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Law & Order - Season 7, Episode 14

#148 Working Mom


事件概要

People v. Hillary Colson (判事:Henry Fillmore)

車を盗もうとした若者が、車内で男性の遺体を発見。被害者は元警官のギルバート・キーンで、自分が持っていた銃で射殺されたと思われた。発見現場は売春婦の溜まり場になっており、新顔のアイリスという売春婦がキーンの財布を持っていたが、彼女は殺害を否定し「見つけた時もう死んでいた」と主張する。アイリスから発射残渣は検出されず、また現場に残っていた口紅も一致しなかった。

キーンは警察を辞めてからゴルフクラブを製造する会社で働いており、時折元同僚に調べ物を頼んでいた。殺される前の週にも「トパーズ・エンタープライズ」という会社についての調査依頼があったという。調べてみると、キーンは勤務先のクレジットカードを使ってトパーズ社に支払いをしていた。

トパーズ・エンタープライズ社を訪ねてみると、そこはヒラリーとソンドラという2人の女性が経営するインテリアデザイン事務所で、キーンとは仕事で会ったことがあるという。「新しい家を探している」という口実でパンフレットを受け取り指紋を調べたところ、キーンの車にあった指紋がヒラリーと一致。他の顧客から事情を聞いた結果、インテリアデザインは表向きで、彼女たちは売春をしていたということがわかる。刑事たちは2人を売春容疑で逮捕。

指紋や口紅などの証拠から、ヒラリーが殺したものと思われたが、ソンドラは取引に応じず売春容疑を認め、ヒラリーのアリバイを裏付ける。

さらに聞き込みを続けると、キーンの上司であるバーナムがヒラリーと会っていたことがわかる。バーナムはヒラリーにすっかり惚れ込んで理想の女性を見つけたと思ったが、「もう会わない」と言われてキーンに探してほしいと頼んでいたのだ。

数々の証拠を突きつけられたヒラリーは犯行を認めるが、正当防衛を主張。彼女の正体を知ったキーンから「バーナムの彼女になるか、それがイヤなら自分にサービスしろ」と言い、銃で脅されて性行為を強制されたので抵抗して殺してしまったのだという。弁護側は事件の棄却を求め、交渉決裂。

公判が始まり、証人たちは、ヒラリーたちが客に脅されたり暴力を振るわれたりすることや、キーンが女性社員の横領をねたに脅していたことなどを証言する。キーンは警官時代にも売春婦に「サービス」を要求し、拒否されると逮捕するなどの苦情を申し立てられたことが何度もあった。

弁護側は「売春は犯罪だが、被告人に問われているのは殺人である。被告人はレイプから身を守っただけであり、売春婦であれ誰であれ自分を守る権利はある」と主張。マッコイはそれに対抗し「被告人が殺したのはレイプ犯ではなく恐喝犯である。被告人は売春婦だから有罪なのではなく、嘘をついた(罪を隠蔽した)から有罪なのだ」と弁論する。ヒラリーは有罪の評決を受ける。


感想

このエピソードは、リメイクしたUK版の方を先に見たのでストーリー展開がどうなるかは最初からわかっていた。UKの方ではストーン、じゃなかったスティール検事の口角泡を飛ばすような弁論が印象に残ったが、本家ではどうだったんだろう……と思ったら、割と普通。マッコイ検事にしてはむしろ大人しい部類ではないかな? 久しぶりに最終弁論が聞けたのは良かった。

UKもUSも大筋は同じ。ただし、UK版が「物証から攻める」話だったのに対して、こちらは「状況から攻める」感じかな。明らかな物証がないので、殺意をどう証明するか。

弁護人は、シーズン3で登場した校長先生みたいな怖そうなおばさん弁護士。いい味出してると思うのだが、ご出演は今回で終わりのようで、残念。演じている Elaine Stritch さんは1925年生まれで、現在も “30 Rock” などでご活躍中。素晴らしい~。

被害者の元警官もいろいろ横暴なことをやっていたらしいので、弁護側の正当防衛という主張にもそれなりに根拠はあるのだろう。校長先生(違)は「売春婦であれ誰であれ自分を守る権利はある」と主張するが、この方が言うと迫力も説得力も増す。「権利章典はこの国のジューン・クリーヴァーのためだけにあるのではない」という台詞に出てくるジューン・クリーヴァーは1957~63年に放送されたTVコメディ “Leave it to Beaver” のママ役の名前とのこと。良妻賢母の代名詞ということなのだろうと想像しているが、放送年代からさりげなく先生の世代を感じさせているようにも思える。

それに対しマッコイは「被害者はレイプ犯ではなく恐喝犯である」と反論し、被告人が嘘をついてアリバイ工作をしたことなどを指摘する。これはこれで、弁護側に対する真っ当な反論だと思う。証人尋問では珍しくジェイミーが質問をしていた。

そして評決は有罪。しかしマッコイの主張が受け入れられたのか、それとも「被告人が売春婦だから有罪にされたのか?」という点でやや疑問の残る結末になった。陪審員の評議の様子はわからないし、そこは想像するしかないが、被告人の職業が影響した可能性はあると思う。しかも、見るからに商売女といった風ではなく、見かけは郊外の上品な奥様。それが実は……という点もマイナス要因だったかもしれない。その点、UK版はわかりやすい物証があるのでそれほどモヤモヤしないが、この「モヤモヤ」こそがこのエピソードのキモだったのだろう。

Yoko (yoko221b) 2012-07-08