Dexter - Season 7, Episode 1
教会でトラヴィス・マーシャルを殺害した決定的瞬間をデボラに見られてしまったデクスター。とっさに「トラヴィスが襲ってきた。ラップで巻いて殺したのは、リタのことなどでモヤモヤしていて、思わずキレてしまったため」と言い逃れる。デクスターは署に連絡しようとするデボラを押しとどめ、自殺に見せかけるためガソリンをかけて火を放つ。
やがて火事は通報され、デクスターやマスオカが現場を検証。トラヴィスがガソリンをかぶって火を付け、剣で自分の胸を突き刺し「最後のタブロー」としたのだろうと結論付けられる。これで「審判の日」キラーの事件は解決となるが、ラグェルタは現場で血液のはさまったスライドガラスを発見する。
デクスターは帰宅し、実習生のルイスがパソコンを使っているのを見て叱責する。ルイスは腹いせにデクスターのクレジットカードを勝手に解約してしまう。
マイク・アンダーソン刑事はトラヴィスの車が現場にないことを不審に思いデボラに報告。その直後、車がパンクして困っている若者を見かける。手伝おうとしてトランクを開けると、そこには女性の死体。若者はアンダーソンを射殺し、彼の車で逃亡する。
デボラは、現場でデクスターが準備万端整えていたのはなぜかと問い質す。デクスターはあれこれと言い逃れをするが、デボラは納得していない様子。しかしアンダーソンが撃たれたという報せが入り、デボラは現場へ。デクスターはいざという時のための逃亡用キットを取り出して後を追う。
アンダーソン殺害現場。犯人が乗り捨てた車に入れられていた遺体は、ウクライナ出身のストリップダンサー、カジャ・ソロカと判明。車内の指紋はほぼすべて拭き取られていたが、デクスターは拭くのを忘れがちなウィンカーから指紋を採取する。
デボラはトラヴィスの最期の姿とともに、アイストラック・キラーに捕えられた記憶がフラッシュバック。デクスターの手口がそれとそっくりであることを思い出す。
カジャが働いていたのは「フォックスホール」というクラブ。クインは麻薬課時代に資金洗浄の容疑で何度か捜査していたが、証拠は出なかったという。デクスターはインターポールのデータベースを検索し、ウィンカーの指紋の主がヴィクター・バスコフであることを突き止める。
エンジェルとクインは「フォックスホール」で聞き込みを行う。カジャは出勤したが帰った記録がなく、血痕も見つかるが、誰も何も見ていないという。クラブマネージャのノヴィコフは、「ヴィクターは帰国した」とキエフへ連絡を入れる。
デクスターはヴィクターの自宅を調べ、ヴィクターがキエフへの逃亡を企てていることを知り、後を追ってマイアミ国際空港へ。まんまとヴィクターを生け捕りにし、遺失物保管所で殺害し、海へ投棄する。
帰宅すると、デボラが血のスライドや凶器類を見つけていた。「兄貴は連続殺人犯なの?」と聞かれ、デクスターは「そうだ」と答える――。
新シーズンの幕開け。といっても、話は前シーズンのフィナーレから続いている。
クリフハンガーで終わったのはシーズン4に続いて2度目かな。前回はトリニティ事件が終わり、そのエンディングとしてリタの話があった(そこから新しい話として発展しない)ので、前シーズンのフィナーレを繰り返し見ているように感じて、いささか冗長で退屈に思った。
制作している人もそう思ったのかどうか知らぬが、今回は違う。トラヴィスの話は終わり、「デボラに犯行を追及されるデクスター」の話が冒頭から始まる。さらに、並行してウクライナ系マフィアの話、ルイスの嫌がらせ、ラグェルタの疑惑。ラグェルタの動きはまだ誰にも知られていないが、1話目からデクスターの身にこれだけの困難が一度に降りかかってくるとは。しかもマフィアの一員を殺してしまったなんて、相手が悪すぎる。
殺されたマフィア、「ドールハウス」のヴィクター役の印象が強い人だが、今回の役名もヴィクターなので何だか変な感じ。しかし、搭乗手続きをしたはずなのに飛行機に乗っていないとか、遺失物保管所からあんな大きな荷物を持ち出してそのまま空港の外へ出てしまうとか、いったいどんなルートを使ったのだろう。アメリカの国際空港があんなにいい加減だとは、ちょっと思えないのだけど。
さて、デクスターにとって目下の問題は何といってもデボラに犯行を見られてしまったこと。トラヴィスが襲ってきたので正当防衛だったとか、思わずキレてラップ巻にしたとか言い逃れをしてみるものの、どう考えても説得力ゼロだろうこれは。デボラはアイストラック・キラーの件をフラッシュバックで思い出し、デクスターが殺人鬼である証拠を探し出してしまう。
デボラもデクスターとブライアンのことは知っているわけだから(S4で調べていた)、トラヴィスを刺した瞬間に実兄のことを思い出し、鑑識官の習性も手伝って思わず同じ方法を取ってしまった、と言い訳しても良かったと思うが、そんな余裕もなかったのだろう。
子ども時代の回想シーン――ハリーは犬を飼うことを許してくれなかった。デクスターが犬アレルギーだとごまかしていたが、本当は犬を殺すかもしれないから。ハリーは、殺人衝動のことをデボラにだけは絶対に知られてはいけないと厳しく言い渡すが、ハリーが本当に恐れていたのは、デクスターがデボラを殺すことではなかったのだろうか。今まで2人は自然に仲良し兄妹に見えていたので考えてもみなかったけど、ハリーがそれを考えなかったはずはないのだ。今さらながら、よくデクスターを引き取って育てる気になったものだと思う。シーズン1のあの話がなければ、デクスターは本当にハリーの子だったのかなと思うところだ。
本当にデクスターがデボラを殺す(あるいはその逆になる)という展開にだけはなりませんように――と、祈るような気持ちで見始めた今シーズン。この後23話でシリーズ完結になるのだと思うと名残惜しいような気もするが、しっかりじっくり鑑賞して、結末を見届けたいと思う。
— Yoko (yoko221b) 2015-03-10