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Law & Order - Season 1

#8 Poison Ivy


事件概要

People vs. Freddo Parisi (判事:Harvey Sirkin)

パトロール中の警官が、争っている若者たちを見つけて追跡し、フレド・パリシ巡査が「襲ってきた」と若者のひとりを射殺。その若者は手に銃を持っていたため、内部調査官は問題なしとの判断を下そうとするが、グリーヴィはフレドの発砲が2度目であることを不審に思う。

目撃証言から、現場にいた若者のひとりシルキーの存在が判明。死亡した若者はトミー・リチャードソンといい、名門プリンストン大学に通う優等生だった。事態は人種対立へと発展し、トミー殺害の真相を解明せよという黒人団体と、警官を守れという2つのデモ隊が裁判所の前でにらみ合う。フレドを疑うグリーヴィは、警官たちから「裏切り者」と罵られる。

状況から、フレドがトミーを射殺した後で手に拳銃を握らせ、シルキーを脅して黙らせたという疑いが濃くなり、フレドはトミー殺害で逮捕される。が、その一方でトミーの方にも靴下の中に3000ドルもの現金を隠し持っていたという不審な点があった。ロビネットはトミーの身辺を調査し、彼がコカインを売ってその利益を「篤志家から」と称して教会に寄付していたことを知る。トミーはウォール街のヤッピー達と付き合うようになったが、彼らがトミーと付き合う理由はコカインを得るためで、トミーは彼らの間で「タフな黒人青年」を演じていたのだった。事件当夜も、トミーは拳銃と麻薬を買うために現金を用意していた。ただし、彼が現金を身につけていたということは、まだ買っていなかった(銃を手にしているはずがない)ことを意味する。

シフは取引を命ずるがフレドは拒否し、公判が始まる。ストーンはグリーヴィとローガンに命じて囮捜査でシルキーを逮捕させる。シルキーは、フレドが無抵抗のトミーを射殺し、シルキーが持っていた銃を手に握らせ、彼が麻薬を持って逃げるのを見逃したと供述する。その供述内容を突きつけられ、フレドのパートナー、デイヴィス巡査は証言台に立ってシルキーの話を裏付ける。

フレドの有罪は確定と思われたが、評決を待つまでもなくフレドは自殺。ストーンを労いに事務所を訪れたグリーヴィは「神の前で人はみな等しく裁かれる」と言う。


感想

捜査を進めれば仲間たちから「裏切者」と罵られ、打ち切れば「人種差別」と罵られる。どちらに進んでも苦しいところ。フレドの行動を免責することはできないものの、トミーも100パーセント優等生というわけではなかった。こう書いてみるとけっこう重苦しいストーリーではあるのだが、捜査を主導するのがグリーヴィなせいか、正義感で突っ走るようなところがなく、描写はむしろ淡々としていたように思う。質問にラップで答える女の子や、思わず一緒にリズムを取ってしまう刑事2人とか、ユーモラスな場面もあった。

最後にグリーヴィがストーンのオフィスに現れて言葉を交わす場面、これがエピソード全体を引き締めているようで印象的だ。「事件」を中心にすえたドラマでも、こうやって「人間」を描くことが可能だということがよくわかる。人間的な面を描くこと=私生活を出すこと、とは限らないわけだ。

グリーヴィが「警官の9割は一度も銃を撃つことなく引退する」と言っていたが、これは実際の数値なのだろうか。このシリーズはかなりの部分が事実に基づいているので、この数字もそうかなと思う(内勤の警官や現場に出ない幹部も含めての数字かもしれないが)。

今回の元ネタは、1985年に起きたエドマンド・ペリー事件とのこと。これは、エドマンド・ペリー少年が囮捜査中のリー・ヴァン・ホーテンというココアみたいな名前の巡査に射殺された事件。この現実の事件の方ではココア巡査が正当防衛を認められて無罪になり、やはり人種対立に発展している。これも例によってドラマ化されている。

Yoko (yoko221b) 2007-01-29, 改訂 2008-03-23