CSI: Miami - Season 10, Episode 2
高級ホテルのカバナで若い男性が頭部を強く殴られ、殺害される。現場に到着したウルフは窓の外から室内を見て、パナマ帽が宙に浮いていることに気づく。だが鍵を開けて中に入ると帽子は床に落ちていた。
被害者はそのカバナに長期滞在していたデレク・ヴォーン。実は金をもらって女性たちの相手をしていたジゴロだった。
ナタリアとデルコは「帽子が浮いていた」というウルフの話を一笑に付すが、ウォルターは実験を行い、床に近い所に空気より重いガスが溜まっていた可能性に気づく。ウルフはカバナの暖炉がプロパンガスだったことに気づき、まだ現場にいるデルコとカリーに連絡しようとするが、現場ではガスに火花が引火して爆発が起きる。デルコが一瞬早くガス漏れに気づいたため2人とも無事だったが、証拠品は使い物にならなくなってしまう。
ガスは通常、臭いがつけられているので、漏れていればわかるはず。だがそのホテルは赤字続きだったため、経費節減のため(違法と知りつつ)臭いが添加されていない安いガスを購入していた。ローマンの検死により、デレクの死因は頭部の外傷ではなく窒息とわかる。床に倒れた状態で、低い位置にたまったプロパガスを吸ったために酸欠になったのだ。
デレクの傷口からスノードームの白い破片が検出され、それが凶器であるとわかる。デレクの客だった女性たちの金銭支払いをしらみつぶしに調べた結果、客のグレッチェン・ケンブリッジがパリでスノードームを購入していたことがわかる。だがよく調べてみると、殴ったのはグレッチェンではなく彼女の夫だった。グレッチェンは夫が仕事で家を空けてばかりであるため「愛されていないのでは」という不安からデレクと会っていた。夫は妻の浮気を疑って尾行し、グレッチェンが買ったスノードームがデレクのカバナにあることに気づいて、怒りで我を忘れて殴りつけたのだった。
だがケンブリッジは、ガスのことは何も知らないと主張。ガス管を損傷させても、通常ならば臭いでガス漏れに気づくはず。犯人はガスが無臭であることを知っていた人物と思われる。
ガスの件を誰が知っていたか調べた結果、オーナーのロメロの娘で日常業務を担当していたルイザと判明。ルイザはデレクがジゴロと知ったうえで交際していたが、デレクが女性客からの小切手でホテルの支払いをすることに耐え切れなくなり、「暖炉に火を入れて爆発すればいい」とガス管に傷をつけたのだった。爪先に残る凍傷から、ルイザの犯行が裏付けられる。
冒頭で帽子が浮いていたので、あれ、もうハロウィン? と思ったが10月はじめの放送だった。特にホラーエピというわけでもなく、最後にウォルターがウルフをからかって遊ぶという微笑ましいラストにつながっていた。ウルフはこういう役回りが定着しちゃったのね。
さて本編は、何だかどこかで見たような……という既視感あふれるモチーフを継ぎ合わせてできたようなエピソード。豪華なカバナでの事件、女性客相手に身体を売るジゴロ(というか要するに男娼)、現場で爆発、経費節減のために安全対策を犠牲にする経営者とその娘、孤独を抱えて若い男にはしる人妻。どれもこれも今まで何回となく使われてきたものばかりで、見せ方もいまいち新鮮味がない感じ。商売していたのが若い女性だったらホレイショが同情して助けていたのだろうと思うが、若いイケメン男性には冷たい(笑)。ジゴロをやっていたのは何か事情があったのかもしれないが、そのへんはすっ飛ばしてナタリアを怒らせただけだった。