CSI: Miami - Season 5, Episode 20
映画の撮影現場で、車のトランクから主演俳優ブロディ・ラシターの遺体が発見される。ブロディは依存症のリハビリ施設に入院しており、施設から撮影所に通っていた。スタントマンのロッドは、前の晩にブロディとともにその車でクラブへ出かけたことを認めたものの、ブロディは何事もなく施設へ帰ったと主張する。ロッドは飲酒していたため、施設の前に車を泊めてしばらく仮眠し、酔いがさめてから撮影所へ戻ったという。
ブロディの死因は窒息。首に縄の跡があったが、縄をはずそうともがいた形跡があったため、首吊り自殺に見せかけて殺され、その後さらに遺体を動かされたという疑いがあった。その施設では以前に自殺者が出たことがあったため、現在は紐や刃物など、自殺に使えそうなものはすべて没収しているという。
施設はセレブ御用達で、プライバシーは守られていると言われていたが、実際は施設長自らが部屋に隠しカメラをしかけて盗撮写真をゴシップ誌に売り込んだり、患者が有名人の持ち物を盗み出して売りさばくなどの不正が行われていた。施設長は、ブロディが首を吊っているところを発見し、遺体を持ち出して車のトランクに隠したことを認める。再び自殺騒ぎを起こすわけにはいかないからだ。
ブロディの首を絞めた凶器は、デンタルフロスを編んでロープ状にしたものと判明。ブロディは入院してまだ日が浅く、フロスを編むほどの時間はなかったはず。長期に渡って入院している患者に話を聞いてみると、ジョリーンという患者がフロスを編んだことを認めたが、誰かに盗まれたのだと主張する。
患者たちから話を聞くうちに、ブロディが「懺悔」というプログラムに取り組んでいたことがわかる。それは自分が過去に犯した罪を告白するというもので、ブロディは「自分はかつて人を殺した」と話したという。ブロディの身体には、自動車事故と思しき古い骨折の跡が発見される。
デルコは過去の交通事故の記事を検索し、ひとつの記事に目を留める。その事故では、車を運転していた「ダイアン・コルベット」が死亡したとされていた。彼女は、ブロディの付き人エディ・コルベットの姉だった。ブロディは事故を起こした後、ダイアンが運転していたように工作し、自分はその場から逃げたのだった。
「懺悔」プログラムでブロディから真相を聞かされたエディは、怒って彼を突き飛ばした。倒れて頭を打ったブロディが息をしていないことに気づいたエディは、他の患者の部屋をあさって自殺に使えそうな物を探し回り、ロープを発見。首吊り自殺に見せかけようとするが、吊るしたショックでブロディは息を吹き返し、激しくもがいた。エディは怖くなってその場から逃げ出したのだった。
冒頭の格闘シーンがけっこう長い。これでどっちかが死んで、争いに至る原因が明かされてくるのかなと思っていたら撮影でした――という演出なんだろうと思うのだけど、「カット!」と叫んで消火する場面を予告編で見ちゃったので、何の意外性もない。ネタバレ予告やめろー!
今回の舞台はセレブ御用達の依存症リハビリ施設。なのに部屋に盗撮カメラを仕掛けられたり、依存症でもないのに役作りのために入院してくる新人女優がいたり。エンディングのモンタージュに登場した女性歌手がバリカンで髪を剃っていたのは、ブリトニー・スピアーズがスキンヘッドになったことへのアリュージョンとのこと。へーそんなことがあったのね。現実と虚構が入り混じるセレブ的世界をうまく描いている感じで面白かった。あの髪は本当に剃ったの? それとも特撮?
そんな中で、退院する決心がつかずに悩むジョリーンと、彼女を励ますエリックの場面はとても良かったなぁと思う。今シーズン、ナタリアやエリックの個人ドラマがいささか過剰な気がしないでもないのだけど、それらのドラマを通じて着実に成長していくキャラクターを丁寧に描いている点には好感を持った。
セレブたちの描写やエリックに気を取られて、肝心の事件の印象がいまいち薄くなってしまったけど、現場から逃げたブロディを激しく非難したエディが、その直後に自分が「現場から逃げる」羽目になってしまったという皮肉な展開だった。最初に突き飛ばした時にちゃんと処置していれば、ブロディも死なずに済んだのに。