CSI: Miami - Season 5, Episode 19
ホレイショは、以前に事件で知り合ったアンナ・シヴァーロから助けを求められ、ホテルへ急行する。ホテルのスイートには、メディア企業を経営するダグ・ランシングが、刺殺されたうえに頭皮をはがれた状態で倒れており、アンナの服は血まみれになっていた。アンナは「ダグとデートしていたが途中で気を失い、何が起きたのか記憶がない」と主張する。
アンナの服について血の形状は、床に流れた血が付着したという供述に符合し、部屋に残されていた食事からも意識を失わせる薬物が検出されたため、アンナの言い分は裏付けられる。室内のミニバーには、ドリンクを一度に取り出し、また元に戻した記録があった。部屋には入らないはずのベルマンの指紋が検出されたため、事情を聞こうとしたところ、車の中から大金が発見される。そのベルマンはランシングがミニバーに札束を隠しているところを偶然目撃し、食事に薬を混ぜて金を盗んだのだった。だが殺害につながる証拠はなかった。
ランシングの所持品には、郡政執行官スコット・オーシェイの選挙用バッジがあった。ランシングとオーシェイはインディアン・カジノ法(先住民にカジノ経営を許可する法律)の成立に尽力し、法案成立後はカジノの収益を仲良くピンハネする仲。カジノの収益は、本来部族の中で分配される物であるため、先住のキパヨ族には2人を恨んでいる者が多かったという。そして、分配金の運搬係がアンナ。アンナにはもうすぐ3歳になる息子がおり、その子に送金するために仕事を引き受けていたのだった。
ホレイショはアンナを自宅へ送り届けるが、そこには何者かが侵入した形跡があった。友人のテスがアンナに残した「黒い手帳」が盗まれたのだ。手帳には、テスの客だった(つまり買春をした)有力者の名前がいくつも書かれていたという。
偶然その近くで取材をしていたカメラマンがいたことから、侵入犯の正体はルイス・サリヴァンとわかり、手帳も回収されるが、サリヴァンは依頼者の身元については黙秘する。
一方、ランシングの頭皮の傷口からは、鹿の角の欠片が発見される。先住民が使用する工芸品のナイフの一部が欠けたものと思われたため、カジノを経営するヴェストン夫妻に事情を聞くが、その直後、夫のレジー・ヴェストンが殺害される。現場にあった紙吹雪の紙片から、犯人は妻エイドリアンと判明。エイドリアンは、手帳にレジーの名があったことに怒り、衝動的に刺し殺してしまったのだ。
関係者の中で先住民の血を引く者を調べた結果、ランシングの部屋に食事を届けた給仕のジェシーが1/16のキパヨ族であることがわかる。ジェシーは、食事を届けた時にランシングが電話で話しているのを聞き、カジノの収益を横取りしていることに怒っていた。その後部屋に行った時、ランシングとアンナはベルマンに薬を盛られて眠っていたため、ジェシーはその機会を利用して犯行に及んだのだった。
賭博禁止の州で、特例として先住民に認められている通称「インディアン・カジノ」。シーズン2の「骨に刻まれた凶器」にも出てきたけど、このキパヨカジノもエヴァグレーズにあるのだろうか。わざわざ特例を設けているということは、フロリダ州は賭博場禁止なのね。そういえば、「デスプール100」でも、カジノ船を仕立てて沖合まで出てから賭博をすると言ってたっけ。
「マイウェイ」のアンナ・シヴァーロとオーシェイ執行官が再登場。そして相変わらず、アンナに甘く執行官に強気なホレイショ。アンナの方にも「実は子どものために……」という事情があったことが明かされる。外見は新マリソルだけど中身は新スージーなのか? (それより本物のスージーとマディソンはあれからどうしたのよ?!)
今回も思いっきり過保護なところを見せるホレイショだが、アンナと執行官の出番はどうやら今回限り(2009年2月現在)。アンナの売春行為を寸止めしたのは、ホレイショの「お相手」として本筋に絡めるためかと思ったが、別にそうでもないのか。執行官も、こちらは新ラトナー判事というか悪事をはたらくという役割に終始している感じで、いまいちキャラ的に平坦で面白くない。結局アンナをどう使いたかったのだろう? と疑問だけが残ったような。
CSIシリーズでは「犯罪の近くにいるが悪く描きたくない」女性に母性という属性を与えたがる傾向があるのだろうか。ベガスのあの人もそうだったし、今にして思えばスージーもそうかな。こういう描写があると「この人を悪く思ってはいけませんよ」的なメッセージのように感じられてしまうのだが、どうだろう。「子どものため」という免罪符を与えるようでこういう傾向はあまり好きではないのだけど、それにしてもアンナの子は父親が養育しているし、現金の運び屋までしなければならないという状況にはあまり説得力がないように思う。