CSI: NY - Season 6, Episode 15
フォーミュラカーのレーサー、ダビ・サントスの車が爆発炎上し、サントスは病院に運ばれる。「ニューヨーク400」レースの前に行うエキシビション・ランでの出来事だった。サントスには敵が多く、「明日、車に乗れば死ぬ」という脅迫メッセージを送られていた。ダニー、リンジー、アダムの3名は、大破したレーシングカーを組み立て直して原因を調べ、ホークスは脅迫状を分析。
脅迫状を送ったのは、政治学者のジョシュ・ウィーバーと判明。だがウィーバーは、サーキット帰りの飲酒運転の車に弟一家を殺されたことから、酒のメーカーがレースを主催することに反対しているだけで、殺害には関与していなかった。
マシンを復元した結果、余分なワイヤーと、燃料パイプへの細工の痕跡が発見される。燃料漏れにより車自体が爆弾になったのだ。マシンに付着していた指紋はテストドライバーのリースの物だが、リースは点検しただけだと主張。また、マシンを保管していたトランスポーターには、バールのような物で扉をこじ開けた痕跡が残っており、ライバルのレーサー、ライザが侵入したことがわかる。ライザはライバルの様子をスパイしていただけで、サントスの犬猿の仲のように振舞っていたのも、レースを盛り上げるための演出だと主張する。2人とも動機があるが決め手はなかった。
病院に運ばれたサントスの意識が戻り、ステラが病院へ向かうが、そこで容態が急変し、サントスは何も言わないまま死亡する。サントスの妻タニアは諦めたように「ダビは引退すると約束したのに、落ち目だと言われて意地でレースを続けた。結局引退するには死ぬしかなかった」と口にする。サントスの身体は怪我だらけで、鎮痛剤に頼って車に乗っていたようだった。
リンジーは、トランスポーターに侵入したライザが撮影した写真を確認し、細工はライザがトランスポーターを出た後で行われたものと判断。そのタイミングであればチーム内部の犯行としか考えられない。
サントスの車には、スペック表にない部品が取り付けられていた。サントスはまだ実験段階のエンジンを取り付け、ボタンを押して加速できるようにしていた。派手な走り方で知られるサントスは観客の前でボタンを押すが、余分なワイヤーのせいで加速されず、何度もボタンを押すうちに回路がショートして燃料に引火し、爆発を引き起こしたのだった。
サントスのチームが宿泊しているホテルの防犯カメラ映像を調べたところ、クルーチーフであるバーナードの部屋をタニヤが訪ねていたことがわかる。バーナードはエンジン回路をショートさせる細工をしたことは認めたが、それはサントスを引退させるためにしたことだった。マシンを知り尽くしているバーナードは「あれだけでマシンが爆発炎上することは絶対にない」と断言する。
押収した工具の指紋を調べた結果、チームオーナーのコナー・ウェルズが燃料パイプに細工したことがわかる。ウェルズもサントスはもう限界だと見切りをつけ、サントスを引退させて若いレーサーに引き継がせようと考えていた。だが、サントスが引退を撤回したため、バーナードの細工を「願ってもない好機」とばかりに利用してサントスを爆死させたのだった。
レース(エキシビションだけど)の最中に車が炎上してレーサーが死亡。と、こう書いただけで何だかデジャビュな感触が波のように押し寄せてくる感じ。いや「CSI:NY」で「レーサーが死ぬ」のは初めてかもしれないけど、レースの話はマイアミの方で何かあったし、ベガスにもストリートレースの話があったし、以前のシーズンではストリートリュージュが出て来たし……で、いろいろ合わせて「前にも見た感」が強く感じられるのだろうと思う。
そういう印象で見るので、マックが子どもの頃レーサーに憧れていたとか、ソープボックス・ダービーで入賞したとか言われても、何か唐突で「後付けっぽい」としか思えないんだな、これが。
いったんは意識を取り戻したサントスが急死したので、タニヤさんが何か細工したのかと思ったのだが、そういうわけではなかったようだ(疑ってすいません)。容態が急変したのは、本人が長年身体を酷使し続けて、もう耐えられなくなってしまっていた、ということだろうか。ファンは「不死鳥のように何度も蘇る」サントスに熱狂し、そのファンの熱狂がサントス自身をも熱狂させ、死ぬまで引退できない状況に追い込んでいたのだろう。チームオーナーはバーナードの細工に便乗したわけだが、ただ引退させるだけよりも、より悲劇的で、よりドラマチックな状況を望んでいたに違いない。サントスの命よりもファンの熱狂をつなぎ止めることを選んだわけだ。