CSI: Miami - Season 9, Episode 17
宅配業者「ワールドセンド」の配達員、ダグ・ゴヴォリが、自分のトラックの荷台でメッタ刺しにされて惨殺される。ダグはハンサムで女好き、配達先の主婦たちと浮気し放題だったらしく、その日も建設業者のマルコス・トレホと女性をめぐって諍いを起こしていた。また、ゲームを早く配達してほしいと要求した少年トラヴィスとも口論していた。ナタリアはトラヴィスに事情を聞こうとするが、トラヴィスは持っていたヘロインの袋を飲み込んでしまい、過剰摂取で意識不明の重体に陥る。
その後、ダグの集荷先だったおもちゃ会社を経営するシーラ・ホランドが、義理の息子の学校で殺害される。塗り替え中で閉鎖されていた体育館で、折りたたみ式の観覧席に押しつぶされて死亡したのだ。
シーラの経営する会社に行った所、シーラがメキシコ工場から仕入れた人形を、従業員には触らせず自分ひとりで梱包してどこかへ送っていたとわかる。その人形を調べてみた所、人形に麻薬が練りこまれていたことがわかる。トラヴァースは人形を分析してヘロインの抽出方法を調べるが、この作業には危険が伴うため、郊外に作業所を確保している可能性がある。場所を絞り込んだところ、閉鎖された工場が浮上するが、そこにはトリップが単独で捜査に向かっていた。ホレイショは急いで現場へ向かい、敵の銃撃を受けていたトリップを助け出す。そこには大量の人形の頭部。シーラがメキシコから人形を受け取ってこの工場へ送り、ここで麻薬を抽出して流通させていたのだ。そこへ麻薬取締局の捜査官が現れ、捜査を引き継ぐと宣言。この工場とシーラは捜査対象になっていたのだ。現場にあったパソコンも彼らに押収されるが、その直前にデルコはパードディスクの内容をコピーしていた。
ハードディスクのデータを解析した結果、密輸の黒幕はダグと争ったマルコス・トレホと判明。トレホにネットに薬物売買のサイトを開設し、仕事で知り合ったシーラが経営に苦心していることを知って密輸の話を持ちかけたのだ。ダグと争ったのは女のことではなく、代引きで回収した売り上げをダグに着服されたことだった。だが、トレホはダグを殺していないと主張する。
トレホと現場を結び付けようと、改めてダグのトラックを調べ、荷物の箱に血で耳のあとがついていることに気づく。ダグの耳には血が付いていなかったので、これは犯人の耳ということになる。パズルの容量で犯行当時の位置を再現したところ、犯人の身長は180cmを超えており、トレホとは体格が合わないとわかる。
残る容疑者はまだ意識不明のトラヴィス。耳に血は付着していなかったが、カリーはトラヴィスの手に写真が握られていることに気づく。それを見たナタリアは、トラヴィスの見舞いに来ていた青年に思い至る。その青年ショーンはシーラの会社の従業員で、知らないうちに密輸の一端を担っていたことに責任を感じると言っていた。だがその写真は幼い頃のショーンとトラヴィスのもの。2人は実は幼なじみだったのだ。
ショーンの耳からは血液が検出され、彼は犯行を認める。彼はトラヴィスが麻薬に溺れていくのを見て、何度も施設に入れたが、薬物はネットで簡単に手に入るため効果はなく、供給源を断つしかないと考えたのだった。
「ワールドセンド」は前年のNY(シーズン6「幻の女」)にも登場した宅配業者。あちらでも問題のある配達員がいたが、こちらでも麻薬売買に悪用されている。冒頭でトラヴィスが「早くゲーム届けてくれよ!」と苛立っていたが、あれはゲームのパッケージに麻薬が仕込んであったのだろうか。で、その麻薬はメキシコから人形に偽装して送られ、シーラの会社から「ワールドセンド」を経由して精製工場に。今までもドレスとかボディペイント(これはNYか)とかあったが、今回は人形。本当に、国境を越える商品はもう何に麻薬が仕込まれていても驚いてはいけない。
それにしても何でわざわざ人形に? と思ったが、これは精製工場で無造作に積み上げられたお人形パーツの「視覚的な怖さ」を優先した選択ではないかと想像。
犯人のショーンは幼なじみのトラヴィスのために2人を殺したけれど、そうしたところで結局別のサイトから薬物を買ってしまうだけなんじゃないだろうか。自分が2人を殺したから元締めを逮捕できたと言いたいみたいだけど、シーラの方に内偵が進んでいたので、別に殺さなくても事態は進んだかもしれないし(DEAは従業員も内偵するべきだったか!)。その台詞、ダグの遺族にも言える? もっともそれに対して「君は人を裁く立場にない」とホレイショが言うのも、何だかなぁという感じではあるけど。
途中で「耳のデータベース」という台詞があったが、耳の跡というのは指紋なみに個人を特定できる要素だそうだ(ってベガスの初期エピソードで言ってた)。