CSI: NY - Season 1
You fired wild, Danny. That bullet could have gone anywhere.
マック、エイデン、フラック刑事担当。ジェイ・ナイトという男が自室で射殺されていた。まずマックとダニーが現場を調べるが、クローゼットに隠れていた男が逃げ出し、ダニーが追跡。地下鉄に追い詰め、銃撃戦となる。ダニーは銃を抜いて応戦し、相手は死亡。だが所持品を調べると、その男はNYPDの覆面捜査官、ロドニー・ミンハスだった。
ダニーは、ミンハスが自分に向かって撃ってきたので2回発砲した、相手は警官だと名乗らなかったと主張する。だが目撃者の証言は違っていた。まず男が駆け降りて柱のかげに隠れる。次にダニーが追って来る。そこへミンハスが現れ、ダニーが追っていた容疑者を撃ったという。その男は逃亡し、ダニーがミンハスを撃つ。さらに、通行人の携帯電話が録音状態のまま発見され、それを再生すると、ダニーが撃つ直前にミンハスが「覆面捜査官だ!撃つな」と叫んでいたこともわかる。ミンハスは肩と腹部に被弾。腹部を貫通した弾によって失血死したものと思われた。警官を誤射した可能性がでてきたため、ダニーは捜査からはずされる。
マックとエイデンは現場の見取り図を作り、発砲された弾丸を回収。エイデンは跳弾の跡と、階段にめり込んだ弾を発見。跳弾の方向からは、ダニーが撃ったのか容疑者が撃ったのか判然としない。血液反応はなかった。だが、その弾丸は最初の被害者ジェイ・ナイトを殺した弾と一致した。その容疑者がナイトを射殺した後、クローゼットに隠れ、ダニーが来た時に逃亡したのだ。これで行方不明の弾丸はダニーのものが1発。消去法でいくと、ダニーがミンハスを殺したことになる。
フラックはダニーに、自分の中に全部抱え込まないようアドバイスする。だがダニーは、マックに信頼されていないという思いで孤立感を深め、苛立ちを隠さない。
エイデンはフラックとともに最初の現場のアパートを調べ直し、壁に飛び散った血痕と、外の木の幹にめり込んだ弾丸から、最初はミンハスもそこにいたことを知る。つまり、現在逃亡中の容疑者がナイトを撃ち、ナイトはミンハスを撃った。その弾丸は貫通して木の幹にあたる。ミンハスは先に外へ出て、車のそばで容疑者を待った。彼が車の鍵を持っていたからだ。その間、タオルで止血をして血を止めていた。だが、容疑者が何かを探している間にダニーとマックが到着してしまい、ミンハスはあきらめて地下鉄へ。そこで銃撃戦が起こったのだ。ミンハスを死なせたのは、ダニーの銃弾ではなかった。
その調査結果を知らないまま、ダニーはマックの忠告を聞かず、内部監査課に対して事件のいきさつを証言する。その後、マックから自分の無実を証明する証拠を得たと聞かされるが、IABに証言してしまったため、その証拠は無駄になるかもしれなかった。
車の持ち主は、マイケル・アームストロングだった。アパートからは犯行に使われた銃も発見される。アームストロングはミンハスと組んでナイトから金を奪おうとしていた。ミンハスは地下鉄でアームストロングを射殺し、それを自分が撃たれたことの言い訳にしようとしていたのだろう、とマックは推測する。そのため、ミンハスはアームストロングに向かって走り、彼に銃を向けた――ミンハスからアームストロングとダニーは同じ方向にいたため、ダニーはミンハスが自分に撃って来たと思い込んだのだ。ミンハスが、自分は警官だと名乗る声は、ダニーには届かなかった。
IABはダニーを告発しないことに決めた。だがこれで、レベル2への昇進はおあずけになってしまった。マックはダニーに対して言う。5年前、ダニーを採用するとマックが決めた時、周囲は反対した。だが彼は自分の判断を信じ、それが正しい判断だったとずっと信じてきた、と――。ダニーはなおも、銃撃事件で自分は正しかったと主張するが、マックは彼をたしなめる。ダニーは、逃げていたミンハスが振り向いて撃ったと言うが、ダニーの位置からその姿は見えなかったはずだ。ダニーが撃った最後の1発はいまだに行方不明。つまり、どこへ飛んだかわからないのだ。それはダニーが正確に狙いを定めていなかったことを意味していた。
