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Law & Order: UK - Season 1, Episode 6

#6 Paradise


事件概要

Crown v. Ediz Kilic

トルコ人のクラブで火災が発生し、17名の死者と多数の負傷者を出す。現場の証拠品から、古い車のウォッシャータンクとガソリンを使った放火と思われた。病院に運ばれた負傷者の中に、その放火装置に合致する火傷を負った男がいたことがわかる。男の傷口から破片を取り出し、現場にあった発火装置と照合すれば犯行が裏付けられる。

その男、ナジーム・カサバは脚の傷から証拠品を取り出すことを拒否。裁判所もナジームの意思に反して取り出すという申し立てを却下するが、そうこうするうちにナジームが敗血症で病院に運ばれ、結局証拠品は回収される。

破片は一致し、ナジームは殺人罪で逮捕されるが「殺意はなかった、ある人物の指示でやったことだ」と主張する。借金を帳消しにするために引き受けたことで、単なる警告のはずだったが、扉に南京錠が掛けられていたために大惨事になってしまった。南京錠のことは知らなかったという。

その人物とは、在英トルコ人2世で有力者のエディス・クルチ。不法入国者に大金を払わせて書類を準備していたが、今回は書類を揃えることができず、通報すると脅されていたらしい。

ブルックスとデヴリンはスポーツ用品店の奥にあるクルチの秘密オフィスを捜索し、不法入国手引きの証拠を発見する。偽造ビザの書類には、スティールの旧友であるファルク・オスマンのサインがあった。スティールから事情を問い質され、オスマンは怒る。

クルチの通話記録を調べてみると、元放火犯のウォールに電話していることがわかる。ウォールから放火の手口を伝授されたことがわかり、クルチは逮捕される。

ファルクはその後独自に調査を行い、パスポートの発行に使う証印が3年前に盗まれていたことを調べ出す。盗んだ職員の身元保証人になったのがクルチだった。クルチはその職員から古い車を買い取り、その部品を使って放火装置を作っていた。書類を作れなかったのは、盗んだ証印の期限が切れたためだったのだ。

クルチは火災で死亡した17名それぞれの殺人に関して有罪の評決を受ける。


感想

本家の元エピは、シーズン2の「虚構の楽園」。本家では中南米出身のヒスパニックだったのが、こちらはトルコ人コミュニティ。タイトルの由来がクラブの名前(「天国」を意味する言葉)である所は同じ。

構成は例によって、本家と同じ展開をなぞりつつ、詳細を一部カットしてエモーショナルな場面を要所要所に入れていくというもの。今回は被害者の母親との会話や、スティール検事のプライベート事情、お友達とのやり取りなどが付け加えられていた。

うーむ、しかし全体として今回はイマイチだったかな。ひとつひとつの場面は良かったと思うのだ。ロウソクを灯すラストシーンなんか特に。でも全体として見ると、何かちぐはぐな感じがして仕方ないというか。「こういう場面を描きたかったんだろうな~」という脚本家の気持ちが先行してしまい、個々の人物描写が「それに合わせて作られた」ように感じてしまったのだ。

スティール検事とお友達のやり取りも「君はいつも仕事優先で、友人も結婚も二の次なんだな!」と言わせたいだけじゃないのかと。捜査段階で名前が出てきたら、いくら親しい間柄でも検事としては調べないわけにいかない。いや、親しければなおさら手を抜いてはいけないはずなのだ。それはファルクだってよくわかっているはず。

まぁ、そんなこんなで今回は本家の淡々とした描写の方に軍配を上げたい。というか、UKのラインナップを眺めていて思ったのだが、クリス・チブナルの脚本が私の感性に合わないのかもしれない。同じくチブナルが脚本を書いた「時空刑事」は面白かったのに、なぜだ。

Yoko (yoko221b) 2010-07-28, 2015-07-13 改訂