CSI: NY - Season 7, Episode 9
ロニー・パーカー(カーヴァー刑事局長の妹)になりすましていた女性が、激しく殴られたうえに銃で撃たれて殺害される。暴行の凄まじさは怨恨による犯行を思わせた。凶器の銃はカーヴァーの物だったが、カーヴァーは「昔失くした物だ」と、ロニーが持ち去ったようなことを言い、無関係を主張する。ロニーは薬物中毒者と売春婦たちの溜り場になっている地域に住んでおり、かなり荒れた生活を送っていたらしい。
被害者の本名はコロンビア出身のマルセラ・ゴメスで、アメリカ人のミッチ・バレットと婚約してビザを得ていた。ダニーとフラックはバレットの自宅へ向かい、大立ち回りを演じた末にバレットを逮捕。バレットは「逃げたら殺すという約束を15年かけて果たした」と言い、銃はマルセラが持っていた物だと主張する。
指紋の位置などから、バレットの話は事実らしいとわかる。マルセラはロニーの名をかたり、ロニーの兄の銃を所持していた。ロニーがすでに死亡しており、なおかつ彼女を誰も探していないことを知っていた。また、警察が向かっているという情報も事前につかんで身を隠そうとした。マックは、カーヴァーがマルセラに情報を流したのではないかと疑う。
ロニーの遺体には上からジャケットがかけられ、そばにはチューインガムと凶器らしいナイフが埋まっていた。ジャケットはオーダーメイドの物で、顧客名簿から持ち主はわかるが、彼は「ロニーと浮気をしていた」と認めたものの、殺害は否定。最後に見たとき、彼女は警官と何か話していたという。
ナイフは凶器と判明し、DNAから持ち主がわかる。当時はまだ15歳の少年で、ナイフは兄から買い与えられたものの、「警官に見つかって没収された」と主張する。彼の供述から、ナイフを没収したのは当時パトロール警官だったカーヴァーだったとわかる。
マックはカーヴァーに対する疑惑を深めるが、ジョーはシドと話し「断定はできないが、犯人はロニーより小柄な体格で力も強くなかったと思う」という意見を得ていた。
マックはチューインガムのDNAをロニーと比較するよう指示。そのDNAはロニーと親子関係にある男性であると判明――ロニーを刺したのは、当時14歳だった息子のジェイだったのだ。
ジェイは母親からの虐待に耐えていたが、その後弟や妹まで殴られるようになったことを知り「このままでは皆あの女に殺される」と感じて母親を刺し殺したのだった。ナイフは、ジェイが木彫り細工が好きだったため、伯父のカーヴァーが没収品を与えた物。ジェイはその後、伯父に事情を話して自首しようとするが、すべての事情を知ったカーヴァーはジェイたちを引き取り、秘密を守り通したのだった。遺棄場所にサイクリング道路が作られるという計画を知り、別の場所に移そうと掘り起こしていたところをマックに見られてしまったのだ。
カーヴァーは職と年金を失ったが、マックの説得により起訴は見送られた。また、ジェイも事情を斟酌して実刑なしの故殺罪で取引が成立する。
前回遺体で発見されたロニー・パーカー事件の解決篇。警察が踏み込んだのに一足違いで逃げられた偽ロニーが遺体で発見される。となると当然、動機を持つ容疑者はカーヴァー局長、ということに。妹になりすましていたのだから、マルセラがロニーを殺害した可能性は高いし、使われた銃もカーヴァーのもの。前回マルセラが逃げてしまったのも、カーヴァーが自分の手で復讐するためにわざと逃がしたのではないか――と、こう考えられるので、ドラマ的にカーヴァーはまず犯人ではあり得ない。かといってまったく無関係でもあり得ない。
……と、こういう経緯をたどればカーヴァーが誰かを庇っていることは明らか。庇う相手はロニーの息子しかいない。だからまぁ、人選としては無難で、ストーリーをきれいに収めた感がある。ただやはり、カーヴァーが拳銃までマルセラに与えたこと、マルセラが州外に逃げずにずっとNYに留まっていた理由、バレットがロニーの居場所を突き止められた理由など、説明不十分な点や、説明はあったけれど納得しがたい点は残る。
カーヴァー刑事局長の登場は、7話の「見えざる狙撃者」が最初かな。その次が妹の遺体発見で、その次が今回の話なので、結局この事件のために登場した、という役どころだったようだ。初登場時は市民の安全よりも保身が大事でマックと対立しているような印象だったが、よくよく話を聞いてみると、巡査から叩き上げた人情家だったんだなぁ。15年でパトロール警官から刑事局長って、出世が早すぎるような気がしないでもないけど……15年前はただの巡査じゃなくて、制服組の管理職だったのだろうか。ナイフを没収したのもパトロール中じゃなく裁判所からの帰りだったようだし。