ステラ担当。サンドラ・ロペスという若い女性の遺体が公園のトイレで発見された。サンドラは子守の仕事をしており、昼の時間には子守友達のグレンダとメイトリスと、ランチのためいつも公園に来ていた。遺体を発見したのも、その友達だった。赤ん坊は児童福祉局が預かるが、両親は忙しくて来られないという。ステラは子どもに怪我がないことを確認。
傷口に雲母や石英の粉が付着していたことから、凶器は尖った岩と思われた。顔は無傷なのに、なぜか口の中に火傷の跡。性的暴行の形跡もあったが、DNAの登録はなかった。ステラは公園に戻り、凶器になりそうな岩を探す。中にひとつ、指紋の付着した岩があったが、該当者は見つからず。
ステラはサンドラの雇い主マイヤーソン家へ行くが、執事は夫妻の居場所を言わなかった。以前泥棒に入られてから用心深くなったという。その事件は、以前にロシアのマトリョーシカが盗まれた事件で、その後匿名で戻されたため警察沙汰にはならなかった。サンドラには、火吹きショーを見せるバーで働く恋人がいた。彼は、サンドラの口に火傷があったのは、彼女がステージで火吹きに挑戦して失敗したためで、性交渉は合意だったと主張。
サンドラの行動に疑問を抱いたステラは、彼女の指紋を調べる。すると、窃盗事件で採取された指紋と一致した。その事件の現場へ行ってみると、応対したのは、サンドラの子守仲間のグレンダ。グレンダの指紋は岩のものとは一致しなかったが、別の窃盗事件の指紋と一致。その現場はもう一人の子守仲間、メイトリスの雇い主だった。そして、マイヤーソン家の盗まれたマトリョーシカを調べると、そこにはメイトリスの指紋があった。3人はお互いの雇い主の家で窃盗をはたらいていた。自分たちの指紋が登録されていないことを知って、内部への疑いを避けるため、わざと身元不明の指紋を残していたのだ。
凶器の岩にあった指紋は、メイトリスのものだった。彼女はマトリョーシカを質に入れようとしたが、土壇場でサンドラが怖気づいて人形を返してしまった。メイトリスはそれに怒り、サンドラを殴り殺したのだった。ステラは犯人よりむしろ、赤ん坊の両親が2日も子どもを引き取りに来ないことに怒りをおぼえる。
おお、NYでもマイアミばりのライブ銃撃戦が! と思ったらダニーが! どうもシーズン後半部はダニーの不安要素が多くドキドキさせられることが多い。う~ん、マックとダニーの間の亀裂がまた……。
マック・テイラーはここで、あくまでも証拠を見る、証拠から状況を導き出すまでは人を判断しないという立場を貫く。その「人」が自分の部下であっても、いやむしろ部下だからこそよけいに証拠を優先しているように思う。無論ダニーが軽率に撃ちまくるとは思っていないだろうが、彼の実戦経験が少ないことはよくわかっているはず。誤射した可能性はあったが、必要以上の責任まで負わされるのは不当だ。それでIABと話さないよう指示したのだろう。
マックが部下思いであることは間違いないと思うが、それは無条件で部下をかばったり、軽率に甘いことを言って慢心させたりすることではなく、正確に事実を把握して正しく導いていこうということなのだろう。結果的にダニーの弾は捜査官を殺してはいなかった。それでIABの追求はかわせるかもしれないが、そこで終わりにしてはダニー自身のためにならない。
でも、そこのところがダニーには伝わっていないような……。ダニーはマックに信頼されていないと言うが、彼自身もマックを信頼できていないように見える。「転落」の回でぐちぐち言っていたドン・フラックが「マックに任せておけよ」と言っているのは、あのラストでマックの優しさを理解しただろうか。
でもダニーには、もうちょっと精神面で頼れる存在、師匠というか father figure が必要な気がするな~。それはやはりマックの役割だから、もうちょっと歩み寄ってもいいんじゃないか。ドンには「NYPDの伝説」たる父親がいるから良いけど、ダニーはそうじゃないのだから。
このAプロットが重苦しい展開なので、ステラのBプロットがちょっと息抜きになる感じ。裕福な両親がいて何でも手に入るのに、親の愛情を与えられていない子どもに対する、あふれるような優しさが切なくて心にしみる。ステラもあれくらいの頃から孤児院にいたのかな……。関係ないけどあの執事さんはわざとああいうアクセントでしゃべるのかな……。
それはそうと、木の幹から弾を取り出すことまで検死官の仕事なの?
— Yoko (yoko221b) 2006-05-07