CSI: NY - Season 4, Episode 1
ロンドンでの休暇旅行から戻って来たマックは、NYに向かう機内で連絡を受け、空港から直接事件現場へ向かう。自由の女神像の額に大量の赤い液体(後に人間の血液と判明)が撒かれていたのだ。
女神像の頭部にあたる展望台では警備員のジョージア・モリソンは首をかき切られて死亡しており、もう1人そこにいたはずの警備員、チャールズ・プライスは行方不明。公園の展望台に設置されていた望遠鏡はワイヤーで固定されており、覗いて見るとビルの屋上に座っている男性が見えた。
屋上に座らされていたのはダミオン・ブロックという男性で、発見時には既に死亡。全身の血液が抜かれて防腐処置を施されており、着ていたシャツの胸には「あと2人死ぬ」と書かれていた。また、喉の奥からは小さな突起のある金属片が発見される。女神像に撒かれた血液はブロックのものだった。
望遠鏡を固定していたのは高級ピアノの「A」の音に使用する弦で、ブロックの喉に押し込まれていた金属片はオルゴールの部品だった。アダムがレプリカを作って音を再生したところ、オルゴールには珍しい曲であり、歌手のノヴァ・ケントが作らせた特注品だったことがわかる。ノヴァはオルゴールを注文したことは認めたものの「失くした」と主張する。
その後、バッテリーパーク沖で男性の片腕が発見され、行方不明だった警備員、チャールズ・プライスの物と判明。マックは、ジョージアとチャールズの殺害は犯人にとって予想外であり「あと2人死ぬ」の2人には含まれていないだろうと判断する。
ステラとフラックはブロックのアパートへ向かい、そこが殺害&防腐処置の現場であったことを知る。ステラは、昨年にも同じアパートで殺人事件があったことを思い出す。その事件ではマリー・カジミラというピアニストの女性が殺害され、管理人のモートン・ブライトが疑われたが結局は無関係で、事件はまだ未解決だった。
彼らが現場を見ているところへ電話がかかり、留守電の応答メッセージが再生されるが、その内容は、ブロックらしい男が拷問されつつ車のナンバーを答えているというもの。また室内には、拘束されている別の男性の写真が置かれていた。
写真の背景が手がかりとなり、マックとダニーが音楽ホールへ向かい、ティンパニーの中に閉じ込められた男を発見する。その男性リー・ナカシマはその後死亡するが、持っていた携帯電話には、ナカシマが誰かに拷問され、男の人相を言わされている動画が残されていた。ナカシマの喉には何かの紙片が詰められていた。
ナカシマは数ヶ月前までブロックと同じアパートに住んでいた。ブロックとナカシマは拷問を受け、車のナンバーと男の人相を言わされていた。この2人が目撃した同じ事件――マリー・カジミラ事件が共通点ではないかと思われた。
ナカシマの喉に押し込まれていた紙片がノヴァ・ケントのコンサートチケットだったことがわかり、マックらはコンサート会場へ急行、ノヴァをつけ回していたアンソニー・コルトンを逮捕する。ノヴァはようやく事情を話す――彼女はマリーの親友で、オルゴールも彼女にプレゼントした物だった。マリーの事件でコルトンの顔を見たものの、「誰にも言わない」と必死で命乞いをして、今まで沈黙を守ってきたのだった。
これでマリー殺しは解決したが、コルトンはナカシマやブロックの件については全面否定。考えてみれば、犯人である彼が敢えて自分の犯行を示す手がかりを現場に残すはずもない。
ステラはモートン・ブライトを訪れ、マリー事件が解決したことを報告する。モートンはマリーの遺品であるピアノを保管していたが、そのピアノはAの音が出なかった――。
モートンはマリーを愛し、捜査が進まないことや目撃者たちが口を閉ざすことに怒っていた。管理人である彼はブロックとナカシマが事件を目撃したことを知っていたが、ブロックは保釈中の身でありナカシマはビザ滞在者だったため、係わり合いになりたくないと協力を拒んでいた。そこでモートンは2人を拷問して情報を聞き出し、世間の注目を集めるために自由の女神の額に血を撒いたのだった。
久しぶりのNYは、相変わらずキワモノ犯罪の街だった。
前シーズンのフィナーレは、ダニーとアダムが人質になって負傷し、マックがラボを爆破(?)するという派手で痛そうな終わり方だったのだが、しばらく見ないうちにラボはすっかり元通り、怪我をした2人も回復した様子。ダニーはまだリンジーと続いているようだし、アダムはラボ職員のケンドールと?
メインのストーリーは、NYらしく強烈なインパクトとあり得ない発想と超人的な執念の事件が、スピーディな場面展開とともに語られる。全員で1つの事件担当だけど、連続殺人だから忙しい。自由の女神の額に血――なんて、他のシリーズでは考えられない、NYならではの事件ではないだろうか。そして、誰にも解けなかったらどうすんのと言いたくなるような、暗号めいた謎かけ。マリーの事件を担当したステラがいたのですんなり結びついたけれど、関連に最後まで気づかれなかったらどうするつもりだったんだろう。
いつも屋上でタバコを吸っていたプライスが屋上に座らされ、また騒音を気にしていた(んだっけ?)ナカシマが太鼓の中に閉じ込められたのも、それぞれに意味のあった配置だったのだろう。でもそんなの、管理人のモートン以外にはわかんないって! 変なところに凝りすぎ! 血をぶっ掛けられた女神もいい迷惑だよ。
ティンパニーのくだりは、三池崇史監督のホラー映画『オーディション』のオマージュらしいのだが、見ていないのでよくわからない。レビューを見ると何だかものすごく怖そうな映画なのでやめておこう……。そうか、だから被害者を日本人のナカシマさんにしたのかな。
社会には常に、一定の割合で犯罪者が存在する。それをなくすことはおそらくできないだろう。本当に恐ろしい社会とは、ごく普通の善良な人々が、犯罪を許してしまう(見て見ぬふりをする)社会なのだろう――ブライトの殺意がマリーを殺した犯人ではなく口を閉ざした目撃者たちに向けられたのは、つまりそういうことだったのかなと思う。まぁブロックは彼自身も犯罪を犯して保釈中だったわけだけど。
さて事件とは別に、マックの周囲にはストーカーの影がちらついている。毎晩3:33きっかりにかかってくる無言電話。ロンドン警視庁にも追跡できなかったらしい(ホテルの電話ってフロントを通さず直接部屋にかけられるの?)。これは、前年のベガスでの殺人模型のような、シーズンを通じた事件になっていくのだろうか。ストーカーもマックと一緒にロンドンに行って一緒に戻って来たのか、それともロンドン支局があるような国際ストーキング組織(何だそれ)に狙われているのだろうか。