CSI: Miami - Season 7, Episode 9
感電死させられた若い女性の遺体が発見される。被害者の氏名はキャシー・マイヤーズと判明。身体は拘束されていなかったが、瞳孔を散大させるシクロペントラートを投与され、視力を奪われていたことがわかる。
ナタリアは、1年前に起きたアリソン・ノヴェール殺害事件を思い出す。アリソンも同じように瞳孔を散大させていたのだ。その事件では眼科医のマックス・ポールソンが容疑者となっていたが、逮捕には至らず。当時事件を担当したレジー・マスタウ刑事は、ポールソンに強い疑いを抱いて強引な捜査を行い、殺人課から内勤へ異動させられていた。マスタウ刑事は今回のキャシー事件についてもポールソンを疑って暴力を振るったため、ホレイショは停職を言い渡す。
その後、8ケ月前に襲われたジェシカ・デイヴィスの事件にも同じ特徴があったことがわかる。ジェシカは事件の後に乳がんの診断を受け、現在は婚約者のデニスと暮らしていた。ジェシカは、当時被害届を出したが、マスタウ刑事は真剣に聞いてくれなかったという。マスタウはその当時の態度を悔やみ、ポールソンを待ち伏せしようとしてまたもトラブルを起こす。
デルコは、キャシーの遺体を赤外線で撮影し、薬を投与される前に頸部を圧迫して気絶させられていたことを知る。そのような知識を持ち実践できるのは、警官や兵士など特殊な訓練を受けた人間である可能性が高い。デルコは、マスタウ本人が犯人ではないかと疑いを抱く。
一方ナタリアはキャシーの足取りを洗い、美容院の近くで襲われて誘拐されたことを突き止める。現場にはグリースのような痕跡が残されていた。
その後、別の事件が発生。売春や薬物などの前歴を持つレイチェル・カルヴァードで、同じように瞳孔を散大させ、感電死させられていた。レイチェルは襲われて抵抗したらしく、手には毛髪が残されていた。毛根のDNAはポールソンと一致するが、彼には確かなアリバイがあった。マスタウへの疑いが強まる中、マスタウと親しいトリップは友人の無実を信じるが、現場で発見されたホルスターの切れ端から、マスタウの犯行が裏付けられる。マスタウは一連の事件の犯人はポールソンであると確信し、陥れるためにレイチェルを殺害して証拠を仕込んだのだった。
だが、ジェシカ事件の証拠品を改めて調べ直した結果、最新の技術で指紋が検出され、犯人はジェシカの婚約者、デニス・チルトンと判明する。また、同じリチウム・グリースが検出されたことからキャシー事件の犯人でもあるとわかった。
デニスは怒りをもてあましてアリソンを殺害。その後、ジェシカも殺そうとするが、彼女を本気で愛したために思いとどまり、落ち着きを取り戻していた。だが、ジェシカが乳がんにかかり、再び殺人衝動を感じ、キャシーを殺してしまったのだ。
ポールソンの件は完全にマスタウの思い込みだった。マスタウは拘置所で首を吊り、自殺する。
元殺人課で現在は内勤に異動中の刑事レジー・マスタウが登場。シーズン1の頃は何人も刑事がいたのに、次第に人数が減って数名に固定され、その固定メンバーもトリップ以外は全員降板してしまった(イェリーナ、ヘイゲン、ジェイク)ので、そろそろ新メンバー投入か? と思ったら、あっさり逮捕され、お亡くなりに。
このマスタウ刑事の使い方が、何だか唐突な感じで説得力に欠けるような気がした。犯人を逮捕したい気持ちをいくら暴走させたとしても、無関係の女性を殺しておいて「犯罪の常習犯だったが最後に役に立ってくれた」なんて、あり得ないだろう。いや、あり得ないことを描いてはいけないとは言わないし、あり得ないと言えばホレイショの言動がそもそも(自粛)だが、それを視聴者に納得させる、説得力のあるストーリーがなかったと思う。
ところでこのエピソードは、冒頭の演出がちょっと変わっていた。台詞がほとんどないまま被害者の死とCSIたちの日常が静かに描かれ、ホレイショの “Let’s go to work.” でイエエェェーーーとOPに続くティーザー。その冒頭に対応するように、拘置所で首を吊るレジーと、別の現場で報せを受けるホレイショのモンタージュがエピソードを締めくくる。これはこれで印象に残る要素ではあるが、正直な感想としては「何か足りない」という印象が否めない。これもやはり、ストーリー面での説得力が不足していたためではないか。
ただ、ライアンが小学生くらいの少年を学校に送って行った場面は気になる! あの子は誰なんだろう。ライアンには姪がいるはずなので(以前、プレゼントの購入をカリーに頼んでいた)甥がいてもおかしくないとは思うが……。小説版のライアンはホレイショを師と仰ぎ服装も真似するほど傾倒しているので、カイルの存在を知り「自分も父親になろう」とシングルマザーと交際を始めた、なんて可能性はどうだろうかと、ちらりと想像してみた。