Dexter - Season 1, Episode 11
エンジェルの手術は成功し、彼は一命を取り留める。デクスターはエンジェル事件の現場を調べるが、相変わらず誰かがチェーンソーで切り刻まれるという幻覚に悩まされている。そしてルディは、前回エンジェルが話しかけた義手のコールガールを自宅へ連れ込み、バラバラに切り刻んだうえに体の各部位をプレゼントのように美しくラッピングしてリボンをかける。
ルディの「プレゼント」は街に飾られたクリスマスツリーの下で発見される。現場の時計は1時3分、つまり「103」で止まっていた。遺体とともに置かれていたビデオテープを再生すると、そこには被害者の生前最後の姿が映っていた。彼女は逆さ吊りにされた状態で泣きながら、「アイストラック・キラーは私だ。警察は誤認逮捕している」という犯人のメッセージを読まされていた。
ビデオの背景などを仔細に分析した結果、被害者が監禁された場所は大きな特注の「冷凍室」であるとわかる。デボラはバイスでの潜入経験から、商業用の倉庫などではなく住宅地であろうと判断。ドークスの指示で電力消費の大きい家屋を絞り込む。
デクスターは繰り返し現れる幻覚の正体を知るために、ハリーが自分を引き取るきっかけになった事件のことを調べていた。だがその事件の記録は警察署には残っていないという。図書館で当時の新聞を調べると、1973年の10月3日(103!)に、埠頭のコンテナでチェーンソーを使った殺人事件が起きていることがわかる。被害者4名のうちの1人、ローラ・モーサーの写真は、デクスターの幻覚にくりかえし登場する母の姿であった。しかし、現場で発見された幼児に関する記載はなかった。
デクスターは、警察署の資料室に勤務するカミーラを問い詰める。カミーラは、ハリーに頼まれて事件の記録を廃棄したことを認めた。それは「デクスターを守るため」だったという。
一方、リタはポールが刑務所に戻って安心したところだったが、事態を理解していないコーディは「ママのせいでパパに会えなくなった」と不機嫌になる。父親の嘘を知ったばかりのデクスターは「本当のことを話した方が良い」とアドバイスし、リタは子どもたちを連れて刑務所へ行き「あなたが私に何をしたか、説明しなさい」と言い渡す。
アイストラック・キラーからのビデオが届いたことで、ネイル・ペリーの無実はいよいよ確実となり、マシューズは窮地に追い込まれるはずだった。だがマシューズはどう手を回したのか、責任をラグェルタに押し付けて降格させ、代わりにハイチ出身の女性警部補パスカルを着任させる。
エンジェルのシャツには、犯人の物と思しき血痕が付着していた。また頭部の傷から、彼が犯人に頭突きをしたこともわかる。デクスターはその日会ったルディが口に怪我をしていたことを思い出す。エンジェルはルディに会ったことを認めた。エンジェルのシャツについていた血痕は、DNA鑑定の結果ルディの物と判明。さらに被害者が以前に手を切断したことがあり、その方面の手がかりをエンジェルが追っていたというマスオカの話から、エンジェルを刺した加害者=ルディ=アイストラック・キラー、という図式が浮かび上がる――。
デクスターはあわててデボラを呼び出すが応答しない。デボラはルディに呼び出され、白バラで飾りつけたボートでロマンチックなプロポーズを受けて有頂天になった直後、正体を明かしたルディに襲われて意識を失っていたのだ。
なし(もうそれどころではない)。
シーズン終盤に向けて、ストーリーがどんどん加速してきたことが実感できる。
「103」の意味、新しい被害者、エンジェルの事件から導かれた証拠、もろもろの要素がどんどん組み合わさって形を取っていく。ジグソーパズルが完成間近になってくると、ピースを見ただけでどこにはまるかがすぐわかるように、芋づる式に謎が解けていく爽快感のあるエピソードだった。デクスターも人殺しなんかやっている場合じゃないのだ。
「103」はデクスターの母親が殺された日。幼いデクスターはその現場に居合わせて母の死を目の当たりにし、おそらくはそのために「感情を持たない」存在になってしまった。バラバラにされて殺された4人の男女、5センチもの血溜りの中に何日も放置されたという、幼い心が受け止めるにはあまりに悲惨すぎる出来事。
これを本人に秘密にしたからといって、誰がハリーを責められよう。良き警官であったハリー・モーガンの、おそらく唯一の不正、それがデクスターだったのだ。
ここでカミーラさんの意外な再登場。パイロットにちらっと登場した資料係のおばさんで、存在すら忘れていた。デクスターはおそらく、このカミーラさんに未解決事件のファイルを見せてもらって、獲物の「品定め」をしていたのだろう。それだけの存在かと思いきや、デクスター事件のカギを握る重要人物だったとは。
デボラの成長も素晴らしい。トゥチやカスティヨ事件の頃はまだ新米で、ドークスに怒られながら危なっかしく仕事をこなし、プロファイリングでもまずデクスターの所に持って来て意見を聞いたりしていたが、今回はビデオを見て「被害者が逆さ吊りにされている」と気づくし、アイストラック・キラーの自宅場所を絞り込むときにもバイスでの経験を活かして積極的に意見を述べている。ドークスとも良いコンビだし、もうすっかり「殺人課刑事」な感じ。
それだけに、ルディの船に乗ったときは「早く気づけ~銃を抜け~」とイラついたけど。
ラグェルタはすっかり仕事熱心な警部補になり、逆に最初の頃物わかりの良い上司だったマシューズ警部が、実はタヌキ親父と判明。ラグェルタが警部を陥れたつもりで嬉しそうにチョコバーを手に取るシーン、見ていたらスニッカーズ食べたくなってしまった。
— Yoko (yoko221b) 2007-11-07