Law & Order - Season 3, Episode 15
We both know what it's like to have one law for black and another for white. It was no good for 50 years ago, it's no good now.
アパートの一室で、アフリカ系の若い女性が射殺されていた。被害者はドーン・ブライアンといい、高校時代は優等生で将来を嘱望されていたが、最近では麻薬におぼれ、家族や友人たちから金をせびり取るようになっていたという。ドーンの恋人はストリート名「スケート」、本名をジョナス・スタークといった。ブリスコーとローガンは情報屋からスタークの居場所を聞き出して連行。
スタークは1年前に酒屋に強盗に入って逮捕されていた。その時に使用された銃弾が、ドーンを殺害した銃弾と一致。だがこの事件には身元不明の女性の共犯者がいることがわかっていた。それがドーンなら、彼女は自分自身の銃で殺害されたことになる。隣人はスタークを目撃したことを認めたが、犯行当日のことではなかった。
その後、犯行があったアパートの配水管から45口径の拳銃が発見される。クリップからスタークの指紋が検出され、スタークは逮捕される。だがスタークは無罪を主張。強盗事件であっさり罪を認めたスタークが、不利を承知で無罪を主張することを、検事らは不審に思う。
改めてドーンの身辺を調べると、ドーンが殺される直前、自分の祖母に銃を突きつけて金を出させていたことがわかる。さらに、ドーンの父フレッドはメンテナンス業を営んでおり、配水管の中に拳銃を仕込むことも容易にできたはず。父親が娘を殺したという可能性が浮上する。
だが、ドーンを撃ったのは父親ではなく母親の方だった。ドーンは麻薬のために家族の財産を何もかも奪おうとしていた。ドーンは母親に銃を渡し「この地獄から救ってほしい」と懇願したという。
シフもストーンも、この事件で母親を起訴するのは無理だと考えるが、ひとりロビネットは起訴すべきと主張する――母親を刑務所に入れたいとは自分も思わないが、しかしドーンが死んだことに誰も責任を問われないというのは一種の人種差別ではないのか。黒人の親には子を殺す特権があるというのか。さらに、ブライアンは証拠をでっち上げて無実の男に罪を着せようとした、これは決して軽視できることではない。
ロビネットの説得でストーンは大陪審に事件を送付する。しかし、ヴァージニア・ブライアンに下された決定は、第1級故殺罪ではなく第4級武器不法所持という軽犯罪だった。
シーズン1の「Out of the Half-Light(終わらない憎しみ)」を思い出させるエピソード。ただ、今回のエピソードで罪を着せられたのはドーンの恋人である黒人青年。彼は、ドーンの境遇に多少なりとも責任がある――少なくともブライアン夫妻はそう思った、だから彼に罪を着せようと思ったのだろう。夫妻にとってスタークは、娘を堕落させていったすべての人と物の代表で、だからこそ彼らは「償わせなければならない」という強引な結論に達したのではないだろうか。
シーズン1での「君は黒人である以前に法律家なのか、それともその逆なのか」という問いかけを改めて思い出す。ロビネットは一見、検事としての立場を優先させたようにも見えるが、もし彼が白人であれば、ここまで主張しただろうか? 職業的な立場と人種属性は、かならずしも二者択一ではないように思う。
— Yoko (yoko221b) 2008-08-07