り出した身元から、犯人の生息地と思しき場所を発見。現場には子どもたちのいた形跡、子どもポルノビデオの山、遊園地の制服、行方不明になった子どもたちの写真のついた牛乳パックがあった。そして庭には何体もの子どもの遺体が埋まっていた。
発見された子どもの下着には、綿菓子の材料が付着していた。ホレイショは綿菓子の売り場を探し、ブツ切り指紋の主スチュアート・オッティスを発見。オッティスは薬物をまぜた綿菓子で子どのも抵抗力を奪おうとしたが、ルーシーが風邪薬を服用していたため、副作用で痙攣を起こして死亡したのだ。「あの子が誘ったんだ……まだ何もしてないのに」と言う犯人に、ホレイショは怒りを隠さない。
事件解決後、アレックスは子どもたちに話を聞かせ、ホレイショは公園で遊ぶ子どもたちを一人見守る――。
子どもが犠牲になる話、というのはフィクションとはいえ話が重くてやり切れないと思うことがある。今回の話は犯人の異常性ゆえにかえって気が楽……というと変かもしれないが、ドラマを見るスタンスとして「とにかくこいつは許せない!」という、気持ちの持って行きどころみたいなものがある。
作中の台詞には「子どもを対象とする性犯罪の常習犯が、一生のうち傷つける子どもは150人。収監すればそれが65人に減る」とある。それでも一人当たりだから膨大な人数には違いない。犯罪が絶えないことを思うと絶望的な気持ちにもなるが、それでも85人は救えるのだという、カリーの言葉に少し元気づけられる。
親子連れが楽しそうに遊んでいる遊園地、それが警報ひとつで様相が一変するところがすごい。楽しい音楽が消えて不安をあおるようなサイレンの音になり、シャッターが閉まり、鉄格子が降りてきて、まるで要塞か刑務所のよう。
それにしても、指をブツ切りにして指紋を改造するって! 実際に可能なのだろうか? 指紋を変えるなんて、皮膚をはがして貼りつけただけではダメなはず。真皮か、その下の肉ごと取り替えないとだめなんじゃないのか……? 理屈では可能かもしれないが、実際にそれができるかどうかは、かなり怪しい気がする。しかも自力でやるって。逆に、そうそう簡単に変えられるものでないからこそ、指紋は証拠として重要な意味を持つはずなのだ。それだけの知恵と根性、もっと他の(犯罪以外の)ことに使え!
ラストで子どもたちをじっと見守るホレイショ。ホレイショの言動からは、弱い者、傷ついた者たちを守りたいという気持ちが伝わってくる。犯罪は後をたたないが、ホレイショがいればそこは安全な場所――。でも、はたから見るとすげー怪しい。黒服、サングラスの中年男が、家族連れでもなく一人で子どもたちをじっと見てるって。
— Yoko (yoko221b) 2006-01-22