CSI: NY - Season 9, Episode 10
禁酒法時代のアングラな酒場を再現したレトロバー「リアル・マッコイ」を経営していたジェイソン・ブラックが路上で殺害される。争ったあげくに園芸店のスタンドにぶつかり、尖った金具が首に刺さっての失血死。ジェイソンは売上金を入金しに行く途中だったが、奪われたのは1万5000ドルのうち1万ドルのみで、他は財布も含めて何も奪われていなかった。
ジェイソンの腕時計からは仮釈放されたばかりのネイサン・ブロディの血液が検出されるが、ブロディは「酒場に入ったら追い出されたので、バーテンと争っただけ」だと主張。「リアル・マッコイ」はジェイソンと親友のイーライが共同で経営しており、ジェイソンはバーテンダーも兼ねていた。
バーの周辺を調べたところ、泥酔した客に関する通報が最近急に増えていたことがわかる。バーの内装だけではなく、酒自体も禁酒法時代のような密造酒が使われていたのでは――と調べてみたところ、倉庫からはメタノールが混ぜられたウォッカが発見される。だが、それを発注したのはジェイソンではなく恋人でダンサーのコートニーで、経営難のため安い密造酒を仕入れたが、ジェイソンに知られて止めていたという。
一方、ジェイソンの傷口からはコットン、インディゴ染料、ホウ酸などが検出されていた。ホークスは、ジェイソンを殴った凶器がデニムの断熱材の中に保管されていたのではないかと思いつく。ジェイソンとイーライがバー開店前に、屋根裏に断熱材を敷く仕事をしていたことから、2人を中心に関係者を調べたところ、ネイサン・ブロディが再び浮上。2人はブロディの祖母の家に断熱材を敷いたことがあるのだ。ジェイソンを殴った凶器のスターターピストルがブロディの自宅から発見され、ブロディの犯行が裏付けられる。
ブロディは強盗で逮捕されて収監されたが、奪った1万ドルは発見されないままだった。ブロディはそれを祖母の家の屋根裏に隠し、仮釈放後に取りに行ったが金はなくなっていた。断熱材を敷いた者が盗んだ、と判断してジェイソンの店を突き止め、店では追い返されてしまった。そこで店の外で待ち伏せて争い、1万ドルきっかりを奪ったのだった。
事件は解決するが、そもそも最初に1万ドルを屋根裏から盗んだのは、ジェイソンではなくイーライの方だった。
メインの事件と並行して「アダムの休日」物語。美人の彼女と一緒に過ごすのかと思ったら、老人ホームにいる父親のお見舞い。これがアダムの話にたびたび出てくる「乱暴な父親」か……。フラック、リンジーに続いて「本筋と関係ない個人ストーリー」第3弾(ジェイミーのは一応、事件と関係あったから)。これ、終わるまで全員のぶんを順繰りにやるの? ま、いいか。
個人ストーリーに時間を使っているわりに事件描写が薄まったという印象はあまりない。考えてみれば、シーズン3~4くらいまでは2件の事件を並行して捜査するというパターンが普通にあったんだよね。これぐらいでちょうどいいか、という感じ。まぁ、大勢の関係者の相関図からネイサン・ブロディが浮上するプロセスは、もう少し説明があっても良いかなとは思ったけど。
事件は、怪しい人たちを一巡して、最初に出て来た人に戻って「やはりこいつか」で終わるパターン。で、よく見ると冒頭で客が追い出されていたけど、これが実はネイサンだったというわけね。それにしても、電話ボックスで暗証番号? をダイヤルして……という昔のスパイ映画みたいな入り方が必要なバーに、そもそもよく入れたなぁ。
原題でバーの名前でもある “The Real McCoy” は「純正品、本物」を表すイディオム。語源はたしか、何かの試合で同じマッコイという名前の2人の選手が対決したとか、そういう話じゃなかったっけ……と思って検索してみたが、同じ名前のファッションブランドのページばかり何ページもヒットしてしまって探し切れない!