CSI: Miami - Season 8, Episode 5
デイド病院のERに若い女性が運ばれ、治療中に死亡する。女性の氏名はローレン・ベック。一緒に来た恋人のイーサン・デュラントは「レストランで一緒に食事をした後インフルエンザにかかった」と言うが、治療を担当したアレックスは毒物を摂取したと判断する。たまたま病院に居合わせたデルコはイーサンを疑うが、事情を聞いている最中に、イーサンは倒れて意識不明に陥る。
ローレンの死因は大腸菌によるものと判明。2人が食事した店がわかるが、店の衛生状態は問題なく、厨房で大腸菌が発生することはない。そこで野菜の仕入れ先である「サリーおばさんの農場」へ向かう。ただし「サリーおばさん」は名前だけで、実際に経営しているのは「セスおじさん」。農場からも大腸菌は出なかったが、農場からレストランへ野菜を運搬するトラックからは微量の大腸菌が検出されたため、やはり出所は農場である可能性が高い。
詳しく調べる必要が生じるが「サリーおばさんの農場」は大規模な農業企業ビクストンの傘下にあり、保健社会福祉省にも影響力を持っていてなかなか手を出せない。ビクストンは付近一帯の農場を手中におさめ、独立農家に対しては、自社トウモロコシの種が他所に飛来したことを根拠に特許侵害で訴えるなど、強硬的な態度を取っていた。
ウルフらはひそかに調査を進め、近くの牧場で飼われている牛の糞便が井戸水にまぎれこみ、その水が農場の灌漑に使用されたため野菜に大腸菌が付着したと判断する。
大腸菌の出所はわかったが、イーサンの死因は大腸菌ではなく、神経毒と思われた。そこでイーサンの注文したメニューを確認したところ、遺伝子組み換えトウモロコシに組み込まれたバクテリアが原因であるという可能性が浮上する。
バクストン社に訴えられた農家の協力を得て、トウモロコシを調べたところ、消化を助けるバクテリアが組み込まれていることがわかる。その際に、細胞間結合でボツリヌス菌が遺伝子交換されて組み込まれることがある。イーサンが倒れた原因はそれだと思われたが、イーサンはすでに手遅れで、両親は生命維持装置を外すことに同意する。
バクストンのCEOは刑事責任を問うだけの根拠がないことを知り、危険があることは知っていたと口にする。ホレイショはその会話をこっそり録音。刑事事件にはならないが、イーサンの両親は民事訴訟を起こすことができるだろう。
デルコは辞職を決意し、デイド署を去る。ホレイショはデルコに宛て「いつでも待っている」というメモを残す。
家族との時間を大切にするために検死医を辞めたアレックスだが、前シーズンから「息子も落ち着いてきたから」と病院のERに勤務するパートタイム医師として再登場するようになった。今シーズンはプレミアに続いて2度目の登場。
そこに運ばれてきた女性患者が今回の被害者。アレックスは毒殺を疑うが、その場合だと第一容疑者になるはずの彼氏も、デルコから事情を聞かれている間に昏倒し、その後脳死状態に。
そこで「2人が共通して食べたもの」を調べる捜査が始まるわけだが、レストランから農場へ、農場主の雇い主である大企業へとどんどん話が広がって行く。その中で農業をめぐる構造的な話や、特許を取得した農作物を利用して土地を奪うというドロドロした話、遺伝子組み換え作物の話などの背景事情が描写され、この部分がとても興味深かった。しかし、どんどん風呂敷を広げていくうちに、最初の方でアレックスが言っていた「回復したなんてウソよ」という判断はどうなってしまったのか、とかそのへんがよくわからないうちに終わってしまった。とにかくサラダ野菜はよく洗って食べよう。
あのレストランで生野菜を食べた客も、サリーおばさんの農場(本当はセスおじさんだけど)が野菜を供給している店も他にたくさんあるはずなのに、よりによってあのカップルだけが発症した(それも、大腸菌と遺伝子組み換え時の事故という別々の理由で)というのも、ちょっと無理があるような気がする。
まぁ、そんなような消化不良感を最後のモンタージュで無理矢理まとめてしまえるのがマイアミらしい所なのだろう。ジェシーはやっぱりお色気要員として雇われたのだろうか。最後のサーフィン姿はどう見ても視聴者サービスだし、すれ違った水着美女に声をかけるかと思ったら素通りして空き缶拾い(かっこつけすぎ!)。ナタリアはDNA分析で活躍はしたけれど、出番は今回も少なかった。
脱いで水に入ったりするのは、今まではデルコの役割だったが、その彼は今回限りでCSIを辞めて降板する。ラストだというのに、捜査で活躍することもなく、静かに去って行った感じ。辞めていく人は、それなりに後任に花を持たせなければいけないのかな? とはいっても、次のシーズンでまた復帰することがすでにわかっているので、大袈裟なお別れでなくて良かったなぁ、というのが正直なところではあるけど。