Law & Order - Season 2, Episode 17
マギー・コーソンという少女がダイナーで発砲事件を起こす。マギーは「ヘイヴン・ハウス」というカトリック系の薬物リハビリセンターで生活していたが、そこで修道女のシスター・ベッティーナにわいせつ行為をされて出て来たと主張する。シスターはまったく身に覚えがないと反論するが、マギーと同室の少女マリアは、シャワー中の2人の行為を目撃したと明言する。
オリヴェット医師は、マギーの態度は演技ではないと判断。シスターはポリグラフを受けて「隠し事をしている」と判断されるが、それはマギーが飲酒したことを隠そうとしたことだった。マギーはすでに2回、飲酒を見つかっており、3度目になるともうハウスにはいられないことになっていた。
改めてマギーに話を聞くと、実は何も覚えていなかったことがわかる。彼女はシャワー中に気を失い、目が覚めてからマリアに聞いた話を事実と思い込んでいたのだ。マリアはセンター長のパウエルから性的関係を持ち、シスター・ベッティーナにそれを知られたと思い、彼女を追い出すためにウソをついたのだった。
マギーの話から、以前にもパウエルと関係を持っていた少女がいることがわかる。パウエルは決して力ずくで迫ることはしなかったが、ハウスから追い出すことを匂わせて従わせていたのだった。だがその少女はすでに別の男性と結婚しており、証言を拒否。ストーンは、マリアの証言を頼りにパウエルを第1級強姦罪で起訴する。だが、条文において強姦行為は「物理的な暴力」を用いることに限定されている。またマリアは17歳ですでに成人と見なされる年齢。パウエルの弁護士は棄却を申し立てるが、判事は「その決定は判決後に考える」と言い公判が開かれる。
ストーンは、ハウスを追い出されてストリートに戻った少女たちが、その後ほとんど悲惨な死を遂げたことを並べ立て、その恐怖につけこむことは暴力に等しいと主張する。評決は有罪、判事もその決定を支持した。
ダイナーで発砲沙汰。でも誰も死んでいないし、撃った状況もわかっているので、これで終わるわけないよな~と思っていたら、途中から鬱な内容に……。パウエルの卑劣さも腹立たしく思うが、それ以上にストリートに生きる少女たちの悲惨な末路に胸が痛くなる。今回、元ネタになった事件(Ripped from the Headline)は特にないようだけど、ストーン検事が例に挙げたような事例は、現実にあったことなのだろうと思う。
今回のポイントは、パウエルの行為が sexual abuse でも民事裁判でもなく、強姦罪(rape in 1st degree)で起訴されたことだろうか。ストーン検事のこの判断に、ロビネットもシフも懐疑的。判事も、ストーンの主張は拡大解釈ではないかと言っている。たしかに、刑法の本で罪刑法定主義についての記述を読み返してみると、この件は疑問に思わないでもない。だがその一方で、パウエルが罪に問われないならマリアはどうなる? という疑問も残るし、判事が「自分で決めるのがイヤで陪審に判断させたのでは」と言われるのもわかる気がする。
事実審は有罪だったが、控訴審ではどうなるかわからない。覆されたとしても、この裁判が立法に反映されるかもしれない――というストーンの台詞がエピソードを締めくくる。控訴審でパウエルが無罪となる可能性は低くないような気もするが、それまでにマリアがきちんと立ち直って自立し、ハウスでも規律が守られるようになっていることを祈りたい。
— Yoko (yoko221b) 2007-11-18