And if we do it right, that's enough.
罪状認否法廷で、ニール・アヴァドンは無罪答弁を行う。判事は保釈を認めるが保釈金は何と1000万ドル。ホフマンはただちに減額を申し立てる。
事務所に戻ったホフマンはシドニー・シュナイダーと面会。シドニーはホフマンの旧友の息子で、事務所で3ヶ月の実習(インターンシップ)を行うことになっていた。
ホフマンは補佐(セカンド・チェア)役をリサからクリスに変更する。ニールの隣に若い女性の弁護士が座ることを、女性の陪審員は快く思わないだろうという判断からだった。セカンドを降りたリサはアーノルドとともに、横領罪で起訴されているガルブレイスの公判に出席。
ホフマンはクリスとともにミリアム・グラッソ検事と面談し、取引を持ちかけられるが拒否。クリスは「検事は自信がないので取引を望んでいる」と思うが、ホフマンはそうではないと言う。「グラッソのボス、ガーフィールド地方検事には政治的野心があるが、ミリアムは仕事一筋。本気で第1級謀殺罪を狙う気だ」
リチャード・クロスとジュリーが事務所に現れる。ジュリーはジェシカの日記を見つけたという。ジェシカの日記には、セックスとドラッグのことが事細かに記述されていた。クロスは、ジェシカがその事実をネタに恐喝を計画したのではないかと言う。クロスはニールに面会して彼の無実を確信し、保釈金を用意していた。
ニールは無事に保釈され、レスター医師に会いたいと言うが、レスターとクロスの関与に疑問を持っているホフマンはそれに懐疑的。ニールに懇願され、ホフマンはレスター医師の施設へニールを送り届けるが、その後ジェシカの日記のことがニールに知れ、日記に登場するプロデューサーの家でニールが一騒ぎを演じたらしいとわかる。情報はクロスからレスターへ、そこからニールに流れたのか。ニールが再び逮捕されることが目的かとホフマンは疑う。
ホフマンは、クリス、ジャスティーンとともに、ジェシカの日記をどう処理すべきか話し合う。ジェシカの「相手」がこれだけ大勢いるということが、ニール犯人説への「合理的な疑い」になる可能性があるが、ホフマンはまだ確信がない。日記に登場する人物のうち、リチャード・クロスとグレアム・レスターだけがジェシカと性交渉を持っていないことが気にかかっているのだった。
リサとアーノルドが担当するガルブレイス事件は、ディーラーのガルブレイスがギャンブル依存症になり、高齢者からの投資をギャンブルにつぎ込んだという事件だった。検察は実刑を要求するが、弁護側は被害者への弁償と自宅軟禁(house arrest)という条件付きでの執行猶予を要求し、判事もこれに同意する。実刑にならずに済んだと喜ぶガルブレイスと2人の弁護人の前に、被害者の1人が銃を持って現れ「恥を知れ」と罵る。
ホフマンの事務所にメリッサ・グリオテと名乗る女性が現れ、ニールが彼女の首を絞めているビデオを見せる。酸欠により快感を高めるためらしい。メリッサはそのビデオと引き換えに10万ドルを要求。
ガルブレイスの件で、自分たちのしたことは正しかったのかとアーノルドは悩む。ホフマンは「後悔に溺れてはいけない。弁護士の仕事は常に道徳的に清廉であるとは限らない。私は司法システムの中で弁護人としての役割を果たす。迷いが生じた時は、弁護士を雇う力のない被告人を見つけ、無償で弁護すると良い」と忠告する。
ジェシカの日記が発見され、思ったよりも大勢の「大物」が関わっているらしいことが明らかになる。その「日記」は本当に本物なのか。また、メリッサの背後には誰かがいるのかいないのか。どんどん複雑さを増していくような気がする。このシリーズは、一部では高い評価を得たものの、視聴率は結局ふるわなかったらしい。確かに、これを週一で見せられると、途中で飽きるかも――「24」の制作時に、このシリーズの教訓が生かされたというのも、何となくわかる気がする。でもその反面、DVDでまとめ見すると面白いんだけどな。今の時代ならもっと高い評価を得られたのではないかと思うと残念だ。
リサとアーノルドの事件で、ホフマンが例によって説教をかます。ホフマンの口から「刑事弁護士とは」のような台詞が繰り返し語られるのは、視聴者の共感を得るためではないかと、このエピを見て思った。法廷もので弁護士が主人公と言うと、権力を振りかざす検察官の横暴と戦う正義の味方、的な図式がありがちだが、このシリーズでは、かならずしもそうではなさそうだ。弁護する相手は、いかにも悪いことをしていそうなハリウッドの大物だったり、酔っ払ってホテルの白鳥を絞め殺すような奴だったり。ジェシカ事件も、ホフマンはニールの無罪を主張しているが、そうではないかもしれない。この事件はまだまだ真相が見えない段階。ホフマンは、実はクロをシロと言いくるめようとしているのではないか?
……そうした段階で、主人公であるテッド・ホフマンに共感するためには、やはり彼が刑事弁護士として揺るぎない信念を持っていることを示す必要があるのだろう。共同経営者を置かず、若いアソシエイトたちを指導する師匠の役割を担わせていることも、倫理/信念の中心としてのホフマンの存在を際立たせる効果があるように思う。
今回脚本のAnn Donahueは、現在CSIシリーズのプロデューサー。
— Yoko (yoko221b) 2008-04-21