Law & Order - Season 1
妊娠中絶を行っていた女性センターが爆破される。事前に警告電話があり、職員と患者は避難し、被害者はゼロと思われたが、女子トイレの中で若い女性の遺体が発見される。受付を通っていなかったため、誰も存在に気づかなかったのだ。学生証を持っていたがそれは偽造で、実はカトリック系の学校で教師をしているメアリー・ドノヴァンと判明。メアリーは敬虔なカトリックの家に育ち、中絶にももちろん反対だったという。サラことメアリーが爆弾を仕掛けたのではないかと疑われた。
グリーヴィとローガンは、近くでデモをしていた中絶反対組織に注目する。代表のローズ・シュウィマーはメアリーを知らないと言いつつ、メアリーを殉教者として称える。爆弾の包みから検出された指紋と、爆弾の材料にもなる肥料(熱帯植物用で、NYの気候では必要ない物)を持っていたことから、会員のセレステ・マクルーアが起訴される。
彼女たちの活動内容に対する評価や、そもそもの中絶の是非をめぐって刑事や検事たちの間でも意見が分かれるが、ストーンはあくまで追及する構え。
当初、セレステが爆弾を作りメアリーが仕掛けたと思われていたが、メアリー・ドノヴァンについての調べを進めると、彼女は殉教者ではなかったことがわかる。恋人の子を妊娠し、婚前交渉を隠すため中絶しに来て爆発に巻き込まれた被害者だったのだ。メアリーが爆破と無関係な犠牲者とわかった以上、セレステの罪状も放火や無謀危険行為ではすまず、殺人の可能性が生じてくる。セレステはシュウィマーの関与について証言することに同意して取引を受け入れる。
シュウィマーは強硬姿勢をとり取引を拒絶。セレステはシュウィマーが爆弾を持って女性センターに向かったこと、彼女がシュウィマーの指示で警告電話をかけたことを証言する。
シュウィマーは弁護人の助言を無視して自ら証言台に立ち、弁護人からの尋問に答えるが、「異議あり」を唱えたストーンに対して演説を始め、法廷は混乱に陥る。判事は被告人を退廷させようとするが、その時ストーンが質問を求め、「中絶が殺人だというなら、被害者の胎内にいた子を殺害したあなたの行動はどう正当化されるのか」と迫り、シュウィマーは絶句する。
評決は、共同謀議、放火、殺人すべてに対して有罪。
このエピソードはディック・ウルフが最も気に入っている話だが、内容が内容だけに、TVでは長らく再放送ができなかったらしい(DVD1巻のインタビューより)。TV.comによると2003年以降は再放送されているようだが。
混乱する法廷の中でストーン検事が被告人に迫った場面は、ここまでやるかと思ったくらいの迫力があった。だが同時に、ここまでやらないと悪を悪と主張できないのだろうか? と少々疑問にも思った。中絶の是非と爆破の是非がなぜ混同されてしまうのだろう。
彼らには信念がある、と理解を示す一幕もあるが、しかし信念が「ある」ということに限っていうなら、アルカイダやKKKだってそうではないのか。信念があることに理解を示すことができるのは、それが自分にとって理解(共感でないにしても)できる信念だからにすぎないのだと思う。そのような場合に自由を主張することは容易い。本当の意味で言論・思想の自由を尊重しているかは、自分にとって許し難い信念に対してそれが言えるか、ということにおいて試されるのだと思う(そりゃちょっと自信ないなぁ)。
今回のシュウィマーさん、イッちゃった感じの表情が怖かったが、出演作リストを見ると、シーズン7の“Corruption”にも、とある刑事さんの元カノ役で出演しているのだった。このエピソードは「デンジャラス・ウーマン」というDVDの後半に収録されているので見たことはあるのだが、ぜんぜん気がつかなかった~。
— Yoko (yoko221b) 2007-03-10, 改訂 2008-04-09