Spiral (Engrenages)
拘置所で襲われたブノワは一命を取り留めるが、昏睡状態で回復の見込みはわからない。
クレマンは、ブノワから聞いた話をロールに語る。ブノワはソフィアを姪のように可愛がり、美術館へ連れて行ったりしていた。ある日、モロー美術館で彼らはラボルトに出会う。ラボルトは美術館に行き、教養のある会話で少女たちを何人も口説いていた。ソフィアはまんまとラボルトの誘いに応じ、自宅で変態的な行為を強要された後、浴室で手首を切って自殺。ラボルトはミシェルとブノワを呼び、遺体を処理させる。ブノワを巻き込んだのは共犯関係にするためだった。
クレマンはロバン判事にそのことを話すが、ブノワから話を聞いたときは2人きりで、正式な取調べでもなかった。ロバンは「フェイの回復を待つしかない」と判断。ラボルトの家宅捜索をすれば証拠は見つかるはずだが、捜索を許可する根拠が不十分で「判事として認めるわけにはいかない」という。
残る手がかりはミシェル。アンドレスク夫妻はミシェルの写真を見て「むかし近所に住んでいた男です」と言う。
ミシェルはソフィアの死後、彼女の携帯電話からエリナに「家に帰るので荷物を送って」とメールを送っていた。エリナは最初それを信じたが、ソフィアが実家に帰っているはずもないので、すぐに失踪に気づき、ミシェルに助けを求めていた。ミシェルはずっとエリナに思いを寄せており、「お前のためなら足を洗ってもいい」と言うが拒絶され、ソフィアの遺体を隠した冷凍庫へ連れて行き、殺害に及んだのだった。
ミシェルはラボルトから旅券を得、変装して国外へ逃亡しようとするが、空港のカウンターでアンドレスク夫人と鉢合わせ。夫人はミシェルの後を追い、問い詰めようとするが、そこで車に轢かれ2人とも死亡。ミシェルが持っていた旅券は政府が発行した本物だったが、ラボルトが発行したかどうかまでは断定できない。
クレマンはメディアに情報を流してラボルトを糾弾させようとカールソンに相談を持ちかけるが断られる。クレマンの動きは記者からラボルトにも伝わり、クレマンはロバンから叱責を受ける。一方でロバンは政界にコネのきく友人を頼り、ラボルトの失脚を謀っていた。
ラボルトは政界から引退して事業を始めることにし、野心家のカールソンに目をつけて顧問弁護士になるよう勧誘する。
エリーズの死後、カールソンはルロワを息子のレミと引き合わせるが、エリーズが依頼した再審のことは何も知らせず、供述書とビデオテープを破棄する。
エリナ事件……何だか最後、ばたばたと駆け足で終わってしまった。事件の経過は結局「ラボルト:黒幕、ミシェル:汚れ仕事、ブノワ:巻き込まれ」という図式だったのね。肝心の殺害部分が「犯人の回想シーン」しかないというのは、ドラマとしてはやはり物足りない感じ。ミシェルがあそこまでしたのは、ルーマニアにいた頃からずっとエリナを愛していて、手に入れられないならいっそ……という破壊的な衝動からだったのだろうか。それにしても、「美しすぎるんだ」と言いながら石で顔を潰すというのが何だか唐突な気がした。
結局、エリナ殺害の詳細を知っているミシェルは死亡。ブノワはミシェルから話を聞いたのだろうが、彼もまたこん睡状態で意識は戻らない。黒幕のラボルトが自ら真相を明かすはずもなく、物証も他の関係者の証言もないので、事件は闇に葬られてしまうのだろう。
ならばいっそ法に拠らない手段で、と思ったクレマンはあっさり失敗。ロバン判事はもっと巧妙だが、それでも政界から追い出しただけ。本人は実業界に転進し、また同じように少女たちを食い物にしていくのだろう。カールソンに対して言った「だが君には思春期特有の 冷徹で容赦のないところが残っている」という台詞が気持ち悪かった。
クレマンがカールソンに記者を紹介してほしいと持ちかけたのは、マスコミに顔がきくことに加えて姉妹の両親の代理人を勤めているから、という理由もあったのだろうと思うが、そのカールソンは「正義より金」を取ってラボルトに鞍替え。やはり刑事弁護士より企業弁護士の方が儲かるのかな。しかし、ご丁寧にわざわざルロワの復職のチャンスを潰して行かなくても……と思うのだけど。
そして最後の場面、ロバン判事の告白にびっくり! 前回「女性に厳しい」とか言われていたのは、つまりそーゆーことなんですか?
— Yoko (yoko221b) 2009-08-20