CSI: NY - Season 2, Episode 1
We all have that one case that haunts us and strings us along.
Trust me, when you solve it, no matter how long it takes, it's so worth it.
ダンドリッジ・ホテルに宿泊していた女性が部屋から外を見ると、エンパイヤ・ステート・ビルの外壁をスパイダーマンのように這い登る男の姿があった。女性はあわててどこかへ電話をかける。野次馬が集まり見守る中、壁を登っていた男は突然、摩天楼から落下した――。
マック・テイラーと「新人捜査官」のシェルドン・ホークスが現場に到着、フラック刑事とともに捜査を開始する。ギズナーは壁を登っている途中、34階で911(緊急ダイヤル)に通報しようとしたところで落下していた。彼が落ちた位置の部屋は法律事務所の会議室で、椅子には高速で飛び散った飛沫血痕と発射残渣、ゴミ箱には妊娠検査薬があった。床には何かを引きずったような跡が残っており、それをたどると戸棚の中から射殺された男の遺体が転がり出てきた。ギズナーは殺人現場を目撃して通報しようとしたところで、突き落とされたものと思われた。
この被害者はその事務所のシニアパートナーのリー・ディラード。ホークスはディラードの首に蚊に刺された跡を発見し、その場にいた蚊を捕獲。
会議室の掌紋はパートナーのビショップ、部屋に落ちていたペンはアシスタントのソレンセン、妊娠検査薬は別居中の妻ブレンダの物だった。
蚊を「解剖」した結果、被害者ともう一人別の男性の血を吸っていたことが判明。また、蚊の羽には発射残渣があった。蚊は銃が発砲された時その近くを飛んでおり、羽が火薬に覆われたため飛べなくなったのだ。そして、男性の容疑者の中で蚊に刺されていたのはソレンセンだった。
マックとホークスは、ギズナーが落下した場面のビデオ映像を精査して、銃を発砲した瞬間の光が映っていることに気づく。誰かを射殺しようとする人間が、ブラインドを開けたままにしておく理由は何か――それは、殺したことを誰かに見せるためだ。そして、エンパイヤ・ステート・ビルの向かい側にはダンドリッジ・ホテルがあった。そこで犯行を見守っていたのは、冒頭に登場した女性、ディラードの前妻コニー・ウィリアムズだった。彼女はディラードに捨てられ、離婚によって何も得られなかったことで前夫を恨んでいた。ソレンセンはコニーと手を組みディラードがキャンセルし忘れていた生命保険金を手に入れたのだった。
ステラ、ダニー、エイデン担当。本物のダイヤモンドを使って織り上げたブラジャーを身に着け、路上で死亡している男性がいた。被害者はウィットマン・プライスという有名な宝石デザイナー。ブラはプライスがデザインしたものだった。プライスは何か固い物を飲み込んだ直後に胸を殴打されたため、食道と心臓が傷つけられて死亡したのだ。プライスの体内からは、ブラに取り付ける大きなティアドロップ・ダイヤモンドが発見される。
ブラを構成していた小さなダイヤには、レーザーでシリアル番号が刻まれていた。加害者はそれを知って、ダイヤに手をつけなかった。本当の狙いはカットして売りさばけるティアドロップ・ダイヤモンドの方と思われたが、プライスの体内から出てきた物は贋物だった。
ダイヤモンドからは、宝石窃盗の前歴を持つフレッド・ベッカーの指紋が検出された。ベッカーは犯罪から足を洗って逆に警備の職に就いていた。安全のため、ブラを身に着けるよう勧めたのはベッカーだった。だがベッカーがファッションモデルに気を取られているすきに、プライスはブラを持って出て行ったという。宝石にさわれるのは、彼ら二人以外はモデルのニコールだけだった。
現場で採取した土はセントラルパークの物と判明。ニコールは犯行直前にはセントラルパークにいたはず。そしてニコールの行く所にはかならずボディガードがいた。プライスの胸に残る殴打の跡は、ボディガードの手と一致した。
ダイヤをすり替えたのはニコールだった。彼女はダイヤを盗んで贋物をブラに取り付け、本物は楽屋のクリスマスツリーにぶら下げていたのだった。
