CSI: Miami - Season 4, Episode 20
- I have a responsibility to see this story through. \\- I have a responsibility to this city.
すっかり廃墟と化し、取り壊しを待つばかりのデルガド・ホテルに、2人の若者が侵入して被害者を発見。ガルシア&マリアノ・バルガス兄弟で、ガルシアはすでに死亡していたが、マリアノの方は蛆虫が傷口を食べて消毒していたおかげでかろうじて生きていた。ホテルのオーナーのニコラス・スエロには、麻薬カルテルのボスという裏の顔があると言われていた。
バルガス兄弟の家へ行くと、部屋の床には銃弾が散乱し、通気孔の中には大量の100ドル紙幣が隠されていた。その紙幣は、16年前から採用されている印刷技術が使われておらず、ネズミに齧られた跡があったため、長年にわたって隠されてきたものと思われた。
バルガス兄弟の車は、3日前にマイアミ・デイド銀行の前で駐車違反の切符を切られていたことがわかる。兄弟が撃たれたのも、3日前と推定されている。銀行の支店長に話を聞くと、ちょうどその日、ATMの前に駐車していた赤いコルヴェットが盗まれたという。
3日前にコルヴェットといえば、大金を持って赤いコルヴェットで逃走していたカップルが跳ね橋で追い詰められ、逮捕しようとした時に跳ね橋が上がり、そこに吊るされた遺体が見つかったという事件があったばかりだった(「影からの逃亡者」)。
その時に逮捕されたカップル、レオ・リッグスとシエナ・ストーンは、予備審問を控えて現在保釈中。2人は拳銃を持っていたが、ガルシアを撃った弾は貫通して行方不明、マリアノを撃った弾は頭の中に残っており、摘出することは現段階では不可能だった。だが2人が持っていた紙幣は、バルガス兄弟が持っていた紙幣と同じように、周囲をネズミに齧られていた。
カリーとウルフはもう一度現場を調べ、飛沫血痕から弾の方角を割り出すが、その先には何かが持ち去られた形跡があった。案の定、第一発見者の若者がアンティークのタイプライターを持ち出していた。タイプライターのキーの間から銃弾が見つかるが、レオ&シエナの持っていた銃とは一致しない。
レオとシエナは、TV局の「独占取材」のため高級ホテルに滞在していたが、撮影中に突然狙撃される。狙撃に使われた弾丸は、タイプライターから摘出した物と同じ銃で撃たれたものだった。レオは、車を盗んだ時すでに中に大金があったと主張する。そのコルヴェットを改めて調べると、ネズミの噛み跡のある100万ドルの紙幣が隠されていた。
だがその紙幣はコルヴェットの持ち主とは何の関係もなく、レオとシエナが車を盗んだ時に、近くに停めてあったバンから盗んだものだった。銀行のATMに設置した防犯カメラは「故障中」とのことで映像を得られなかったが、現場付近の駐車メーターにカメラが内蔵されていたことがわかる。その写真を分析すると、そのバンはバルガス兄弟の物であり、さらに現金は銀行の中から運び出されてバンに積み込まれたことがわかる。
マイアミ・デイド銀行の支店長アダムスは麻薬カルテルのボス、スエロとコネクションがあり、連邦財務省の捜査が及びそうになったので、ほとぼりがさめるまで現金を別の場所に隠しておくことになった。そしてバルガス兄弟に現金を運ばせたが、スエロから「100万ドル足りない」と言われてしまう。それはレオとシエナが盗んだせいだが、アダムスはバルガス兄弟が盗んだと思い込み、2人をデルガド・ホテルに呼び出して処刑したのだった。だが現金は見つからず、いつスエロに殺されるかと怯えていたところ、レオとシエナのニュースを見て真相がわかった。そして2人がスターのようにちやほやされているのを見て怒り、腹いせに狙撃したのだった。
一方、レオとシエナはコンビニ強盗をはたらいて逃走中。しかも彼らの「ファン」が犯行に手を貸したという。2人はスエロのキャデラックに乗っていたが、途中でBMWを盗んで乗り換えてなおも逃げ続けていた。BMWに搭載したトランスポンダーで追跡して追い詰めると、2人は橋の上で車を停める。そして抱き合ってキスを交わした後、橋から河へと身を投げる。
BMWのトランクにはニコラス・スエロの遺体が入っていた。スエロは真相を悟り、100万ドルを取り返しに来て、逆に2人に殺されてしまったのだった。
「影からの逃亡者」の冒頭で、死体発見までの前フリにしてはえらく凝った仕掛けだと思っていたら、こんな形で再登場するとは。でも、これって6話も前の話なのに劇中で「3日前」になっているのが謎。放送順序が変わったにしても、ちょっと間が開きすぎなように思う。
でもまぁ、それはそれとして、今回面白かったのは、現代版ボニーとクライドのような破滅型カップル。同時期にベガスの「ラストショー」にボニー役のフェイ・ダナウェイがゲスト出演したこともあって、何だかそういう懐かしい雰囲気にひたってしまうのよね~(といっても映画の方は、さすがにリバイバルでしか見たことないけど)。レオ役の人も服装や髪型が何となく70年代風味だった。
さて前回はパープル集団、前々回はオレンジ集団だと思ったら、今回は再びオレンジ集団が増員してパワーアップして戻って来た。見事に皆オレンジ。スーツ姿でもネクタイがオレンジ。目撃者や通行人に至るまで、これでもかという程に、もはやオレンジ軍団。軍団の長はもちろん、髪がナチュラルオレンジの大将ですな。
並べ替えると赤から黄色へのグラデーションができそうよ。
これだけ揃うと壮観だけど、ちょっとやり過ぎかも。
フランクがレオ&シエナのことを “Sonny and Cher” と呼んでいたので検索してみたら、そういう名前の男女デュオを発見(下記リンク参照)。この人たちのことだろうか。確かに、何となくそう見えなくもない……。
最後のシーンは一応悲しい場面のはずなのだが、その前にかかっていたBGMの “Hey hey hey!” という歌詞で『サディスティック・19』の「へいマン」を思い出してしまったり、カリーが拳銃を腰のホルスターに2回も戻しているのが気になってしまったりしたせいもあって、何だかあまりしんみりできなかった。
そういえば、「現代版ボニーとクライド」みたいなスタイルに騙されて、すっかり凶悪犯カップルだと思い込んでいたが、この2人のそもそもの犯罪は結局「置き引き」と「乗り逃げ(しかも車の持ち主が保険金目当てにワザと盗ませた)」だったのよね……。この2つだけでは伝説にならん!と思ってコンビニ強盗に手を出したのか、それともスエロを殺害した後、「警察に追い詰められる」シーンを演じたくてコンビニ強盗をやったのか。何だかよくわからないけど、最後まではた迷惑な2人組だった。
— Yoko (yoko221b) 2007-04-22