Without a Trace - Season 1
16歳のウィリアム・ホープという少年が、バイト先からの帰宅途中で失踪。1年半ストリートで暮らした後、里親に引き取られて関係は良好、学校での素行も成績も良かった。だが警察は家出と決め付けて取り合わないため、担当のソーシャルワーカーが友人のダニーに捜索を依頼する。
里親のレイ夫妻は里子たちを育てて15年のベテラン。ウィリアムには兄のアーロンと妹のターシャがいたが、ターシャは精神的に不安定なため施設に預けられていた。アーロンは少年院を出たばかりの不良少年で、レイから出入り禁止になっていた。
失踪前にウィリアムと口論したという少年は「アーロンの乗った車がウィリアムを迎えに来た」と言う。また、施設にいるターシャは「兄ちゃんがくれた」という大金の詰まったカバンを持っていた。朝の4時に突然ウィリアムが密かに訪ねて来て、カバンを渡したという。どこへ行くかは言わなかった。アーロンを担当した公選弁護人の話から、アーロンにキース・リードという不良仲間がいたこと、ウィリアムがターシャを施設から出して一緒に住みたいと相談していたことなどがわかる。
サマンサとヴィヴィアンはNYPDの協力を得て、大金が強奪された事件が起きていないか調べるが、その夜に起きた事件はドーナツショップが襲撃されて150ドル取られた程度だった。ウィリアムがターシャに渡した金は約25,000ドル。
キースは軍に入隊する代わりに刑期を短縮され、ウィリアム失踪の翌日から陸軍の宿営所にいた。マーティンが会いに行くと、キースは入隊早々懲罰房に入れられており、「アーロンと一緒にウィリアムを迎えに行き、バス停で別れた。車はアーロンに貸した」と言う。
その後、キースの車が発見される。車内には大量の血痕と粉砂糖とウィリアムの帽子があった。粉砂糖はドーナツショップにあったもの――彼らはやはりドーナツショップを襲撃していたのだ。防犯ビデオには、ウィリアムの帽子をかぶった少年の姿が映し出されていた。その店は実は麻薬売買の拠点だという噂があった。
彼らはその事件で負傷し、無免許の医師に治療を頼みに行く。だが弾は肺に達し、もはや手の施しようがなかった。その「医師」の話から、来たのが怪我人も含めて3人の黒人少年だったとわかる。一方、池の底から銃で撃たれた少年の遺体が発見され、死体置き場に運ばれていた。ターシャは遺体を見てウィリアムだと確認するが、ダニーは指の爪を見てウィリアムではないと判断する。ウィリアムは爪を噛むクセがあったが、その遺体は爪が長く伸びていたのだ。
ターシャのポケベルにアーロンからメッセージが入り、アーロンは逮捕される。彼は観念してすべて告白する――アーロンとキースはウィリアムを迎えに行った後、ドーナツショップを襲撃した。目的はレジの中の現金だけだったが、思いがけなく大金を見つけて奪ったところ、店で用心棒をしていた汚職警官にキースが撃たれてしまった。その汚職警官は、ウィリアムの捜索に協力していたNYPDのエリス刑事だった。
キースはその傷で死亡。ウィリアムはエリスに顔を見られたため、キースになりすまして陸軍の宿営所へ行った。マーティンが面会した「キース」が、実はウィリアムだった。ウィリアムの写真は6年前のものしかなかったため気づかれなかったのだ。そしてアーロンはキースの遺体を捨て、身を隠そうとした。マーティンは再び軍へ向かうが、先に警察が来てウィリアムは連行されたという。
エリスの目的は金のはず。その金はFBIで保管されているが、エリスもウィリアムもそれは知らない。ならば彼らはターシャの所へ向かうはず。マローンとダニーは施設へ向かい、ウィリアムとエリスを発見。エリスは彼らに銃を向けるが、逆に射殺される。
事件は解決。ターシャはサマンサの口添えで、ウィリアムとともにレイ夫妻に引き取られることになった。
失踪者を捜索する過程で人物像を描いていく、という手法から今回はやや外れて、事件そのものをダイナミックに追いかけて行くエピソード。失踪者は結局、不良の兄の悪事に巻き込まれただけの真面目な少年だった、という見かけどおりの少年だったわけで、二転三転するストーリーを追って行く方が面白かった。最初は、6年前の写真しかないことを少々不自然に思ったけど、こういう展開ならまぁいいかと納得。エリス刑事の言動やドーナツショップの伏線も良い感じに描写されていたと思う。
逆にいえば「このシリーズでなくても良いんじゃ?」というプロットかもしれないが、面白かったから良い。
また、今回のエピソードではダニーの活躍も良い。ラジオを締め上げてマーティンと対立したりするのも新鮮。ウィリアムのように恵まれない少年時代を送り、そこから頑張って這い上がって来たらしいことが仄めかされる。星に会いたい人の名前をつけていたようだから、里親や施設を転々としていたのだろうか、などなどいろいろ想像させられる。
この時期のエピソードは、初期シーズンらしくあれこれと趣向を変えて来るところが面白い。ネタ切れ/マンネリ感がなく、まだまだ手持ちのネタはあるよ! という熱気が感じられて良いわ~。
— Yoko (yoko221b) 2008-03-12