CSI: NY - Season 5, Episode 13
街中でバラバラに切断された遺体が発見される。指紋から、被害者は高校のレスリング部でコーチを務めるヴィンス・ネルソンと判明。妻は、ネルソンを狙うような人間にはまったく心あたりがないというが、彼が行方不明になった当日、不審な2人組が屋上を歩いていたという。
ネルソンのパソコンを調べてみると、裸の少年の写真が発見される。ネルソンは児童ポルノ写真を、教え子のレスリング部員に送りつけていた。
胴体部の痕跡と火傷の跡から、凶器はどうやらチェーンソーらしいとわかる。また、ネルソンの自宅の屋上にいたのがレスリング部のトッドとわかり、フラックとエンジェルはトッドを警察署に呼んで事情を聞こうとする。だが、質問をしようとしたところで、トッドは突然発作を起こして死亡。ちょうどその時署内で騒ぎが起きていたため、室内にいたのはトッドとフラックのみ。フラックは暴力を振るったのではないかと疑われて調査を受けてしまう。
その後、ネルソンの頭部が発見され、死因は喉を強打されたためとわかる。また、頸部の傷からは性犯罪の前歴のあるジョニー・ホールトの血液が検出される。しかし血液はかなり時間を経たもので、事件とは関係ないようだった。
ネルソンの妻は、夫は小児性愛者ではないと主張する。実際に、通信データをよく調べてみると、どうやらレスリンブ部のカイルとトッドがWiFiのパスワードを破り、ネットからダウンロードした写真をネルソンの仕業に見せかけて送信していたらしいとわかる。カイルはレスリングの階級を上げられたために優勝することができなくなり、奨学金が遠のいたことを恨んでネルソンを陥れようとしたことを認めるが、殺してはいないと否定する。カイルは犯行時のアリバイを主張し、父親が車で迎えに来たという。
カイルの父親は高位裁判所で廷吏をしているアレックス・シェリダン。廷吏の仕事で使用している警棒は、ネルソン殺害の凶器と特徴が一致する。さらに、ホルトが法廷で暴れた時にシェリダンが取り押さえたため、血痕が付着する機会があったこともわかる。アレックスは、息子が偽装したメールを見てネルソンを小児性愛者だと思い込み、彼を殺害してバラバラにしたのだった。
また、トッドが死亡したのは抗鬱剤を大量に服用していたためとわかり、フラックの疑いも晴れる。
結論に飛びついて早まった行動を取る前に、状況をきちんと把握すべし。取調室で被疑者・参考人と2人きりにならないこと(外からでも誰かに見ていてもらうべき)。職場恋愛は隠そうとしてもムダ。人件費を削減するのであれば、ラボ員を解雇する前にまず、内勤の警官が遊んでいないかチェックするべき。今回の教訓はそんなところかな。
事件には特に印象がないが、シェリダンの勤務先「マンハッタン最高裁 (Manhattan Superior Court)」なる物について一言。そういう裁判所は存在しない。Law & Order でおなじみの高位裁判所 (New York Supreme Court) のことだろうと思う。
多くの州では “Superior Court” が地裁だが、NYでは呼び名が少々特殊で、なぜか一審(事実審)を行う裁判所が Supreme Court となっている。同じくSupreme Courtの中にある上訴部 (Appellate division) が控訴審を担当するので、正確には日本で言う地裁と高裁を合わせたようなものだろうか。最高裁は Court of Appeals という名前で州都のオールバニーにある。
“Manhattan Superior Court” というのも俗称・通称としてはアリなのかもしれないが、いずれにしても「最高裁」は正確ではない。