Law & Order - Season 1
小学校で女児が頭に怪我をして倒れているところが見つかり、病院に運ばれる(後に死亡)。虐待が疑われたため、担任教師が警察に通報し、グリーヴィとローガンが捜査に着手する。以前から虐待の疑いが指摘されており、児童福祉局にも通報されていたが、体面を気にする校長は協力に消極的で、福祉局は通報の数が多すぎて手が回らない。
刑事は母親のカーラ・ローウェンスタインを訪ねるが、まったく事態を理解していない様子だった。父親ジェイコブはセラピストだが、クリニックでは薬物を使った怪しげなセッションを行っていた。隣人の目撃証言などから、家庭内暴力があったことがわかり、第2級謀殺、第1級暴行、未成年者虐待の罪で夫婦ともに起訴される。
カーラが娘のディディに暴力をふるったことが教師の証言で明らかになるが、カーラもまたジェイコブの虐待を受けていた。ジェイコブはカーラを殴り、彼女にコカインを与えてディディを殴るよう仕向け、さらにディディへの性的虐待も行っていた。カーラは検察と取引し、証言することで罪を第1級故殺に減じられた。
カーラは証言台に立ち、ジェイコブの暴力行為を証言する。ストーンは、カーラにディディを殴らせ死に至らしめながら、あれこれと言い逃れを続けるジェイコブを法廷で厳しく追求する。
このエピソードは、リサ・スタインバーグという少女が養父から虐待を受けて死亡した事件(1987年)を基にしているが、番組の終わりでは「実際のスタインバーグ事件では性的虐待はなかった」というテロップとアナウンスが流れた。現実と違う展開にする時はこうやって配慮するのかと思ったら、どうやらこういうアナウンスは異例のことらしい。今回は内容が内容だからかな……。
今回は事件の性質ゆえか、刑事も検事もかなり感情的。ローガン刑事には同じようにabusiveな母親がいたようだ。このシリーズは、レギュラーメンバーの私生活はほとんど見せないのが特徴だが、ローガンが警官だった父親を尊敬し母親を嫌っていたことは、この後も時々台詞の端々で言及される。またストーン検事のジェイコブへの追及ぶりは! 7話「執念の追及」を上回る迫力があった。カーラの証言を聞いた後、驚きと嫌悪感と怒りの表情でジェイコブを凝視し、間をおいて「質問は以上です」と言ったシーンが強い印象を残した。
子どもが虐待されたり殺されたりする話は、フィクションでも見ていて辛い。性犯罪の話も見ていて辛い。今回の話は見ていて辛くなる要素がどっかり詰め込まれた感じで、本当に嫌な話だったと思う。じゃ殺人は良いのかというと決してそういうわけではないのだが、虐待や性犯罪には「故意ではなく思わず」とか「正当防衛」などの事情が入る余地がないし、弱い立場の相手に対する力任せの卑劣な犯罪である点で余計に許せなく思うのだろう。ということは、性犯罪でもガチムチのマッチョなオヤジが被害者なら、見ていてあまり辛くならないかもしれない(別の意味で辛いかもしれないが)。
母親カーラを演じたMarcia Jean Kurtzの表情が怖い。しかもこの女優さん、6話(実際はパイロット)「消された運び屋」にもホールジー夫人の役で出演している。LAOシリーズくらいの長寿番組になると、シリーズ中に全く違う役で何度も出演することも珍しくないのだが、こんなに近いエピソードでもあったとは(撮影は2年くらい開いているのだが)。でも表情やしゃべり方が全然違うので、そう思って見なければ気がつかない。
この事件は、15シーズンに後日談があるとのこと――15シーズンともなると現在のメンバーはひとりも残っていないのだが、SVUに異動したクレイゲン警部が出演しているようだ。
— Yoko (yoko221b) 2007-03-10, 改訂 2008-03-23