エイデン担当。レジーナは18ヶ月前に一度レイプされていたが、容疑者D.J.プラットの犯行を立証する証拠はなく、捜査は打ち切られていた。レジーナは同じ男にまた襲われたと言うが、繊維や体毛などの証拠は発見されなかった。
エイデンは18ヶ月前の証拠品を持ち出し、サンプルとして採取したプラットの体毛を袋から取り出す――。
……明るい。
蒼く陰鬱に始まった CSI:NYは、1年を経て明るくエネルギッシュなドラマに生まれ変わっていた。ちょうど1年前に放送された(つまり同じ季節の)「まばたき」と今回の映像を比べてみると、こんな感じ。画面の明るさやコントラストの設定値は同じなんだけど……。
マイアミ・デイド署のラボも改装されていたけれど、NYPDのラボも今までの窓のない部屋(地下にあったらしい)から日のあたるフロアに移動。そしてマック・テイラーの姿にも変化が。
注目すべき点は、ネクタイと指輪がないところ。
実はシーズン1を見終わった後、最終話の終わり方が気になったので、ネタバレ覚悟でシーズン2のCapsをチェックしていた。だからこの変化についてはすでにわかっていたのだが、指輪がなくなったのはやはり寂しい。今シーズン、マックがクレアさんを思い出してくれることはあるのだろうか。ネクタイも――クールビズもいいけど、冬になったらまたネクタイしてくれないかなぁ。あのかっちりしたスーツ姿がストイックで良かったのよ。
また、人事異動もあって検死官のシェルドン・ホークスが「新人CSI」としてマックの部下になっている。検死局と警察は別々の組織ではないのだろうか。つまり「異動」ではなく、いったん検視局を退職して警察に採用? それとも、この手の人材交流は普通なのだろうか。しかし、ラボ勤務から現場の捜査官へ、とかパトロール警官からCSIへ、ということなら動機としてはわかる(現場の仕事はラボよりも変化に富んでいるし「最後まで事件を見届ける」こともできる)のだが、検死官からCSIへ、というキャリア転換はちょっと共感しずらい面があるなぁ……。とはいえ、ホークス先生の出番が増えるのは良いことだし、彼がモルグから現場へ出ることで、ドラマとしての変化も期待できると思う。
何となくだが、ホークス先生には「感情的に事件に入れ込まず、淡々と事実を直視する」という、良い意味で無色透明な探偵の役ができそうな気がする。ベガスでいうならグリッソム主任の役。マイアミは敢えてそういう役を置かないことで成功した。ではNYは?というと前シーズンではマックとステラが交互にそれらしき役を担っていたと思う。片方が感情的に入れ込むと、もう片方が引き戻し、そうやって補い合っていたから、見る側は凄惨な事件やドロドロした心の闇に引き込まれつつも、一定の距離を置いて見ていられたのではないだろうか。ここでホークスを現場に投入すると、その距離はさらに広がり、描写はさらにドライになっていきそうな気がする。まだわからないけれど。
さて、事件は3件――うち1件はたいして描写がないので実質2件といったところか。マックの事件は証拠を蚊に頼りすぎているきらいはあるけれど、冒頭の場面がラストにつながってくる構成や「動機」を重要視するという点にオーソドックスなミステリ色が強くて面白い。これがベガスなら why よりも how、動機は鑑識の守備範囲じゃないというところだろうが、マックは刑事だし「世界でも有数の犯罪学者」という設定でもあったはず(よね?)。そしてステラの事件はラストが「盗まれた手紙」オチ。ベガスはサイエンスとgeek、マイアミはドンパチ、そしてNYはミステリ――と、三者三様の楽しみ方ができればいいなぁ。
エイデンが担当した3番目の事件。これは捜査自体の描写はほとんどなかったものの、ある意味いちばん重要な事件かもしれない。証拠が見つからないことに業を煮やしたエイデンが、何と以前の事件の証拠品の袋を破り、中身を取り出す――証拠を捏造するつもりなのか!? というところでおしまい。
エイデン!だめよエイデン!NYでは知らないけど、ネバダ州では下手すると終身刑か、死刑もあり得るというくらいの重罪のはずなのよ!
— Yoko (yoko221b) 2006-12-09