CSI: Miami - Season 9, Episode 21
クラブのトイレで男性の遺体が発見される。被害者は胸をナイフで刺されており、その直前にケンカをした相手の男がそばにいるのが目撃されていた。だが通報を受けて警察が駆けつけると、遺体は消えており、引きずったような血痕が残されていた。
死亡した男性は「ブレイデン」と呼ばれており、もう1人の男性はIDからニール・マーシャルとわかる。ブレイデンがウェイトレスのオリヴィアにぶつかって口論になり、そこへニールが割って入ったのがケンカの原因。ニールは弟のディーンとともに投資会社を経営する会計士で、来店はその夜が初めて。弟と待ち合わせる予定だったらしい。
その後、オリヴィアの自宅付近でニールの車が発見される。トランクにはブレイデンと思われる遺体があった。デルコはオリヴィアの部屋へ向かい、そこでニールを発見。2人に手錠をかけて連行しようとするが、途中でエレベーターが停止。デルコは2人の手錠をはずし、何とか扉をこじ開けて脱出するが、そこでエレベーターが再び動き出し、結局2人には逃げられてしまう。調べてみると、エレベーターには遠隔操作できるような仕掛けが施されていた。
ニールの車から発見された遺体を調べてみると、それは何と解剖用に献体された遺体で、クラブでのケンカ騒ぎより前に死亡していたとわかる。身体に埋め込まれたICタグにより、「サイラス・バイオテック」という会社に運ばれる予定だったことがわかるが、ナタリアが行って事情を聞くと「遺体はここに着く前に行方不明になった」ということでそれ以上はわからず。
ニールから警察署へ電話がかかる。ホテルに潜伏していたが、目が覚めるとオリヴィアが死んでいるという。ニールは、何もしていないと主張し、自分を陥れようとする陰謀の存在に脅えて電話を切ってしまう。逆探知してホテルへ向かうと、ニールの姿はなかったが、オリヴィアの遺体が残されていた。ホテルに誰かが押し入り、争ったあげくに倒れ、打ち所が悪く首の骨を折ってしまったようだ。
調べてみると「オリヴィア・ハンター」というのは偽名で、本名はリサ・ブラックホール。名前だけでなく、髪を染めたりカラーコンタクトをするなどして、素性を隠していたようだ。ホテルの支払いに使われたカードを調べると、サイラス・バイオテック社の法人カード。行方不明になったはずの遺体も、記録ではきちんとサイラス社に引き渡されていたことがわかり、ナタリアはホレイショとともに再びサイラス社を訪れる。
だが、行ってみるとそこはもぬけの殻。オフィスが完全に撤去されて空き家になっていた。だがナタリアはゴミ箱から、細切れにされた書類の束を発見。つなぎ合わせてみると、法人用カードの明細書がライブ・コーポレーションという会社に送られていたことがわかる。
住所を突き止めて行ってみると、そこにはバーにいた目撃者たちが勢ぞろいしていた。サイラス社でナタリアに応対した女性は、実はライブ社のCEO、ウェンディ・コルトン。「バーの殺人事件のことでしたら、あれは事件ではありません」と言う。死んだはずのブレイデンもその場にいた。ライブ・コーポレーションは「人生を変えるリアルな体験」を商品として提供しており、一連の事件はすべて、バーチャル・リアリティを超えたリアルなゲームだというのだ。だがオリヴィアことリサの死だけはゲームではなかったらしい。
そこへ、ニールが自宅に押し入ったという通報が入る。ニールは妻子を連れて逃亡しようとしており、弟のディーンが必死に説得していた。ホレイショが駆けつけ「これはゲームなんだ」と言うが、ニールは耳を貸さず発砲――しようとするが、銃はあらかじめ弾丸が抜かれていた。
ディーンは、兄のニールが「きまじめで善良すぎるために会社の業績が上がらない」という状況を何とかしようと、「全てを失った状況の中でヒーローになる」という体験をライブ・コーポレーションに依頼したのだ。だがニールは、オリヴィアが見ていない時に妻のジェニーに電話してしまった。ジェニーは浮気を疑ってホテルへ押しかけ、そこで争いになって彼女を死なせてしまったのだった。すべてはゲームだが、オリヴィア=リサの死だけは現実だった――。
クラブから忽然と消えた遺体と被疑者、見つけてみれば遺体は献体、引き取った会社は半日後にはもぬけの殻。いったい何が起きているのかと思ったら、「すべては大掛かりなゲームでした」という結末。原題の “G.O.” は Game Over の略だな。
献体やオリヴィアの素性のあたりから何となくオチの予想がついてしまったのは、ベガスに似たようなエピソードがあったからだと思う。マイアミの初期にも、誘拐と救出をリアルに体験するゲームという話があった(シーズン2「殺しのキス」)。また、デヴィッド・フィンチャー監督の映画「ゲーム」にも似ているとのこと。この映画は観ていないけど、検索してあらすじを読んでみると確かに似ている。
しかしゲームのために本物の遺体まで用意する必要があったのだろうか。バーの客は全員仕込みで、通報した目撃者も社員だったわけなのだよね。わざわざ警察沙汰にしたのは、ニールが本当におたずね者になって警察に追われるという「リアルな状況」が必要だったからだろう、と思ってはみたが、やはりそれにしてもリスクが高すぎる。遺体はニセモノで我慢して、警察も社員が演じるべきではなかったか。最初のクラブには大量の血痕があったので、CSIは当然調べたはずだが、その結果はどうだったのか。あれだけ大掛かりに会社を仕立てておいて半日で撤収が可能なのか。
……と、ツッコミどころは色々あるのだが、でも、まぁいいか。フィナーレ直前の息抜きエピなので、気を抜いてだらだらと見ておけば良いのかな。