CSI: NY - Season 6, Episode 4
裕福なビジネスマン、ケヴィン・カーターが自宅で殺害され、妻のデボラが自首する。夫の浮気を知り、包丁で17回刺して殺したという。現場の状況もデボラの供述と一致するが、別の女性のDNAが検出されたことから「共犯者がいるのではないか」という疑いが生じる。
デボラは「誰もいなかった、私一人の犯行よ」と否定するが、別人のDNAが検出された箇所から考えて、その女性が犯行当時同じ室内にいたことは明らか。衣服の付着物などを詳しく調べた結果、ケヴィンは帰宅する前に同じマンションの別棟にいたことがわかり、そこでしらみつぶしに聞き込みをしたところ、ゾーヤという女性がケヴィンの写真を見て「私の夫よ」と言う。ケヴィンは死んだ兄弟の社会保障番号を利用して別の女性と重婚し、仕事で出張が多いふりをして2人の女性の間を行き来していたのだ。
だが、問題のDNAはゾーヤとも別人。ホークスがそのDNAを全国版のデータベースと照合したところ、何と複数の州にまたがる21件の事件のDNAと一致する。窃盗、強盗、殺人など罪状も手口も被害者像もバラバラでつかみどころがなく、共犯者も重なるところがない。しかも事件はだんだんエスカレートし、暴力性を増している。女性の犯罪でこのようなケースはひじょうに珍しい。
リンジーは21件の事件を地道に調べ、麻薬関連の事件で「ワールドセンド」という宅配サービスのパッケージが発見されていることに気づく。調べてみると配達員はいずれもマルシア・バスケスという女性で、麻薬や銃器の所持で保護観察処分を受けていたことがわかる。リンジーとフラックはマルシアを見つけて逮捕。
マルシアは21件のうち数件の関与を認めたものの、他の事件は知らないときっぱり否定する。DNAの提出を拒否したため、指紋カードからサンプルを採取した結果、問題の女性と一致。だが、ヘイレンがマルシアの配送ルートを調べたところ、数件の事件ではアリバイが成立することがわかる。マルシアの態度からも、彼女がすべての犯行に関わっているとは思えなかった。
マックは証拠を採取する綿棒に注目し、その綿棒を製造している工場へ向かい、素手で作業している女性を発見。手袋をするのが規則だが、彼女は「手が汗ばむから」と言う。マルシアの指紋カードやその他の事件の証拠品から同じDNAが検出されたのは、綿棒が製造過程で汚染されたことが原因だったのだ。
本国放送時に、ストーリー紹介を見て元ネタがわかってしまったエピソード。なので、メインの謎については「どのへんで気がつくのかな~」と思いながら見ていた。
元ネタはドイツやオーストリアで起きた「ハイルブロンの怪人」事件で、ちょうどこのエピソードが放送される半年ほど前に綿棒の謎が判明し、ニュースになった。
その事件を取り入れたということで、どんな風に料理するのかと思ったら、最後までそのまんまだったので少々がっかり。放送当時はまだ新しいニュースだったので、それで良かったのかもしれないが、元の事件を知ったうえで見ると、少々ストレートすぎるような気がする。どうせなら、綿棒工場の女性が実は連続殺人犯、くらい斜め上の展開があっても良いと思う、NYなら。
ところで綿棒が製造過程で汚染されたという話は、CSI界では初めてではない。ベガスのシーズン5「主任失格」で既に、DNAの採取キットが製造過程で汚染された、という話が出ていた。ただし、メインの事件とはあまり関係ない扱いでちょろっと言及されただけ、だったような……「このネタ、もっと面白く使えたんじゃないの?」と不満に思ったように記憶している。放映は2005年の5月だから、ドイツ警察の人もこれを見てればもっと早く真相にたどり着けていたかも?
DNA騒動以外の部分は、これもやはりデジャビュな重婚ネタ。重婚はベガスで1度、マイアミで2度あった話だ。このNYでも以前あったような気がして仕方ないのだが、シーズン2の「奪われた家族」だったっけ? これは重婚というよりスリーサムの話なのでちょっと別かもしれないが、どっちにしても目新しさはないなぁ。
あとは、銃撃事件の後遺症を引きずるフラックとダニー。フラックはジェシカの死と、その犯人を射殺した件がフラッシュバックしてしまい、肝心の時に銃を撃てなくなってしまう。今回は相手が女性で、武器も刃物だけだったからこれで済んだが、この後もまだ少し引きずりそうな気がする。そしてダニーはリハビリの辛さにめげそうになるが、ホークスやリンジーの励ましで、ようやく自分の足で立てるようになるまで回復。ちょっと簡単すぎる気もするけど、ダニーネタはこれでおしまいかな?