Dexter - Season 2, Episode 3
BHB事件は連日ニュースで大きく取上げられているが、パスカル警部補は婚約者との間にトラブルを抱えており、うまく対応できていない。ランディ捜査官はBHB事件を捜査するタスクフォースのメンバーを発表する。殺人課からはエンジェル、デボラ他が選ばれ、鑑識リーダーにはマスオカが指名される。まずは被害者の身元を特定することが先決。警察署の外には特設の巨大なプレハブが建てられ、被害者の遺体はそこに安置された。腐敗を防ぐため強力な空調設備も完備されている。
タスクフォース入りしたデボラは、警察署に問い合わせに訪れた人たちの話を聞く。彼らは家族が行方不明になり、「あの被害者の中にいるのでは」とやって来たのだ。デボラは、話を聞くうちにアイストラック・キラーのことを思い出して辛くなり、「メンバーから外してほしい」とランディに申し出るが、ランディは「殺人犯の心理に触れた君の経験を生かせ」と慰留する。
その後、デボラは失踪者家族の話を聞くうちに、ふと「被害者は犯罪者ではないか」と思いつく。
事件の喧騒をよそに、デクスターは新たな獲物を物色し、中古車ディーラーのロジャー・ヒックスに目を付ける。ヒックスは女性客に車を勧めながら生活環境や恋人、飼い犬の有無などを巧みに聞き出し、一人暮らしの女性を狙ってレイプ殺人を繰り返していた。しかも、個人情報を取った後は、足がつかないように他の店を紹介するという徹底ぶり。デクスターは証拠を集めにヒックスの店へ向かうが、そこでミニバンを買う羽目に。
デクスターは、なりゆきで「依存症だ」とリタに告白してしまったため、NA(断薬会)に参加することになっていた。なんとか理由をつけて止めようとするが、ポールで苦労したリタはどうしても譲らない。仕方なくヘロイン依存症のふりをしてミーティングへ行き、そこでライラという謎めいた美女に出会う。ライラはデクスターの表面的な嘘を見抜き、デクスターの内心を見透かすようなことを言う。デクスターはライラに導かれるように「闇の声(Dark Passenger)」の存在を口にし、秘密を知られるのではないかと恐れる。
ドークスは相変わらずデクスターを疑い、大学の成績や財政状況などを調べ上げていた。デクスターはドークスの車のタイヤをパンクさせ、ヒックスを仕留めに出かける。拘束されたヒックスは、何とか助かろうと持ち前の弁舌でデクスターを話に引き込んでいく。デクスターはつられて恋人のことを口にするが、口調の変化を微妙に感じ取ったヒックスが「女にフラれた腹いせか? 女なんて皆同じビッチだ」と言うと、「彼女を侮辱するな!」と、持っていたナイフで一気に刺し殺す。
その後、NA会場に来たデクスターは、今度は本名で壇上に上る。もちろん殺人とは言えないが、心にひそむ「闇の声」について真情を吐露する。その後、ドークスが現れてデクスターは驚くが、ドークスはデクスターの秘密を「薬物依存症」だったのかと誤解して去って行く。デクスターはリタの家へ直行し「君が正しかった。NAはすばらしい!」と言い、仲直り。
仲直りした2人は車で一緒にNA会場へ来るが、そこでデクスターが「あれがスポンサーだ」とライラを指し示し、思わぬ美女の存在にリタはショックを受ける。
デクスターが今まで海底に葬ってきた被害者たちが引き上げられて白日の下に晒される。期を同じくして今まで仮面を着けて本性を隠し通してきたデクスターが「仮面が剥がれ落ちるように、他人とのつながりを求め始めている」ことを自覚する。
そういえばシーズン1でも同じ3話目で「殺人者はアウトサイダーでありながら、永遠に仲間を求め続ける」というデクスターのモノローグがあった。前シーズンでは、同じ殺人衝動を持った少年ジェレミーは自殺、兄のブライアンはデクスターが自ら手にかけて2人とも失っている。今もなお、デクスターは他者とのつながりを求め続けているのだろうか。
マイアミ中がBHBのことを話題にしているというこの時期にも、デクスターはやはり殺しを続ける。依存症だから殺さずにはいられないのだろうけど、最近は衝動というより義務感で殺しているような所がある。前回のリトル・チノでは「自分が殺しておけばエヴァは死なずにすんだのに」と責任を感じていたし、今回の車ディーラーも、次の被害者になりそうな女性が毒牙にかかる前に「早く殺さなければ」と思う。自分が殺すのは良くて他人が殺すのはダメなのか? と言いたいところだが、無実の人が殺されるのはやはり、ダメなんだろうな。
ディーラーの殺し方も、今までとは異なり、リタを侮辱されて思わず――みたいな、デクスターらしくない殺し方だった。これも、デクスターの「仮面が剥がれ落ちる」プロセスのひとつなのだろうか。
ラストのリタの大げさな表情、いいな~。何だかマンガっぽくて。
— Yoko (yoko221b) 2009-05-18