CSI: NY - Season 8, Episode 10
人気のない高架下で黒焦げの遺体が発見される。ガソリンをかけられて長時間燃やされており、骨以外はほとんど燃えてしまっていた。そばに落ちていた運転免許証の燃え残りと血痕から、格闘家のライアン・リチャーズと思われた。
ライアンの妻リサは、以前住んでいたコロラドで悪質なストーカーに悩まされていたと言う。ニューヨークへ来てからは被害はなかったというが、調べてみると先月頃からライアンは大量の脅迫メールを受け取っており、最新のメールは「朝にはお前は死んでいる」という、殺害を予告するようなものだった。
メールには試合の写真が添付されていた。アダムはその試合で撮影された大量の写真を合成して場面を再構成し、ストーカーが撮った写真のアングルから位置を割り出し、ストーカーらしき男を発見。顔は見えなかったが、ジョーはその男がピーナツの缶を持っていることに気づき、男がいた場所を捜索。落ちていたピーナツの殻から唾液が検出され、身元はコロラド出身のアーロン・コリンズと判明。アーロンは強盗の前科があり、服役していた期間が、ちょうどライアンのストーカー被害がなかった時期と一致する。
アーロンは逮捕されるが、「自分は脅迫メールを送っただけ」と無関係を主張。彼はライアンと一緒に格闘家を目指していたが、ライアンの反則技による怪我で選手生命を絶たれてしまい、以来「スター選手になるのは自分だったはずなのに」と、ライアンを恨んで嫌がらせをしていたのだった。アーロンは現在NYの更生施設におり、門限があるのでアリバイがあると主張する。
シドは、遺体の足首の骨折跡が、ライアンの医療記録と一致しないことに気づいていた。治療に使われたボルトを抜き出して製造番号を調べたところ、被害者は元海兵隊員のチャーリー・ハントであるとわかる。戦場で負傷して帰国し、重いPTSDに陥りホームレスになっていたらしい。ライアンは普段からホームレスの支援活動をしていたことから、ライアンがストーカーから逃れるためにチャーリーを身代わりにして死を偽装したのではないかという疑いが生じる。生きていればかならず妻に連絡を取るはずということで、リサの電話やメールなどはすべて監視下に置かれる。
一方フラックは、大量のガソリンと血液を浴びて警察署に現れた若者、マーティ・ボッシュを拘束していた。マーティは前日、誕生日の祝いで大酒を飲んで泥酔し、気がつくと服に誰かの血が服に付いていたという。服に付着していたアスベストやバーの場所から足取りを推測してみると、マーティはどうやらバーに近い廃墟ビルに入ったらしいとわかる。
その場所へ行ってみると、マーティは昨夜のことを思い出す。ガソリンを浴びたのは、ガソリンヒーターにつまずいて倒してしまったため。そこで寝ていたホームレスが起き上がり、驚いたひょうしに何かにぶつかり、天井から梁が落ちて来たという。ホームレスは怪我をしたが、自力で出て行った。現場に残る血痕などの証拠もそれに符合する。
やがて、リサのもとへライアンから1枚の絵葉書が届く。宛名以外は何も書かれていなかったが、切手の裏からはライアンのDNAが検出される。リサは絵葉書を見て、ライアンからプロポーズされた思い出のモーテルだと認める。
そのモーテルでライアンは発見され、逮捕される。ライアンはホームレスの支援をするうちにチャーリーと親しくなり、その夜も食事を届けてやろうとしていた。そしてチャーリーが血を流しながら出て来るのを見て、車に乗せて病院へ運ぼうとした。しかし間に合わず、車内でチャーリーは死亡。そこでライアンは、チャーリーの遺体を利用して死を偽装し、ストーキングを逃れようとしたのだった。
ライアンはチャーリーを殺していないと主張するが、遺体の損傷が激しく証明はできない。殺人罪に問うかどうかは地方検事が判断することになる。チャーリーは軍による葬儀で葬られることになった。
「刑事ファイターって何だ?」と思ったら「ケイジ(Cage=檻)ファイター」か!
身体は黒こげになって見た目では判別できないのに、運転免許証だけが都合よく燃え残っている場合は、たいてい別人。と思ったらやっぱりね。
ライアンは、冒頭では反則連発で相手をボコボコにしていたので、勝つためならなりふり構わず何でもするぜ! というタイプなのかと思ったら、ホームレスを支援する「いい人」で、ストーカーに対しては何もせず逃げるだけ。相手は素人ではなく元選手なのだから、格闘家として対決して、死なない程度にボコボコにしてやればいいのに。
それにしても、自分の死を偽装してまったく別人になってゼロからやり直すって、すごく大変なことだと思うのだけど、チャーリーが車の中で死亡してから短時間でそこまで決心するってすごいな。
ライアンを起訴するかどうかは検事の判断になるようだが、ライアンが手を下して殺害したということは、立証できそうな気がしない。NY州に死体損壊罪があるのかどうかわからないが、放火罪での起訴はありそうな気がする。でも本人が罪を認めているので司法取引だろうか。
そしてマックの前に女性記者が登場。もしかしてこの人がマックのお相手? ジョーの過去の話が終わったから、次はマックの色ボケアーク? うーん、何となくだけど、この人はあまり印象良くない。記者という職業のせいだろうか。
しかし「NYPDは身内に甘い」「マック・テイラーが規則厳守というのは見かけ倒し」というのはまさしくその通りで、この点はぜひ明らかにしてほしいところ。たとえば、S3でマック本人が刑事局長を恫喝して手続き違反をごまかした件を追及してみてはどうだろう。(しかし個人的には、あれもなかったことにしてほしいが)