CSI: NY - Season 5, Episode 7
空き地に残る地下室の穴で男性の遺体が発見される。顔はオポッサムに食べられていたが、IDから身元はケヴィン・マクブライドと判明。地下室から地上へ上がる階段には血痕があったが、階段の上ですっぱりと切ったように消えていた。実は、血の跡は地上に立っていた一軒家に続いており、その家はイーストリバーを船で運ばれていた。マクブライドは家屋を運送する会社を経営しており、輸送予定の家の地下で殺害されたのだ。
現場や遺体の物証から、暴行の前歴のあるタナー・サマーセットや、マクブライドの秘書リタなどに疑いがかかるが、2人とも無関係らしいとわかる。タナーは、空き家に入り込んでマリファナを吸っていただけだった。
マクブライドは自分の顔写真の切れ端を手に握りしめており、その写真の裏にはQRコードが印刷されていた。そのコードを解読すると「シークレッツユー」という投稿サイトにたどり着く。それは、人々が自分の秘密を懺悔のように投稿するサイトで、運営者は匿名。
カードの残り部分が床板の隙間から発見され、そこには「止めなければ彼女に話す」と書かれていた。ケヴィンのパソコンを調べたところ、「ローラ57」と名乗る女性と浮気していたことがわかり、さらに調べてみると、そ「ローラ57」はケヴィンの娘のエラであると判明。エラの自宅を訪ねると、そこには大量の「シークレット」カードが展示されており、彼女がサイト運営者であるとわかる。
エラはチャットで知り合った男性と意気投合したが、相手が父親とわかり、連絡を絶つためにカードを送ったことを認めるが、殺害は否定。凶器のハンマーから検出された上皮のミトコンドリアDNAはエラのものと型が一致するが、母親のアニーも同じ型であるはず。不動産代理人のアニーは、犯行時刻には売家の紹介ビデオを撮影していたというアリバイを主張するが、ビデオを精査してみるとタイムコードと影の長さが矛盾し、ビデオの時刻を改ざんしたアリバイ工作を行っていたとわかる。アニーはカードを見て夫の浮気を知るが、相手の正体までは知らなかったのだ。
オポッサムに齧られた顔、空き地に残った穴、床から上はイーストリバーを船で運送中――いかにもNYらしいグロと大胆な場面設定が面白い。イーストリバーを船で疾走する犯罪現場!
QRコードは、ちょうどこの頃(2008年)アメリカで流行し始めたのだろうか。エラが運営していたのはネット上のサイトだけど、秘密の告白はカードに書いて郵送。郵送方法はカードにQRコードを印刷。それをエラが部屋に掲示し、デジタル化してサイトに公開している。デジタルとアナログが混在した不思議なアートワーク――会田誠の作品にそんなのがあったっけ、と思い出した(見てないけど)。ただし、彼女自身の秘密をアートにすることはできなかったようだ。
メインの事件以外のところでは、まずギリシャコインの謎。2回前の「人生の対価」でネズミ釣り男が殺害された事件に関して、ステラが脅しめいた電話を受ける。あの、いかにも怪しかった外交官、ディアコスが脅してきたのだろうが……これは、脅しというよりむしろ挑発ではないのか。
そしてフラックと妹サマンサの話。サマンサはバーテンダーをしているはずだったが、仕事中に飲酒してクビになっていたようだ。終わりの方でサマンサが断酒会に行き、警察一家の中でいつも疎外感を感じて苦しんでいたという体験を話す。でも子どもの頃は兄妹仲良く、ヘッドホンを分け合って一緒に音楽を聴いたりしていたんだよね。フラックが最後にその曲を聴かせて、どうやら和解できそうかな。