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Law & Order - Season 4, Episode 20

#86 Nurture


事件概要

People v. Arnette Fenady (判事:Randall Welch)

10歳の少女ウェンディが里親のもとから姿を消す。里親はウェンディを召使のようにこき使い、いなくなっても気にする様子を見せない。里親の恋人は暴力を振るっているという疑いがあったため、ウェンディに近づくことを禁じられていた。実母はアルコール依存の問題を抱え、ウェンディにはもう数週間会っていないという。

学校のロッカーに残されたノートから、ウェンディが臨時教師のアーネット・フェナディと親しかったことがわかる。ウェンディには文才があり、フェナディは学校の特別クラスや自宅のワークショップに招いて指導していた。フェナディには誘拐での逮捕歴が一度あったが、その時は生徒の一人を自分の子だと思い込んで連れ出そうとしていたという。

フェナディは現在は学校で教えておらず、前学期以降ウェンディには会っていないという。だがその供述と矛盾する証拠が見つかり、ブリスコーとローガンはフェナディの行動を監視し、自宅の捜索令状を取る。とはいえ根拠が薄弱なため、刑事たちはただ「見て回る」ことしかできず、成果は上がらなかった。

刑事たちは、フェナディが自宅に子ども用のプレイルームを作り、何度か建材を運び込んでいることに注目し、再度自宅の地下室を調べる。ローガンが納戸の床に隠し扉を発見し、地下の隠し部屋にいたウェンディを保護する。フェナディは第2級誘拐罪、第1級親権侵害(custodial interference)、第1級の児童を危険にさらした罪で起訴される。

弁護士は、フェナディはウェンディを劣悪な環境から救い出したのだと無罪を主張する。ウェンディとフェナディに面接したオリヴェットは、フェナディが自分の子を亡くした苦しみに耐え切れず、同い年のウェンディを自分の娘だと思い込んでいるのだと気づく。フェナディが4年前に誘拐しかけた少女もそうだった。ストーンは、フェナディの精神状態は刑事責任を問えるものではないと判断するが、弁護士は「フェナディが病院に収容されれば、ウェンディはまた別の里親に虐待されるだけ」と反論。判事もフェナディは精神的に刑事責任を問える状態だと判断し、取引も決裂したため公判が開かれる。

ウェンディは当初、フェナディが自分を車に乗せ、上から毛布をかぶせて隠して自宅へ連れ帰ったと言っていたが、いざ証言台に立つとそれまでの供述を翻し「自分から地下鉄に乗ってフェナディさんの家に行きました」と証言する。

ストーンは「アーネット・フェナディに福祉の判断を委ねて良いとするなら、その判断によってあなた方のお子さんが奪われた場合、誰に対して申し開きをすれば良いのか?」と弁論するが、評決は全ての罪状で無罪。フェナディはウェンディの養育権を申請する。


感想

我が子を愛するが故の誘拐事件。もちろんウェンディはフェナディの子ではないが、フェナディにとっては自分の娘を取り戻したことと同じなのだろう。法的に養育権を持っているのは里親だが、彼女は里子に対する手当が目的で、愛情などカケラもなさそう。どう見たってフェナディの方が愛情深くウェンディにも慕われており、里親の方が子どもを危険にさらしているのだから、ウェンディの証言によって誘拐の主張が崩れた以上、陪審員が有罪の評決を下す可能性はなかっただろう。

フェナディはウェンディの養育権を申請するが、彼女はいったいどこまで「正常」なのか――ウェンディが自分の娘クリスタルでないことを、どこまで理解しているのか、何だかよくわからなくなってくる。ウェンディはバースデーケーキの名前で、本当に愛されているのは自分ではないと気づいただろうか。その上で、あの里親よりフェナディの方を選んだ、ということなのだろう。

今回の弁護士も、被告人の利益より児童福祉に熱心で、事件を政治利用しているようだ。キンケイドの台詞にもあったが「被告人は刑事責任を問える状態ではなかった」って、普通は弁護側から出る主張なのに。

フェナディ役のリサ・アイクホーンは前シーズン「Point of View(揺らいだ中立性)」にも出演。そこでも今回同様、オリヴェットの診断を受けていた。何というか、薄幸の女性という役の合う人だ。


単語帳

Yoko (yoko221b) 2009-02-24