CSI: NY - Season 4, Episode 14
ダニー、リンジー、エンジェル刑事担当。現場へ向かう消防車に、火だるまになった若者が激突。宇宙服のようなスーツを身に着け、時速約130kmで飛んで来た被害者を、検死官は「大気圏に再突入した宇宙飛行士」のようだと形容する。実際、被害者が身に着けていたワッペンなどは、本物の宇宙服に使われていたものだった。
その後の調べで、被害者は宇宙飛行士ではなくストリート・リュージュの選手デクラン・ホリスター、通称ディーモンと判明。危険な坂道を走行中に道路のくぼみで身体が跳び上がり、発見現場まで飛ばされたものと思われた。スーツからは燃焼促進剤が検出され、ディーモンとレースで競っていたマーキュリーや、同じ坂道で走行した記録保持者のサンドラなどが放火を疑われるが、いずれも犯行につながる証拠は見つからない。
ダニーは、発見時道路が濡れていたことを思い出す。ディーモンのスーツに付着していたのは燃焼促進剤ではなく、道路にしみこんだガソリンやオイルが雨で溶け出してスーツに付着した可能性があった。さらに、発火の原因として靴に注目。ストリートリュージュで止まる時は靴をブレーキにする。靴底のゴムが磨り減ったため、内側の金属が露出して路面をこすり発火。その後、炎で溶けたゴムが再び金属を覆うように癒着したため気づかれなかったのだ。
マック、ステラ、ホークス、フラック刑事担当。自動洗浄式の公衆トイレに水が溜まり、中に入っていたソーシャルワーカーのヴァネッサ・マトリンが閉じ込められて溺死する。死因は溺死だが、腕には防御創のような傷があり、爪の中には微量の血液が残っていた。
その血液は、殺人罪で服役中のセス・リギンのものと判明。5年前にセスの事件を担当したのはマックだった。セスに双子の兄弟はいない。当時から冤罪を主張していたセスはその事件を知り、獄中から弁護士を通じて再審請求を行う。天文学的確率とはいえ、同じDNAを持つ人間がいるとわかれば、無実の可能性があるためだ。
だがその後、ヴァネッサがインターネットの「囚人とのデート」サイトを利用していたことがわかる。セスも、現在は削除しているものの登録していた痕跡が残っていた。そこでセスの独房にあった手紙を調べてみると、ヴァネッサと手紙で連絡を取っていたようだとわかる。セスが自分の血液を袋に入れてヴァネッサに送り、彼女が自分を傷つけて襲われたように見せかけ、セスの容疑を晴らそうとしたものと思われた。
一方ホークスは、トイレの配水管にポリウレタンが詰められて水が流れないようにされ、さらに電気系統にも細工がされていたことを突き止める。その細工のせいで自動止水栓が働かず洗浄水が流れっぱなしになり、ドアロックは開かなくなり、閉じ込められたヴァネッサは溺れ死んでしまったのだった。ウレタンの購入ルートと指紋から、細工した犯人は公衆トイレの入札で競って負けた会社のオーナー、ジョン・スザボと判明。スザボは市の元職員で、市政に貢献した実績から自分がトイレの設置を任せてもらえるだろうと自信を持っていたが、結局料金の安い会社に決まったことに腹を立て、信頼性を落とすためにトイレに細工したのだった。
「火」と「水」の事件の二本立て。マックは水の事件を主に担当するが、冒頭では消防車の事件現場にも出張。これはOP前の「ヒューストン…」の台詞を言わせるため? 「アポロ13」や「ミッション・トゥ・マーズ」で宇宙飛行士だったもんね。
リュージュといえば、これを書いている現在(2010年2月)はバンクーバー冬季五輪の開催中で、グルジアの選手が練習中に事故死したというニュースを聞いたばかり。ソリの上に仰向けになってすべるリュージュは、空気抵抗を受けにくく(つまりスピードが出やすく)咄嗟の防御姿勢が取りにくそうで、想像しただけで怖い。路上でのストリートリュージュとなると、車や歩行者といった別の怖さがあるわけだが、道路にしみこんだガソリンを浴びてしまうとは! 今までもアーバンゴルフだの地下鉄サーフィンだの、危険な遊びがいろいろ出てきたけど、これもかなり怖いよなぁ。
こちらの事件では、アダムのお相手(……かどうか、よくわからないのだけど)ケンドールが活躍。まだちょっとキャラが立っていない感じだが、変な知識を都合良く持っている便利キャラで終わらず、人物像を発展させていってほしいなと思う。
「水」の事件は、公衆トイレに閉じ込められて溺死、という本当にイヤな死に方だ。シーズン1の冷凍ウ●コを思い出してしまうが……。何だか「どっちかで死ぬとしたらどっちがいい?」という究極の選択って感じ。こっちは、自動洗浄(って、あのトイレを丸ごと洗うのだろうか)用の水だから、水はきれいなんだろうけど溺れるのが苦しそう。冷凍ウ●コは汚いけど脳天を直撃されて即死。どっちもイヤ。
DNAの証拠から冤罪が疑われる――という展開で、シーズン1の「クローザー」を思い出させるものの、今回のマックは自分の結論に微塵も疑問を持たず、それは結果的に正しかったとわかる。やっぱり今の彼は別人なんだなぁと、なぜかほっとした気持ちになった。