CSI: Miami - Season 2, Episode 18
You go home, get some rest, and you come back to work.
ホレイショ、スピードル担当。イスラエル国籍のアビ・モランという男が、白昼の公園で刺殺される。いったんは逃げ出したものの、犯人に追いつかれ、ナイフで何度も刺された。傷の位置が集中していることから、犯人はプロと思われた。
モランの職業は輸出入業だが、これは組織犯罪の隠れ蓑として使われる手だ。身体には隠しマイクを着けていた形跡があった。モランはFBIに協力して、シンジケート内の殺人事件の捜査をしていた。その殺人事件の容疑者はダニー・フィッシュという組織内の殺し屋。今回のモランの事件とよく似た手口だったという。
スピードルが証拠を採取している最中、CSIのジャケットを着た若者が現場に入り込み、証拠物件を持ち出す。スピードルは証拠を取り返そうとするが、バイクで逃げられてしまう。スピードルは現場のスケッチを調べ、ラテックスの手袋が1組なくなっていることを知る。
若者がCSIのふりをして現場に入り込む際に「エドモン・ロカール」(近代法医学の父と言われる人物)と署名していたこと、指紋を取るための石松子を持っていたことから、鑑識マニアの可能性が考えられた。若者が逃げたときに撮った写真を現像して、バイクのプレートを拡大すると、MDCLという文字が読み取れた。そこから、Miami-Dade Criminalist League(マイアミ・デイド犯罪学者連盟)が浮かび、証拠品を盗んだ犯人はウォリー・シュマギンと判明。ウォリーはやはり鑑識マニアで、手袋を「証拠品」として袋に入れて封をして棚に保管していた。
手袋の中の上皮はダニー・フィッシュの物だった。だが弁護側は証拠の排除を求めた。証拠を使うにはウォリーの証言が必要だが、証言するとなると危険が及ぶかもしれない。ホレイショは「おれたちが守ろう」とウォリーを呼ぶことにし、ウォリーはスピードルとともに、証拠品を持ち出して保管した時の行動を正確に記録する。
だが翌日、ウォリーは自宅で遺体となって発見された。頭を重い刃物で一撃されたのだ。「リジー・ボーデンの斧」がそばに落ちていた。だが押し入った形跡も防御創もない。しかも数回のためらい傷があった。自殺だったのだ。ウォリーは以前から自殺未遂の常習者であったという。
スピードルは手袋をあきらめ、別の証拠に取り組むことにする。現場には血痕が50箇所もあったので、全部は調べていなかった。それまでに調べた血痕はすべて被害者の血液。だが血痕をすべてを調べると、フィッシュの血液が1滴だけ発見され、犯行が裏付けられた。
カリー、デルコ、イェリーナ担当。ごみ箱の中に、拳銃で撃たれた若い女性の遺体がゴミ袋に包まれて遺棄されていた。服装から、クラブのホステスらしかった。バッグの身分証から、氏名はバーバラ・ナンス。身体から取り出した弾には、銀色の物質が付着していた。胃の中には蟻。コロンビアには、蟻を炒めて食べる料理があるのだ。カリーは現場の近くで、蟻の料理を出す店を探す。
バーバラはやはり、コロンビア料理の店のホステスだった。そこで、バーテンダーのマークとホステスたちの間にいざこざがあったという話を聞く。マークの靴を調べると、底に薬莢がはさまっていた。
その薬莢はバーバラを殺した物と一致。その日もチップのことでバーバラと言い争ったという。だが、遺体を包んでいたごみ袋は、店の女子休憩室のあったものだった。その部屋は鍵付きで、バーテンダーは中に入れないようになっていた。
銀色の物質は、宝くじに使われる液体ラテックス。被害者は、宝くじの券をブラジャーに入れていたのだ。休憩室には血痕もあった。カーテンと被害者の服に飛んだ飛沫血痕の形から、背が低い方のホステスが被害者を押さえつけ、もう一人が2メートルくらい離れた位置から銃を撃ったことがわかる。バーバラは同僚の金を借りてくじを買い、当たったら分けると言っていたのに、当たっていないと言い続けたため殺したのだった。
コロンビアでは蟻を炒めて食べるのか……そういえば、ベガスの主任は蟻を卵にかけて食べるとか言っていたような。
カリーって何だか不思議だ。バラバラ死体や水死体は平気、弾道検査のためなら嬉々として遺体に棒を差すのに、手首を電子レンジにかけるのはゾッとする。ヒルには喜んで大はしゃぎするのに、蟻んこはダメ。何となく「私に怖いものなんてないわ」的なイメージを持っていたので、意外だった。ラスト、蟻の巣から上って来た後は、きっとシャワーを浴びたんだろうな。
そういえば、マイアミではシャワーシーンって見ないよね……ベガスのサラもNYのステラもシャワーシーンの披露があったのに。いちばん回数が多そうなデルコのシャワーシーンくらい、あっても良さそうなものだ。デルコといえば今回はお店で女性客にモテモテ(どさくさにまぎれてチップもらってそう)。
メインの事件ではスピードルが活躍。「満月の惨劇」もそうだが、だんだんスピードルの人となりにスポットが当たってきたようだ。陽気なデルコやカリーのかげで、あまり目立たなかったようなスピードルだが、その朴訥な人柄には何だか好感が持てる。
ウォリーの部屋で出てきた「リジー・ボーデン」というのは、アメリカでは有名な未解決殺人事件らしい。1892年マサチューセッツ州のフォールリバーという街で、銀行家のアンドリュー・ボーデンと妻のアビーが惨殺された事件。外部から侵入した様子がないこと、アビーが殺されてからアンドリューが殺されるまで何時間か経過していること、などから内部犯行説が浮上。その時家にいたのはメイドと次女のリジーだけで、またリジーと継母のアビーが不仲だったこともわかり、リジーが逮捕される。しかし、状況証拠ではリジーが怪しいものの、決定的な物的証拠がないため、結局判決は無罪。
その「リジー・ボーデンの斧」には柄がついていないというが、最初からではなく、ついていた柄が折れたらしい。ただ、血痕も被害者の毛髪もついていなかったため、それが本当に凶器かどうかは確実ではない。犯行後に洗い落としたと思われたが、当時の技術ではそれが証明できなかった。現代のCSIなら、洗っても血液は検出できただろうし、被害者の傷口の形状ともちゃんと照合しただろうけど。
事件当時は、手口が残忍であったことや被害者が街の名士であったことから人々の関心を引き、新聞はとにかく売らんかなでトバシ記事を書きまくり(事前に裏を取るより、センセーショナルに書いて売るだけ売って間違ってたら謝ろうという感じ。すげー)とにかくすごい状況だったらしい。いつの時代もそうなのだなぁ……。しかし事件として見ると、警察や検察の不手際が目立つだけでそれほど謎めいたところもないので、同時代に起きたロンドンの切り裂きジャックのように、世界中の人々の空想(というか妄想)をかきたてる結果にはならなかったようだ。
— Yoko (yoko221b) 2006-06-28