CSI: NY - Season 2, Episode 15
Some people celebrate life. Others celebrate death.
マック、ステラ、リンジー、フラック刑事担当。検事のカイル・ヴァンスがサミュエル・クーパーの墓前で死亡していた。死因は胸を銃で撃たれたことで、発見者はサミュエルの孫娘ジェニファー・クーパーだったが、ジェニファーはカイルのことを知らなかった。現場には黄色い風船の破片が落ちていた。また、カイルの傷は貫通していなかったが、体内に銃弾はなかった。弾丸を入れず火薬だけを使用するブランクガンで撃たれたものと思われた。
リンジーは、カイルが借りていたオフィスを調べる。そのオフィスは即席で模様替えできるようになっており、リンジーが調べに入った時はキャスティングディレクターのオフィスだったが、家具や壁の絵を入れ替えると、トラベルエージェントやウェディングプランナーのオフィスにもなった。そこにもゴム風船の破片。また、封筒に入った数枚の人物写真があり、ほとんどは「×」印がつけられていたが、ジェニファー・クーパーの写真だけが無印だった。
フラックはジェニファーに話を聞きに行くが、ジェニファーはフラックに呼び止められた瞬間に逃げ出す。取り押さえて事情を聞くと、ジェニファーは「水鉄砲戦争」ゲームに参加しており、フラックに「殺される」と思ったという。そのゲームは、正体不明の「最高司令官」によって統率され、参加者はそれぞれ自分の「ターゲット」を水鉄砲や水風船で「仕留めて」いくというルールだった。自分のターゲットが誰かは写真で指定されるが、自分が誰のターゲットになっているかはわからない。カイルのターゲットがジェニファーだったのだ。
マックらはゲームの参加者を一人ずつたどり、カイルをターゲットにしていたジョーダン・ストークスを発見する。だがジョーダンのDNAは風船と不一致。そこで、カイルのオフィスが「キャスティングディレクター」になっていたことから、カイルのターゲットの中から俳優のクリス・マシューズに注目する。
クリス・マシューズはカイルを本物のキャスティングディレクターと信じてオーディションを受けたが、そこでカイルは水鉄砲を出し、ゲームだと言って笑った。クリスは希望を打ち砕かれたことを恨み、仕返しをするためにカイルの後をつけた。カイルはジェニファーを待ち伏せするために墓地へ行き、そこでクリスはカイルに水風船をぶつけ、ブランクガンで撃った。ブランクガンは以前撮影に使ったものを記念に持ち帰った物で、殺すつもりはなく、ただ怖がらせるつもりだったという。
ダニー、ホークス、マカ刑事担当。キャスリーン・ダンリーという若い女性が、自宅のベッドで両手を縛られて死亡していた。口の周囲には変わった形の黒い跡があり、耳の穴には虫が卵を産みつけていた。現場で即席の加湿室を作って指紋を浮き立たせてみると、誰か(おそらく加害者)が被害者に触れた時に手につけていた物質が浮かび上がる。部屋には「ミシェル」という男性のカードを添えた花があった。
花の贈り主は、キャスリーンが訴えていたレストランのオーナー、ミシェル・ヘトゥであった。キャスリーンはあちこちでレストランを訴えては財産を築いている常習犯。ヘトゥはキャスリーンと寝て訴訟を取り下げてもらおうとしたことは認めたが殺害はしていないと主張。指紋も不一致だった。
キャスリーンの胃に昆虫やあひるの胎児があったことから、ダニーは「エキゾチック・キュイジーヌ」を供するホテルのレストランを思い出す。そのレストランの厨房には虫、クモ、タコなどがあった。ヘッドシェフのトニー・コリンズは、タコは適切な食べ方をしないと窒息すると注意する。そのタコのスミと吸盤は、キャスリーンの口にあった黒い跡と一致する。
キャスリーンの弁護士トルーマン・ボッシュの話から、キャスリーンはトニー・コリンズを訴えようとしたが、逆にトニーを気に入り親密にしていたことがわかる。また、キャスリーンは5年前にレストランのオーナー、ラリー・ウィットフォードを訴えてレストランを閉店に追い込んでいたが、そのウィットフォードとはトニー・コリンズその人であった。トニーは5年前にキャスリーンに破滅させられ、名前を変えて新天地でやり直そうとしたが、再びキャスリーンが現れたので彼女をタコで窒息させて殺害したのだった。
虫や軟体動物の嫌いな人は絶対見てはいけないエピ。ごにょごにょ動くのもアレだが、食べ物にするのは……いやタコはいいよ。生きたまま丸呑みするのはともかくタコ自体は普通に食べ物だと思うよ。でも虫とかタランチュラとかいったい何ーーー!?
まぁ食べて大丈夫なもんなら、どんな味がするのか試してみたいという気もするけれど(でもちゃんと火を通したのがいい)。テイクアウトの虫料理を出されてトライしたのが、好奇心が強く物怖じしないリンジーだったのは何となく納得。マックもそのことはちゃんとわかっていたのね。ドン・フラックの「うげっ」という表情がまた素晴らしい! で、他の皆がマックのオフィスにピザを食べに行き、ダニーとリンジーが二人きりになるラストシーン、可愛いカップルという感じで微笑ましいなぁ。食べてるのは虫とクモだけど。
マックの事件は、冒頭シーンが墓地で、ちょっと不気味な始まり方だった。ビデオ画面を設置した墓地で、えんえんしゃべり続ける故人の映像――というのは、「マックス・ヘッドルーム」に似たような話があった。結局この変な墓石は雰囲気作りだけで本筋には関係なかったけど。
水鉄砲で「ターゲット」を仕留めていくというゲームはちょっと現実感に乏しいが、またおバカなニューヨーカーが出て来たわ~という印象。そのためにオフィスを借りて大掛かりな芝居をしたり、タクシーの運転手を買収したり。いくら賞金が高額でも負ければ丸損(なんでしょ?)だから、そんなことに金や時間を使うより真面目に働けば……なんて、ドラマでそんなこと言っちゃだめなんだろうね。
ゲームの「最高司令官」は結局正体不明なままだったけれど、この設定はけっこう便利に使い回せそうな気もするので、また登場しないかな、とちょっと期待。「最高司令官」がすごい意外な人物でマック相手に迷惑なゲームを仕掛けてきたりしたら、面白いかも。
最後でクリスがオーディションを受けに来ていたお芝居が「二十日鼠と人間(Of Mice and Men)」だった。スタインベックの同名の小説を基にした芝居で、ゲイリー・シニーズが監督した映画作品が有名。クリスが狙っていた役「ジョージ」はシニーズ自身が演じている。確かに警官は登場しないね。
ところでこのエピだけ、字幕でマックの名前が“Mack”になっていた(普段はMacなのに)のは何だろう。