Table of Contents

Law & Order - Season 6, Episode 18

#129 Atonement


事件概要

People v. John Stivers

ひったくりが警官に逮捕され、所持品の中から血痕の付着した財布が発見される。持ち主シャロン・ラスコーは3日前から行方不明。ひったくりが財布を見つけたと主張する場所を調べると、その近くで血まみれのジャケットが発見される。胸には「シャロン」という名前が刺繍されていた。

行方不明になる前、シャロンはパーティに出ており、バスケ選手のソームズと一緒に帰ったという。だがソームズは、一緒にリムジンに乗っただけで、自宅の前で別れたと主張。運転手もその話を裏付ける。運転手はその後、シャロンを撮影場所の航空博物館まで送っていた。写真家はリック・カステラーといい、撮影時の態度が暴力的だとしてモデルから訴えられたことがあった。

その後、シャロンの遺体がゴミ捨て場で発見される。撮影後にカステラーとシャロンが一緒に過ごしていたこともわかるが、カステラーは殺害には関わっていないと主張。シャロンは殺害される前に性交渉を持っていたが、抵抗した形跡から、その相手と殺害犯人は別人であるとわかる。また、シャロンの血液からはコカインが検出される。

ソームズは「コカインを渡していたのはリムジン運転手のジョニーだ」と言うが、ジョニーはそれを否定。博物館の後は空港への送迎に行ったと主張する。だが調べてみると、その時間にシャロンからジョニーに電話があったことがわかる。電話はジョニーの携帯電話に転送され、内容は不明。ジョニーがシャロンを乗せたという記録はなかった。車を調べてみると、座席の下からガラスの破片と血の跡が発見され、ジョニーは逮捕される。ジョニーの自宅には、シャロンのポートレートで埋め尽くされた場所があった。

ジョニーは謀殺で起訴されるが、弁護人は「恋人の裏切りに憤っての犯行」として故殺罪での軽い刑を要求。ジョニーは、自分とシャロンは愛し合っていたのだと主張する。だが周囲に聞き込んだ結果、シャロンはコカイン目当てにジョニーを利用していただけらしいとわかる。

公判が始まり、ブリスコーはジョニーがシャロンの恋人らしく見えなかったことや、自宅の写真がカレンダーやグラビアばかりで、プライベートなものがなかったことなどを証言する。ソームズは、シャロンがジョニーの気持ちを知りつつ利用して、陰で笑っていたことを証言する。

ジョニーは自ら証言し、シャロンはソームズらと遊びまわるのを止めて自分を愛するようになっていた。だがその日、彼女はコカインを要求し、写真家のカステラーと寝たことを告白して彼を嘲笑した。そしてジョニーはシャロンの心変わりを許せず、思わず彼女を殴ってしまったと言う。

マッコイはジョニーがシャロンのためにコカインを調達したという部分に注目する。その日、ジョニーは空港への送迎があり、時間がないはずだった。空港の仕事は嘘で、最初からアリバイを作るつもりだったのではないか。そうであれば、準備をしたうえでの計画殺人だったことになる。

キンケイドはリムジン会社に調べに行き、スタイバースが架空の送迎依頼を捏造して脱税に加担していたことを知る。その相手はシャロンが死ぬ前に参加していたパーティが開かれたナイトクラブを経営するスキャネルだった。

スキャネルはコロンビアの麻薬組織とつながりのあるディーラーで、組織犯罪課の捜査対象だった。シャロンが殺害された当日も、スキャネルはジョニーを雇ったことになっていた。改めてシャロンの周辺を調べたところ、シャロンはパーティーの当日初めてスキャネルに会い、それまでのつながりはなかったことがわかる。だがシャロンはスキャネルの前で、ジョニーから大量のコカインを見せられた話をしたという。

マッコイは「証人を殺害した」かどで第1級殺人に罪状を変えると言ってジョニーを脅す。スキャネルはジョニーをコカインの仕事に雇い、彼がシャロンにコカインを見せて自慢したため口封じに殺させたのだった。


感想

リムジンの運転手役でマイケル・インペリオリが登場。後のシーズンでは、グリーン刑事のピンチヒッターとして短期間だけキャスト入りするが、刑事になる前はこんなことをしていたんだね。

事件はストーカーの妄想が高じての犯行かと思われたが、最後の最後で隠された真相が明らかになった。このパターンも定着してきた感があるかなぁ。今回はどうやらコカイン密売組織がからんでいたらしい。単なるストーカーと思われていたジョニーが実は麻薬売買の末端で働いており、それをシャロンに自慢したことが殺人につながっていった。ジョニーはリムジン運転手で、モデルや他のVIPからはハナも引っかけられない存在だったが、コカインをさばいていると言ったら途端に相手の態度が変わったのだろう。それで「自分に力がある」という変な優越感を感じ、シャロンにも同じように自慢したのだろうと思う。

しかし軽率なシャロンがそのことを、クラブ経営者に話してしまう。実はこの経営者こそが、ジョニーを雇っている組織の元締だったので大変なことになる。この女は生かしておけん、ということでジョニーに暗殺指令が下った――というのが、どうやら真相だったようだ。

弁護側は一時的な激情による犯行だとして故殺罪を主張するが、マッコイは「シャロンは犯罪の証人であるから第1級謀殺だ」という脅しで反撃。第1級謀殺だと死刑の求刑も可能になる。今シーズンに入ってNY州の法制度が変わり、マッコイの脅しネタもだんだん過激になってきたよ。

ところでこの話の元ネタは1993年にLAで起きた Linda Sobek 事件だそうだが、この事件を担当した捜査官が、後に「CSI:科学捜査班」の脚本家・プロデューサーとなるエリザベス・デヴァインだった。デヴァイン自身も CSI で Sobek 事件を元にしたエピソードを書いている(シーズン4「殺さずにいられない」)。ちなみに「CSI:マイアミ」にも似たような事件があるが、これはこれで別の類似事件が元ネタ。

Yoko (yoko221b) 2012-04-25